<続き>
今回は、ワット・プラシン伝来の仏足跡を紹介する。従来の展示は仏足跡がポツンと展示されていたが、改装後は説明パネルとともに展示されていた。
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展示パネルの概要は以下の内容であった。仏足の上部は、五の爪先が均等に配置されている。そこには円形の渦巻き文が表されている。この渦巻き文についての説明はないが、一説によると太陽を示し、煩悩を焼き尽くす意味合いもあるとか・・・?
仏足の中央は円圏で宇宙を表すコスモロジカル文様で、その周囲は108に区画され、それぞれ幸運をもたらす文様が描かれているとパネルは説明している。しかしパネルは108の区画については、108の煩悩とは説明していない。
下部には須弥山世界が描かれている。須弥山の無熱悩地(Anotatta湖)からは、四方に水が流れ出す。そして須弥山は7つの山と7つの海に囲まれ、その外周は山脈で囲まれていた。7つの海では睡蓮の間に水棲動物がおり、水中の豊かな世界観を示している。この仏足跡は宇宙の楽園風景である。下層は地球、海、その他で構成される人間の土地である。幸運を賛歌する仏足跡はランナーで最も人気があり、ラタナコーシン朝へと続いた。
またパネルによると、この仏足跡はランナーの15世紀に作られ、1794年に全面修復されたと記されている。螺鈿細工の漆塗りで立派なものであるが、螺鈿の魚などが欠落し、保存処理が必要であろう。幸いにも、この仏足跡の複製品が作られ、それは本家のワット・プラシンに展示されている。細部を確認するには、この仏足跡がよいであろう。下の2葉はワット・プラシンの復元仏足跡である。
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こちらは剥落した螺鈿が復元されている。ランナーの統治に須弥山の世界観を取り入れ、ランナー王はその庇護と権威を持つとの姿を創り出したのであろうと思われる。
<続く>