ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

中野方ダム

2016-01-12 13:00:00 | 岐阜県
2016年1月9日 中野方ダム
 
中野方(なかのほう)ダムは岐阜県恵那市中野方町の木曽川水系中野方川にある岐阜県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム補助事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、中野方川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、恵那市中野方地区への上水道用水の供給を目的として2005年(平成17年)に竣工しました。
ダム周辺の地盤は花崗岩で形成され、左岸側の地質が脆くなっています。そのため堤体左岸側が屈曲した構造となり、結果として総貯水量411千㎥にもかかわらず、堤頂長が390メートルというちょっと歪なダムとなってしまいました。
 
恵那市街から県道68号を北上、中野方ダムの標識に従って県道408号を東に向かうと中野方ダムが見えてきます。
かなり下流からダムを望むことができます。
集落の背後に白く横たわるダムの堤体はまるで城壁のようです。
 
堤体直下から
クレスト、オリフィスともにゲートレスです。
 
右岸からダム上流面。
背後の端正な山は笠置山です。
 
390メートルに及ぶ堤体は左岸側で屈曲しています。
 
減勢工
副放流設備から河川維持放流が行われています。
 
普通のため池よりも小さいダム湖。
 
(追記)
中野方ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3083 中野方ダム(0179) 
岐阜県恵那市中野方町 
木曽川水系中野方川 
FNW 
 
41.7メートル 
390メートル 
411千㎥/371千㎥ 
岐阜県県土整備部 
2005年 
◎治水協定が締結されたダム 

小里川ダム

2016-01-12 10:00:00 | 岐阜県
2016年1月9日 小里川ダム
 
小里川ダムは岐阜県瑞浪市と恵那市の境界、庄内川(岐阜県内では土岐川)支流の小里川にある国交省直轄の多目的重力式コンクリートダムです。
古くからたびたび洪水を起こしてきた小里川ですが、下流の庄内川は人口増による宅地開発が進み都市河川化し、豪雨のたびに流域の名古屋市、瀬戸市、春日井市、多治見市、土岐市などで浸水被害を引き起こしました。
そこで庄内川を管理する建設省庄内川河川管理事務所は庄内川上流に洪水調節機能のあるダム建設を決定、2003年(平成15年)に竣工したのが小里川ダムです。
小里川、庄内川の洪水調節のほか、既得用水の補給を目的とし、中部電力小里川発電所で最大1800キロワットの発電を行っています。
 
瑞浪市街から県道20号~33号を辿ると小里川ダムに到着します。
ダム右岸に管理事務所と駐車場があるほか、ダム湖畔には道の駅『おばあちゃん市・山岡』が併設されています。
今回は矢作ダムから北上、ダム左岸からのアプローチとなりました。
左岸には展望台がありダムを俯瞰することができます。
 
管理事務所のある右岸上流側から
クレストは自由越流式が9門
そのほか2種類の常用洪水吐があり2門の予備ゲートが見えます。
 
天端は車両通行化、幅員が狭いので2カ所にすれ違いゾーンが設置されています。
左は一般開放されているエレベーター棟入口。
 
減勢工
副ダムが2基あります。
左手は小里川発電所。
 
堤体エレベーターは開放されており、堤体直下まで降りることができます。
 
通廊
 
堤体ダム下部の通廊出入口。
 
堤体直下から。
 
下流から
円と直線を多用した洗練されたデザイン。
オリフィス1門、コンジット2門の2種類の常用洪水吐が確認できます。、
 
ダムは道の駅に隣接しています。
観覧車だと思ったら巨大な水車でした。
 
追記
小里川ダムには最大1290万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流によりさらに350万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1133 小里川ダム(0176)
左岸 岐阜県瑞浪市陶町
右岸  同県恵那市山岡町田代 
庄内川水系小里川
FNP
114メートル
331.3メートル
15100千㎥/12900千㎥
国交省中部地方整備局
2003年
◎治水協定が締結されたダム

