人気小説家の原田マハさんの最新の単行本「美しく愚かものたちのタブロー」を読み終えました。
この題名にある「タブロー」とは、絵画のことです(浮世絵も含まれています)。
具体的には、大正時代から昭和半ばまで(主に第一次世界大戦前後)に、欧州(主にフランスと英国)で名画を買い集めた松方幸次郎(まつかたこうじろう)による“松方コレクション”の話です。
“松方コレクション”を基にした大規模な展覧会である国立西洋美術館開館60周年記念の松方コレクション展は、今年2019年6月11日から9月23日まで開催されました。
この単行本「美しく愚かものたちのタブロー」は、2019年5月30日に文藝春秋から発行されました。価格は1650円+消費税です。
この小説の主な進行係は、田代雄一(たしろゆういち)が務めます。田代雄一は日本を代表する美術史家であり、東京美術学校(現在の東京芸術大学)教授や帝国美術院付属美術研究所の所長などを歴任した人物です。
第二次大戦で、連合国軍に負けた日本はサンフランシスコ講和条約締結などを経て、日仏国交を正常化し、フランスとの友好国になんとかなります。
この時に、当時の内閣総理大臣だった吉田茂は、国会議員として付き合いのあった松方幸次郎が集めた“松方コレクション”の返還を密かに模索します。
1953年6月に、田代雄一は、吉田茂総理大臣から特命の交渉人として、文部省の事務官と一緒にフランスに向かいます。この時には、就航したばかりのエールフランス機で、サイゴン、カラチ、ベイルートの3都市経由で合計50時間かかってパリ市に到着します。
(この空路でフランスに向かうことができなかった以前は、日本の横浜市からフランスのマルセイユ市まで、約30日の船旅でした)。、
このエールフランス機の中で、田代雄一は文部省の事務官に「1921年から1925年にかけて、イタリアなどの欧州留学をした際に、英国ロンドン市からフランスパリ市に向かった時に、パリ市に滞在していた松方幸次郎さんに出会いました」と語ります。この時に、松方幸次郎は西洋美術に詳しい田代雄一青年に、「フランスのノルマンディー地方の田舎に住んでいるクロード・モネの家を訪ねよう」と伝えます。
訪ねてみると、モネは巨大なカンヴァスに向かって、太鼓橋がかかったスイレンの花が咲く池を描いていました(スイレンの花が咲く池は何枚も描いています)。この時に、クロード・モネは80歳を超した老人でした。
この時の出会いを契機に、松方幸次郎はクロード・モネに、「スイレンの花が咲く風景の絵を譲ってほしい」と頼みます。
こうした松方幸次郎が欧州で買い集めた“松方コレクション”は、第ニ次大戦中はフランスの美術館にかくまわれていました(ドイツのナチ軍に没収されないために)。
第ニ次大戦後はフランスではフランスの印象派などの名画が多く含まれている“松方コレクション”はフランスのものだという雰囲気になっていました。
1951年9月に米国サンフランシスコ市で、サンフランシスコ講和条約の締結を果たした吉田茂総理大臣は、密かにフランスとの日仏国交回復を図るために、フランスの外務大臣との会談を申し込みます。
このフランスの外務大臣との会談の席で、吉田茂総理大臣は「第ニ次大戦前に外交官としてモスクワ市の美術館を訪れた時に、館内にはフランス絵画の名画が多数展示されていることに驚きました」と語ります。
「当時、フランス絵画の名画がソ連の国民に感動を与えていたことに驚き、名画を多数輩出するフランス文化の実力を知った」と吉田茂総理大臣は伝えます。
そして、「日本人もフランス絵画をこよなく愛しているにもかかわらず、ほとんどの国民は本物のフランス絵画を見たことがない」と伝え、このために松方幸次郎は日本国民に本物のフランス絵画を見せたい考えて収集した」と説明します。
「フランスが“松方コレクション”を日本に贈ってくれたならば、日本でのフランス文化の有力な宣伝になるはず」と伝えます
「これはフランスにとって損にはならない・・。必ず有益な成果になる」と、吉田茂総理大臣は立て板に水のように一気に語ります。
この結果、フランスのシュリーマン外相は「ウィ」と答えます。実際には、この後には、“松方コレクション”の具体的な返還内容の詰めの交渉があるのですが・・。
こうして、松方コレクションを受け入れる受け皿の建物として、日本政府は東京都台東区上野公園に国立西洋美術館を建てます。
この題名にある「タブロー」とは、絵画のことです(浮世絵も含まれています)。
具体的には、大正時代から昭和半ばまで(主に第一次世界大戦前後)に、欧州(主にフランスと英国)で名画を買い集めた松方幸次郎(まつかたこうじろう)による“松方コレクション”の話です。
“松方コレクション”を基にした大規模な展覧会である国立西洋美術館開館60周年記念の松方コレクション展は、今年2019年6月11日から9月23日まで開催されました。
この単行本「美しく愚かものたちのタブロー」は、2019年5月30日に文藝春秋から発行されました。価格は1650円+消費税です。
この小説の主な進行係は、田代雄一(たしろゆういち)が務めます。田代雄一は日本を代表する美術史家であり、東京美術学校(現在の東京芸術大学)教授や帝国美術院付属美術研究所の所長などを歴任した人物です。
第二次大戦で、連合国軍に負けた日本はサンフランシスコ講和条約締結などを経て、日仏国交を正常化し、フランスとの友好国になんとかなります。
この時に、当時の内閣総理大臣だった吉田茂は、国会議員として付き合いのあった松方幸次郎が集めた“松方コレクション”の返還を密かに模索します。
