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敢木丁(カムラテン)コレクションにおけるサンカンペーン陶磁で、最も優れていいるのは、図録番号67の鉄絵草魚文盤である。図録に寸法は記載されていないが、径は22-23cm程度の比較的小型の盤である。下の写真はその鉄絵草魚文盤であるが、この写真は京都・東南アジア陶磁館で頂いた自家本図録より転載したものである。
見込み中央に顔面が下向きで、鱗の代わりに草花文が魚体に描かれている。カベットには右向きの魚が三匹描かれている。この盤を見せられた時は、さすがに驚いた。初見はさることながら、デザインのアイデアに驚いたものである。サンカンペーン盤の五指の一つである。
上に掲げた2点の盤の双魚文はサンカンペーンでは一般的なデザインである。直上の魚文のように頭部を塗りつぶした盤も多々みる。
これもびっくりした盤である。あまりにも稚拙な運筆で後絵を疑ってみたが、そうでもなさそうである。これも印象に残っている。
これらの文様は、幾何学的な文様であるが、サンカンペーンでは好んで描かれた文様で、それなりの数量が残存している。
個人的には日輪を表していると理解しているが、この手の印花文はサンカンペーンでよく見る文様である。
この印花双魚文盤は、サンカンペーンの特徴をいかんなく発揮している。油を弾いたような表情をみせる褐釉は、サンカンペーンの最大特徴の一つである。
白化粧後箆のような道具で、カベットに縦筋をつけ、白化粧を掻きとったのちに焼成したものである。これもサンカンペーンの盤の装飾技法のひとつである。
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