2023年7月29日 内村ダムもりみず見学会
全国各地のダムが一斉に見学会等のイベントを実施する『森と湖に親しむ旬間』、通称『もりみず』。
ダム愛好家にとっては一年で最も楽しみな旬間です。
しかし。ここ3年はコロナ禍のため大半のイベントは休止、昨年ようやく一部のダムで再開の動きが出はじめ今年、4年ぶりに本来の『もりみず』が戻ってきました。
7月29日から30日の一泊二日で3つのダムの見学会をはしごすることにしました。
29日早朝に自宅を発ち、山梨県の後沢溜池に立ち寄った後午前11時に内村ダムに到着。
減勢工直下のフロック工から。
定番スポットから
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂2門、洪水期および非洪水期用自然調節式オリフィス各1門ずつを装備
今回は洪水期用オリフィスから越流中。
オリフィスゲートをズームアップ
向って右手が非洪水期(10/11~5/31)
左手が洪水期(6/1~10/10)用オリフィス
非洪水期用はスライドゲート、洪水期用はローラーゲートで開閉します。
開始10分ほど前に右岸ダムサイトの管理事務所へ
本当は事前に職員さんによるレクチャーがあるのですが、前の組が押しているので先に艇庫や監査廊の見学をすることに。
前の組は大人数でしたが、私の組は嫁とシニアの男性一人の計3名。
ほぼ貸切見学会。
ダムサイトの説明板。
竣工当時の知事さん揮毫による記念碑。
中国の管子の言葉で
『自然は不動ではなく危険をもたらす一方で、易をもたらすことも多い』なんて意味だそうです。
左岸の艇庫。
こちらは作業船
ダム湖の流木やゴミの除去に使われます。
こちらは巡視艇。
インクラインの巻き上げ機。
艇庫とインクライン。
天端から管理事務所を見上げます。
斜めに伸びる階段が監査廊への入り口。
堤頂長は265メートルで右岸側が屈曲しています。
中段から
これは見学会じゃないと撮れないショット。
階段を下ります。
地震計
三角屋根の箱の中に感震機が入っています。
漏水量の説明板。
漏水量計。
一旦水平に進みます。
間隙水圧計、温度計間、継目計測
こちらはプライムライン
堤頂部からピアノ線が張られダムのたわみによる変形を計測します。
堤頂部からピアノ線が張られダムのたわみによる変形を計測します。
三角堰漏水量の説明板。
こちらが三角堰漏水量計。
漏水は奥の青いバルブで排水します。
さらに階段を下り最下層へ。
ここには低水放流設備があります。
そのプレート。
低水量の洪水調節、維持放流や利水放流はこちらで行います。
一般には低水放流設備は堤体から独立しては位置されることが多いのですが、こちらでは堤体に内包されているのがポイント。
手前のパイプはダムの下流300メートルにある内村浄水場への送水管。
監査廊の出口を出るとダムの直下へ。
導流壁そばの穴が低水放流管となるジェットフローゲート。
今回はオリフィスから越流しているため、ゲートは閉じられたたまま。
堤体に直に触れることができます。
上水道用水の水利使用標識。
続いて管理事務所で職員さんによるダムの概要説明
本来は見学前に行うのですが、順番が逆になりました。
続いてダム操作室での説明。
職員の常駐はなく平時は週1度の巡回のみ、長野県上田建設事務所での遠隔操作となります。
担当職員さんによるダム操作や運用の説明。
一番聞きたかった治水協定による事前放流の説明板。
内村ダムでは基準降雨量190ミリで、利水容量から最大29万5000立米の事前放流を実施します。
協定は結ばれていますが、万一事前放流を実施したにもかかわらず想定した雨量がなかった場合、つまり空振りの場合については現在国交省による利水容量の補償はないそうです。
見学終了後、天端を見て回り最後に国道254号線から遠望。
ゲートをズームアップ。
公式な見学会としては1年ぶり、なんだかんだで約1時間半の充実した内容でした。
のんびりしたいところですがこのあとは菅平ダム・発電所の見学が控えており、ダッシュで菅平へ!