矢作第二ダム

2016-01-12 09:00:00 | 愛知県
2016年1月9日 矢作第二ダム
 
矢作第二ダムは愛知県豊田市と岐阜県恵那市の県境、矢作ダムの下流の矢作川にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムです。
矢作第一発電所からの放流量を安定させるための逆調整池として矢作ダム及び矢作第一発電所度同じく1970年(昭和45年)に竣工、さらに翌1971年(昭和46年)よりここで取水した水を8キロの導水路で下流の矢作第二発電所に送り最大3万1600キロワットの発電を行っています。
 
矢作第二ダムは矢作ダムの下流にあり矢作ダムから県道20号を西進すると矢作第二ダムに到着します。
中電レッドと呼ばれる4門の赤いラジアルゲートが鮮やか。
 
副放流設備から河川維持放流が行われています。
 
右岸上流から
矢作第二発電所への取水スクリーンも中電レッド。
 
天端は立ち入り禁止。
 
左岸から下流面。
 
(追記)
矢作第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1227 矢作第二ダム(0175)
左岸 愛知県豊田市時瀬町
右岸 岐阜県恵那市串原
矢作川水系矢作川
38メートル
149.2メートル
4354千㎥/912千㎥
中部電力(株)
1970年
◎治水協定が締結されたダム

矢作ダム(元)

2016-01-12 08:00:00 | 愛知県
2016年1月9日 矢作ダム(元)
 
矢作川は土砂の流出が多く下流では天井川となるため、古くから抜本的な洪水対策が課題となっていました。一方で流域の三河地区は年間を通じ降水量が少なく安定した灌漑用水の確保が長年の悲願でした。
加えて中京工業地帯の発展に伴う人口増もあり新たな工業用水や上水道の確保も必要となりました。
これらの諸課題に対処するために『矢作川総合開発事業』が策定されその中核事業として1970年(昭和45年)に建設省中部建設局が矢作川上流に建設した多目的アーチダムが矢作ダムです。
矢作ダムは、矢作川の洪水調節のほか、既得用水の補給、灌漑、上水道供給、工業用水供給を目的とするほか、中部電力矢作第一発電所で最大6万0700キロワット、黒田ダム、富永ダムとの間での奥矢作第一、第二発電所による2段階揚水発電で合計最大110万キロワットの発電を行っています。
また、矢作ダムはそれまでの円弧アーチに変わり放物線アーチを採用したわが国初のアーチダムとなっています。
2018年(令和元年)に激甚化する豪雨災害に対応するため、矢はダム再生事業が採択されました。
具体的にはダム左岸に新たな放流設備を増設し治水能力の向上を図ります。
 
矢作川は岐阜県恵那市と愛知県豊田市の境界を流れており、矢作ダムの右岸は岐阜県道11号線、左岸は愛知県道336号線が通っています。
管理事務所は左岸愛知側にあり、駐車場は右岸岐阜川に設置されています。
今回は右岸に駐車してダムを見学します。
右岸から日本初の放物線アーチです。
クレストはラジアルゲート4門、コンジットに高圧スライドゲート3門となっています。
 
左岸から
堤体は車両通行可能で上流の排砂作業のための大型ダンプがひっきりなしに行き交っていました。
 
減勢工
副ダムの右側に中部電力矢作第一発電所があります。
 
ダム湖(奥矢作湖)。
堆砂が進み上流で排砂作業が行われています。
 
右岸の取水棟。
 
ダム湖越しに
青い4門のラジアルゲート。
 
下流から
逆光のため撮影が難しかった
 
(追記)
矢作ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1108 矢作ダム(元)(0174)
日本100ダム
左岸 愛知県豊田市閑羅瀬町
右岸 岐阜県恵那市串原
矢作川水系矢作川
FNAWIP
100メートル
323.1メートル
80000千㎥/65000千㎥
国交省中部地方整備局
1970年
◎治水協定が締結されたダム
-----------------
1108 矢作ダム(再)
左岸 愛知県豊田市閑羅瀬町
右岸 岐阜県恵那市串原
矢作川水系矢作川
FNAWIP
100メートル
323.1メートル
80000千㎥/65000千㎥
国交省中部地方整備局
2018年~

