日没後はあっという間に闇が訪れる。
暗くなっていく海は不気味さを増していき、反対に、水面に映る遠い街の明かりは美しく輝き出す。
岸で様子を見守っていた仲間達は、2人が岬を目指していることを悟り、海岸を走り出した。
「岬だ、あっちに向かってる。行こう!」
「お前、警察と消防に連絡してこい!」
年長の仲間が呆然と立っている若者に言う。
月の無い海は暗い。手を差し込めば墨汁の様に黒く染まってしまいそうだ。
岬に先回りした仲間は通りかかった車を次々に止め、ヘッドライトを海に向けるよう頼み込んだ。
雲の間から見え隠れするわずかな星明かりだけになった海を、何台ものヘッドライトが照らしている。
皆、沖を見つめながら待った。
じりじりと無言の時間が過ぎていく。
小さな双眼鏡を目に当てていた仲間が叫んだ。
「いたぞー!こっちに向かってる」
指さす方角に目をこらすと、浮き輪の子どもを引きながら懸命に泳ぐジミーの姿を捉える事ができた。
岸で見守る仲間達は皆大声で叫んだ
「おーい、頑張れー!」
「こっちだ、こっちへこーい!」
集まってきた野次馬も一緒になって叫んでいた
ゆっくりだが確実に近づいてくる姿がライトにうかびあがってきた。
数人がばらばらと岩場に降り、もう少しだぞ-!と手を大きく振っている。
つづく
※画像はwebからお借りしています 問題がある場合は削除いたします