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とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『贋作 桜の森の満開の下』(NODAMAP公演・東京芸術劇場11/3)

2018-11-11 17:09:05 | 読書
脚本・演出:野田秀樹 美術:堀尾幸男 照明:服部基 衣裳:ひびのこづえ 音楽・効果:原摩利彦 
出演:妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太、秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶、野田秀樹 他

 『贋作 桜の森の満開の下』は夢の遊民社のころから何度も上演されている。私は野田秀樹さんの作品の中では今一つ入り込めない作品で、なぜこの作品がこれだけ再演されるのかがわからないでいた。

 ところが、歌舞伎でこの作品が上演されそれを見た時、初めてこの作品がすばらしい作品であることに気がついた。夜長姫の罪と苦悩、耳男の罪と苦悩が丁寧に描かれており、筋がはっきり見えたからである。

 今回期待して見にいったのであるが、残念ながらやはり早口の言葉遊びの中で筋が見えなくなり、いつの間にか舞台が遠くに行ってしまったような印象になってしまった。やはり入り込めなかったのである。

 おそらくもっと狭い劇場で人の息や汗が感じられる劇場であればそれでも作品が音楽のように入ってきたのであろう。また、歌舞伎版のように少しゆっくり目のセリフと台本を丁寧に描いている演出ならばよかったのだ。しかし東京芸術劇場のような広い劇場で、しかもうしろのほうの座席に座っていた私のような人間には無理だったのではないか。

 大きな紙をつかった演出や布の演出などごたえがあった。昔の遊民社のような音楽の使い方も感動的であった。大きな劇場に合わせた工夫はすごいと思った。役者もみなよかった。しかし私には壁を感じる作品であった。もっと前の席でみていたら感じ方はかわったのだろうか。

 客席をもっとランク分けして、前の席を高くして後ろのほうの席は安くするということをしたほうがいいのではないだろうか。
 
コメント
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