故・和田博実さん回想、西鉄ライオンズよ永遠なれ。

　23日、24日と故和田博実さんの通夜・告別式へ参列させていただいた。近親
者のみの葬儀であったが、在福の西鉄ライオンズOBをはじめ球界関係者が大勢
来られ、改めて偉大な存在であったことを認識させられた。

　祭壇の一番上にはソフトバンクの王顧問、秋山監督の花が左右に飾られ、臼
杵高の後輩・鳥越二軍監督の花もあって、福岡の野球文化がライオンズからホ
ークスへと受け継がれていることを改めて実感した。そういえば、和田さんの
恩師のひとりでもある根本陸夫さん（ライオンズやホークス監督など歴任）と
和田さんのエピソードは和田さん本人から色々と伺った。

　実現はしなかったが、阪神の二軍監督を最後にプロの指導者を引退していた
和田さんに、根本氏はダイエーのコーチ就任を打診していたのだそうだ。それ
はダイエーホークスが初優勝した99年、根本氏が急死したシーズン開幕前だっ
たという。根本氏も強烈な兄貴肌でライオンズを育て、ホークスを強くし王さ
んを招聘した大人物。今のソフトバンクの恩人だろう。和田さんの印象は、そ
んな根本さんのイメージに重なる部分も多い。

　告別式では、西鉄ライオンズOB会長・河野昭修さんが弔辞を読まれた。ふる
えながら読み上げる河野さんの背中は、本当に寂しさが伝わってきた。西鉄の
全盛時のオーダーで生き残りは４人（一番・高倉、二番・豊田、三番・中西、
６番・河野）だけというコメントでは参列者皆の悲しみが最高潮となった。

　河野さんは弔辞の中で、写真集のことを取り上げてくれた。「最後に本当に
良い仕事をしてくれた」と言ってもらっただけで、私も感無量の思いだ。告別
式には和田さんを紹介してくれた久保田運動具店の江頭さんも来られた。プロ
選手の中には江頭さんのグラブを使っている人も多く、葬儀が終わった後も集
まった方々との思い出話は尽きないようだった。

　通夜の日、和田さんの奥様から電話をいただき、新聞記事などは全く観る余
裕がないことを言われたので、余計なこととは思ったが夕刊や朝刊の新聞各紙
を買い集めて、ご自宅のポストへ投函させてもらった。新聞取材時の和田さん
の笑顔の写真を大きく引き延ばしプリントしたものを添えて。私にはこれくら
いしかできなかったからである。

　写真集の記事が出るたびに、その日のうちに和田さんに直接届けたことを、
つい昨日のように思い出す。実際にそんなに月日は経っていない訳で、昨夜
息子さんからお電話をいただいた際にも「覚悟はしていたが、やっぱり急だ
た」という話を伺った。亡くなる一週間前、入院していた時も、和田さんは
退院を前提に北海道の知人にジンギスカンを送ってくれるよう頼んだそうだ。

　告別式でお孫さん３人の弔辞も涙を誘った。和田さんに悔いがあるとすれ
ば、野球で活躍をはじめているお孫さん達のことだったかもしれない。５月
４日、お孫さんが福岡県の大会で優勝した際には、とても嬉しかったのだろ
うが、わざわざ奥様を通じて私にまで電話をいただいた。

　ライオンズのOBの方々は、高倉さんをはじめ皆さんが少年野球の指導をさ
れている。今年は福岡県の連盟ができて30周年で、８月にはイベントもある
そうだ。お元気なら和田さんも参加する予定であったが、残念ながら和田さ
んの名前が載った写真集を持って、私が代わりに参加させてもらうことにな
りそうだ。久保さんを通じて話は伺っていたが、通夜の日に高倉さんから直
接お話をいただいた。西鉄ライオンズの伝説と野球文化は、OBの皆さんの活
動で福岡に根ざしている。

今日の写真は、和田さんがお気に入りだった西鉄ライオンズ黄金期の
ベストオーダー写真。昭和32年日本シリーズ、雑誌「野球界」より。

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