とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『国語教育の危機』(紅野謙介著)

2018-11-04 18:32:43 | 国語
高校の国語教育の大改革が始まった。2020年度からセンター試験が大学入試共通テストに変わる。それとほぼ同時期に新学習指導要領がスタートする。これによって高校の国語教育は大きく変わる。この本はこの国語改革に対して批判的に書いた本である。様々な点で私と意見が異なることはあるが、基本的には同じ方向性である。

大学入試共通テストの大きな変更点は記述式の導入である。紅野氏はこの記述式問題にかなり批判的である。紅野氏の意見はモデル問題を見る限り資料の取捨選択に終始するだけであり、国語の読解とは言えないというものである。それはそれでわからなくはないが、それを大学入試共通テストに求めるのはむりだというのが私の意見である。採点ができるはずがないからである。紅野氏が望むような問題は個別試験で行うべきであり、大学がそれをサボってきたからこうなったのではないだろうか。大学入試共通テストにおける記述式は最も基礎となる言語技術を求めるものであり、それは悪いことでない。むしろこれまでの国語教育がやらなければいけないのに行ってこなかった部分を取り戻すためのものと考えるべきである。ただしプレテストの問題の質がひどすぎるというのは同意する。

紅野氏が指摘したマーク式問題の問題が質が悪い上に難解で量が多いと言うのは全くその通りである。このあたりはセンター試験の時代からずっと続いていた。無意味に難しくしていた。だから高校でいくら勉強しても国語の成績が伸びなかったのである。だれもが国語は勉強しても無駄だと思うようになる。高校で国語嫌いが増えるのはそのためであり、国語教育が力を失っていったのもそためである。
学習指導要領の改訂による論理国語と文学国語の問題はほぼ同意する。これは最近ブログを書いたばかりであるのでここでは省略する。

私は今大切なのは国語教師がもっとしっかりとこの問題に真正面から取り組むことであると思う。正直言って国語教師がいいかげんすぎたのだ。こうなってしまったことを国のせいばかりにしていてはいけない。
コメント
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