1953年6月に、田代雄一は、吉田茂総理大臣から特命の交渉人として、文部省の事務官と一緒にフランスに向かいます。この時には、就航したばかりのエールフランス機で、サイゴン、カラチ、ベイルートの3都市経由で合計50時間かかってパリ市に到着します。
(この空路でフランスに向かうことができなかった以前は、日本の横浜市からフランスのマルセイユ市まで、約30日の船旅でした)。、
このエールフランス機の中で、田代雄一は文部省の事務官に「1921年から1925年にかけて、イタリアなどの欧州留学をした際に、英国ロンドン市からフランスパリ市に向かった時に、パリ市に滞在していた松方幸次郎さんに出会いました」と語ります。この時に、松方幸次郎は西洋美術に詳しい田代雄一青年に、「フランスのノルマンディー地方の田舎に住んでいるクロード・モネの家を訪ねよう」と伝えます。
訪ねてみると、モネは巨大なカンヴァスに向かって、太鼓橋がかかったスイレンの花が咲く池を描いていました(スイレンの花が咲く池は何枚も描いています)。この時に、クロード・モネは80歳を超した老人でした。
この時の出会いを契機に、松方幸次郎はクロード・モネに、「スイレンの花が咲く風景の絵を譲ってほしい」と頼みます。
こうした松方幸次郎が欧州で買い集めた“松方コレクション”は、第ニ次大戦中はフランスの美術館にかくまわれていました(ドイツのナチ軍に没収されないために)。
第ニ次大戦後はフランスではフランスの印象派などの名画が多く含まれている“松方コレクション”はフランスのものだという雰囲気になっていました。
1951年9月に米国サンフランシスコ市で、サンフランシスコ講和条約の締結を果たした吉田茂総理大臣は、密かにフランスとの日仏国交回復を図るために、フランスの外務大臣との会談を申し込みます。
このフランスの外務大臣との会談の席で、吉田茂総理大臣は「第ニ次大戦前に外交官としてモスクワ市の美術館を訪れた時に、館内にはフランス絵画の名画が多数展示されていることに驚きました」と語ります。
「当時、フランス絵画の名画がソ連の国民に感動を与えていたことに驚き、名画を多数輩出するフランス文化の実力を知った」と吉田茂総理大臣は伝えます。
そして、「日本人もフランス絵画をこよなく愛しているにもかかわらず、ほとんどの国民は本物のフランス絵画を見たことがない」と伝え、このために松方幸次郎は日本国民に本物のフランス絵画を見せたい考えて収集した」と説明します。
「フランスが“松方コレクション”を日本に贈ってくれたならば、日本でのフランス文化の有力な宣伝になるはず」と伝えます
「これはフランスにとって損にはならない・・。必ず有益な成果になる」と、吉田茂総理大臣は立て板に水のように一気に語ります。
この結果、フランスのシュリーマン外相は「ウィ」と答えます。実際には、この後には、“松方コレクション”の具体的な返還内容の詰めの交渉があるのですが・・。
こうして、松方コレクションを受け入れる受け皿の建物として、日本政府は東京都台東区上野公園に国立西洋美術館を建てます。
ご紹介、ありがとうございました。
いろいろ情報交換できる、ブログでのコメント交流、いいものですね。
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
今は、欧州に飛行機で簡単に行って、パリのルーブル美術館などを拝見できますが、戦後の日本では夢のようなことだったようです。
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
先日まで、上野の国立西洋美術館で開催されていた松方コレクション展が開催できた松方幸次郎の買い集めた「松方コレクション」の収集経緯などを書いた小説です。
絵画などの画家の生き方などを得意とする原田マハさんの力作です。
今度は、第一次大戦前後に、フランスなどで名画を買いまくった松方幸次郎を題材にした小説なのですね。
松方のことを知る日本人は予想以上に少ないのが実情です。
コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。
先日、開催されていた国立西洋美術館開館60周年記念の松方コレクション展の経緯をよく知っている方は意外と少ないようです。
この単行本「美しく愚かものたちのタブロー」は、第一次大戦前後に、当時の川崎造船社長の松方幸次郎が名画を買い集めた動機や経緯など描いた小説です。
松方コレクションを見に行く予定をしていたのに
忙しくて行くのを逸していました
23日に終わってしまって~
7,8月は混むだろうと考えて9月にと思っていたのに
暑いのが去ってから、という思いがあったのです
フランスの絵画は日本人にとても好まれています
この後、具体的な返還内容の詰めの交渉があったとは~
知りませんでした
コメントをいつもお寄せいただき、ありがとうございます。
先日9月23日まで開催されていた国立西洋美術館開館60周年記念の松方コレクション展は、いつも多くの方が入り口に並んでいて、人気の高さを感じました。
現在、日本国内でフランスなどの名画を鑑賞できる背景には、さまざまな方が苦心した努力があったことを、原田マハさんが小説化してます。
現在の川崎重工業の前身の川崎造船の社長として、成金として、名画を買いあさりました。
その松方コレクションの返還の受け皿として、上野の国立西洋美術館開館が建てられたことの経緯を知り方もほとんどいません。
戦後は遠くなりました。