ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

菅平ダム

2023-10-14 17:00:00 | 長野県
2015年11月23日 菅平ダム
2017年 8月 5日
2023年 7月29日
 
菅平ダムは長野県上田市菅平高原の信濃川水系神川源流部にある長野県企業局が管理する灌漑・上水・発電目的の重力式コンクリートダムです。
上田市のある小県地方は年間降水量1000ミリと国内有数の少雨地帯で、干ばつ被害が多発し安定した灌漑用水の確保は当地域農家の長年の悲願となっていました。
そんな中、終戦直後の食糧難を受け農業ダム建設機運が高まり、これに発電所や上水用水源を求めていた県企業局が事業参加し、灌漑・上水・発電を目的とする利水多目的ダムとして1968年(昭和43年)に竣工したのが菅平ダムです。
ダム建設の際、受益農家の負担軽減のため地元財産区が菅平高原に保有していた土地を県企業局に無償譲渡し、県はこれを別荘保養地として造成・分譲しその利益でダム建設や土地改良を実施し余剰利益が地元に分配されました。
これは菅平方式と呼ばれ、長野県の公営高原開発事業のモデルとなりました。
結果、ダム建設及びかんがい排水事業への地元負担は軽減される一方、菅平は長野県を代表する高原リゾートへと発展。現在はラグビー合宿のメッカとなっています。 
菅平ダムで取水された水は長野県企業局菅平発電所(最大出力5400キロワット)でダム水路式発電を行った後、神川沿岸土地改良区の約1250ヘクタールへの灌漑用水及び上田市上水道に供給されます。
 
菅平ダムへは2015年(平成27年)11月、2017年(平成29年)7月の高遠ダムスタンプラリー、さらに2023年(令和5年)のもりみず見学会の計3度訪問しています。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
ダム見学会の詳細については下記リンクをご覧ください。

菅平ダムは上田から菅平に向かう国道144号線沿いにあります。
国道からゲートを遠望。この時はコンデジしか持参していなかったので画質が悪い。
治水目的のない利水多目的ダムのため放流設備はクレストラジアルゲート2門だけ。
(2015年11月23日)

 
右岸国道から。
(2017年8月5日)

 
天端は車両通行可能
我が家の愛車とともに。
(2023年7月29日)

 
上流面
写真中央は取水設備
灌漑がメインですので表面取水となります。
(2023年7月29日)

 
天端から減勢工を見下ろす。
パワーショベルのようなシュートブロック
利水用水はすべて発電所経由となり、ダム直下は基本無水河川となります。
(2017年8月5日)

 
2023年訪問時の同じアングル
取水設備から調圧水槽までの落差を利用した小水力発電所を建設中。
(2023年7月29日)

 
調節水槽
ここから約4.1キロの導水路で菅平発電所まで送水されます。
(2017年8月5日)

 
ちょっとアングルは変わりますが、発電所建設のため様変わり。
(2023年7月29日)


ダム湖は菅平湖で総貯水容量345万1000立米。
ダム湖のすぐ上流は日本のダボスと呼ばれる菅平高原。
(2017年8月5日)


左岸の管理事務所
平日は職員が常駐しています。
(2017年8月5日)


インクライン。
(2023年7月29日)
 
左岸から下流面。
(2017年8月5日)

 
2023年に同じアングルで。
(2023年7月29日)


左岸から上流面。
(2023年7月29日)


発電用の水利使用標識
灌漑期(5~9月)は利水従属発電
冬季電力需要期(12~2月)は発電主体の運用を行います。
(2023年7月29日)

 
灌漑用水の水利使用標識
灌漑期は5~9月となります。
(2023年7月29日)

 
ダム下から
もっと引いた位置からダムを見たかったのですが、工事中のためこれが精いっぱい。
(2023年7月29日)

 
上流から遠望。
(2017年8月5日)

 
ゲートと取水設備。
(2017年8月5日)

 
立入禁止の下流からダムを見上げることができれば!と思い見学会に参加しましたが工事中のため叶わず。
小水力発電所が完成したら改めて見学会に参加しようと思います。
 
(追記)
菅平ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1020 菅平ダム(0068)
長野県上田市菅平高原
信濃川水系神川
AWP
41.8メートル
149.7メートル
3451千㎥/3242千㎥
長野県企業局
1968年
◎治水協定が締結されたダム