目を開けようとした。とっても明るい。もう朝じゃないのかな。
まぶしいくらいに白い。もう一度目を閉じる。
朝なら起きよう、という気持ちと、もっと寝ていたいという気持ちがせめぎ合っている。
うーん、と伸びをすると何かが手に当たってコトンと音がした。
「あっ宇宙(ひろし)起きたのね。」
ママがティッシュの箱を枕元に置きながら言った。
毛布を掛け直しながらおでこに手を当てた。
ママの柔らかい手のひらが温かくて気持ちがいい。
「良かった。宇宙、熱下がったわ。」
こんどはママが、うーんと言いながら両手を挙げて伸びをした。
僕の顔をのぞき込んでから手のひらをそっと握りながら言った。
「もう少しじっと寝ていてね。動くと点滴外れちゃうから。」
点滴?そういえば毛布から出した左手にチューブにつながった点滴液がぶら下がっている。ここは病院なんだ。
段々思い出してきた。試験の帰りに寄ったピザ屋さんで僕は熱を出してそのまま眠ってしまったんだ。パフェも食べたくないって言ったら、ママが恐い顔になったのを思い出した。お父さんにおんぶして、ママの匂いのするコートを掛けてもらって、タクシーに乗って…
そうだ、トントの夢を見たんだ。
洞窟に閉じこめられる恐い夢と、洞窟から出られてトントに会う夢だった。
夢なのに夢じゃない。久しぶりの体験だった。
それは何か特別に重大な体験なのだと今の僕には分かる。
夢のこと、ママには言わないことにしよう。
まぶしいくらいに白い。もう一度目を閉じる。
朝なら起きよう、という気持ちと、もっと寝ていたいという気持ちがせめぎ合っている。
うーん、と伸びをすると何かが手に当たってコトンと音がした。
「あっ宇宙(ひろし)起きたのね。」
ママがティッシュの箱を枕元に置きながら言った。
毛布を掛け直しながらおでこに手を当てた。
ママの柔らかい手のひらが温かくて気持ちがいい。
「良かった。宇宙、熱下がったわ。」
こんどはママが、うーんと言いながら両手を挙げて伸びをした。
僕の顔をのぞき込んでから手のひらをそっと握りながら言った。
「もう少しじっと寝ていてね。動くと点滴外れちゃうから。」
点滴?そういえば毛布から出した左手にチューブにつながった点滴液がぶら下がっている。ここは病院なんだ。
段々思い出してきた。試験の帰りに寄ったピザ屋さんで僕は熱を出してそのまま眠ってしまったんだ。パフェも食べたくないって言ったら、ママが恐い顔になったのを思い出した。お父さんにおんぶして、ママの匂いのするコートを掛けてもらって、タクシーに乗って…
そうだ、トントの夢を見たんだ。
洞窟に閉じこめられる恐い夢と、洞窟から出られてトントに会う夢だった。
夢なのに夢じゃない。久しぶりの体験だった。
それは何か特別に重大な体験なのだと今の僕には分かる。
夢のこと、ママには言わないことにしよう。