2017年開催の展覧会に、3つの注目すべき展覧会が在る。いずれも行ってみたいものである。字面ばかりで恐縮であるが、開催順に紹介してみたい。
<From the Ashes Reviving Myanmer Celadon Ceramics シンガポール大学付属博物館>
2017年2月9日ー12月30日までのロングランである。<物原出土陶磁とミャンマー青磁の復興展>とも訳せばよいであろうか。
15世紀のミャンマー陶工によって生産された青磁、その物原やトワンテ運河畔出土出土陶片等の遺物と、この伝統を現在に蘇らせる活動の紹介をおこなっているとのこと。1990年代、下ビルマでの考古学的調査で、窯跡が明らかになった。東南アジア海域の15世紀の難破船積荷やペルシャ湾岸で出土したミャンマー陶磁は、これらの窯で焼成されたことが判明した。
展示会を実見していないので詳細不明だが、興味ある陶片が展示されている様子で、これらのモン(mon)陶と北タイ陶磁の関連の一端を見ることがでそうである。
しかし、近年のシンガポールの物価は異常である。三ツ星ホテルで一泊15,000円はする。会期が長そうなので、何とか工夫して観覧したいと考えている。
<~仏の国の輝き~タイ:九州国立博物館>
会期は4月11日から6月4日まで。観覧すべくホテルの手配を終えた。出品目録によると、第1章から第5章まであり、タイ族前夜・古代の仏教世界からラタナコーシン・インドラ神の宝蔵となっている。
出品もとはバンコク国立博物館、チェンマイ国立博物館、ウートーン国立博物館等15国立博物館、日本国内の関連資料を含めて150点の展示である。
タイの国立博物館は、今回の15博物館中8博物館を展観しているが、それらは断片的で、もうひとつ関連が掴みにくかったが、今回は時代と様式を区分し5つの章として展覧しており、有意義な展示会である。古代のタイ社会のイメージを結ぶことができそうで期待している。
この展覧会は過日、福岡へ出向き観覧した。予想に違わず興味ある遺品を見ることができた。
<黄金の地と南の海からー東南アジアの名品ー:町田市立博物館>
会期は7月8日から9月3日まで。寄贈された4名の方々の名品を展示するとのこと。過去、町田市立博物館蔵品展はなんどか拝見したが、今回は本家本元での展示であり期待したい。
8月末に行くための航空券の手配を終えた。楽しみにしている。
この3館の展覧会は是非拝見したいと考えており、展観後記事にしたい。
+1題についてである。Bangkok Universty Southeast ceramics museumの英語版HPが、多分ウィルスに汚染されたのであろう、検索すると警告画面がでるようになり、半年以上経過したであろうか。
先日検索すると、タイ語版のみではあるが、復元されていた。見るとバンコク大学付属東南アジア陶磁館で、Sorce Inspiration to Create Northern Thai Ceramicsなる特別展が3月30日から7月28日のまでの予定で開催されていると云う。
クリックして頂くと、上のホーム画面がでてくる。右端下のマークをクリックすると動画がスタートする。約28分と長いがマニアには苦にならないであろう。
チェンマイから国道120号でパヤオ方面に向かい北上すると、1時間強でメーカチャンの温泉を経由しカロンに至る。古代から中世にかけてのウィアン・カロン環濠にある、ワット・ウィアンカロンとの交差点の手前に、復元カロン焼きの窯がある。
動画の最初は、その窯元の陶工と絵付け工のデモが録画されている。みるとかなりの器物と絵付けが復元され、技量もそれなりに達している。これらの優品を10年も山中や田圃に埋め掘り出せば、立派な時代垢がつき骨董市場に贋作が出回ることとなる。
女性職員か、日本風に云えば学芸員が展示物の前でマイクを握り説明する画面に変わる。最初はカロン陶磁でかなりの名品である。次はワンヌア、これも名品でさすが、オーナーの鑑識眼の高さが伺える。パーン陶磁もすばらしい。カロン見込み文様が描かれている前で、詳細を説明(多分プールナガタ:満瓶・まんびょう)しているのが館長。
そして北タイ陶磁の装飾文に影響を与えたとして、龍泉や景徳鎮と北タイ陶磁との関連、景徳鎮明代染付の麒麟文とカロンの麒麟文、更に明代染付の雲閣文とカロンの雲閣文との関連、また安南の唐草文と北タイの唐草文との関連説明と続く。
頂けないのはカロンの通称ピクンの花文様(当該ブロガーは一貫して日輪と考えているが・・・)と日本の彫三島文様の関連を説明していることである。説明の内容が判然としないが、時代関係はどうなっているのか・・・等々疑問が次々と湧き出る。
写真はカロンの碗で見込み、カベット、外側面がピクンの花文様で埋められている。
それと本邦の彫三島文様との比較であるが、違和感がぬぐい切れない。しかし視点を変えれば、これもアリかとの印象を受ける。東南アジア陶磁館の面々が統一見解として持ち出すのであり、何らかの背景を持つと思われる。一度追及する所存である。
8月初旬訪タイの予定で、全ての準備を終えた。もう少しはやく、当該HPを見ていたら、7月に早めたものを残念である。