富永ダム

2016-01-12 07:00:00 | 愛知県
2016年1月9日 富永ダム
 
富永ダムは愛知県豊田市稲武町の矢作川水系富永川にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムで、黒田ダムを上部池、矢作ダムを下部池とした2段式揚水発電の中ダムとなっています。
オイルショックによる原油価格の上昇を受け、電力各社は原発や火力発電との連携が取りやすい揚水発電に着目、中部電力も矢作川水系での揚水発電に取り掛かります。
当初は黒田ダムと矢作ダムとの間で揚水発電を行う計画でしたが、途中に活断層が見つかったことから中ダムとして富永ダムを建設し、2段式の揚水発電に計画変更しました。
1980年(昭和55年)に富永ダムは竣工、黒田ダムとの間の奥矢作第一発電所で最大32万キロワット、矢作ダムとの間の奥矢作第二発電所で最大78万キロワットの発電を行っています。
 
2段式揚水発電の概略図(ダム便覧より)
 
揚水発電目的のダムのため洪水吐は自由越流式が2門だけ、すっきりした堤体。
 
黒田ダム同様堤体が屈曲しています。
 
減勢工
揚水発電のため減勢工が活躍する場面はほとんどなさそう。
 
左岸から。
 
ダム湖を挟んで。

1230 富永ダム(0173)
左岸 愛知県豊田市小田木町
右岸     同市富永町 
矢作川水系富永川
32.5メートル
337メートル
1051千㎥/998千㎥
中部電力(株)
1980年

黒田ダム(再)

2016-01-12 06:00:00 | 愛知県
2016年1月9日 黒田ダム(再)
 
黒田ダムは愛知県豊田市の矢作川水系黒田川にある発電用重力式コンクリートダムで、世界でも珍しい2段式揚水発電の上部ダムとなっています。
1933年(昭和8年)に矢作水力により黒田発電所の貯水池として建設され日本発送電を経て戦後は中部電力が事業継承しました。
オイルショックによる原油価格高騰で電力各社は原発や火力発電と連携をとりやすい揚水式発電に着目、中部電力も矢作川での揚水式発電に取り掛かり、黒田ダムをかさ上げして貯水容量を2倍にし富永ダム、矢作ダムとの2段式揚水発電の上部ダムとして再開発しました。
現在は富永ダムとの間の奥矢作第一発電所で最大32万キロワット、富永ダムと矢作ダムの間の奥矢作第二発電所で最大78万キロワットの発電を行っています。
なお黒田ダムの再開発により黒田発電所は黒田ダムを貯水池として利用できなくなったため、黒田ダムの下流に取水堰を新設して最大3100キロワットの発電を継続しています。
 
2段式揚水発電の概略図(ダム便覧より)
 
豊田市街から国道153号をひたすら東進、奥矢作第一発電所脇を右折すると黒田ダムに到着します。
ダム左岸に駐車場がありますが、堤体へは立ち入りできません。
堤体がくの字に屈曲しています。
 
取水および流入口
黒田ダムを上部ダム、富永ダムを下部ダムとして奥矢作第一発電所で揚水式発電を行っています。
 
標高870メートル、ダム湖周辺の木々には霧氷が付いています。
 
河川維持放流。
 
下流からもダムを見ることができました。
どこからかさ上げされたのかは分かりません。
 
ゲートをズームアップ
 
(追記)
黒田ダム(再)は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1231 黒田ダム(再)(0172)
愛知県豊田市黒田町
矢作川水系黒田川
45.2メートル
332メートル
11050千㎥/10100千㎥
中部電力(株)
1933年黒田ダム(元)竣工
1980年黒田ダム(再)竣工
◎治水協定が締結されたダム