ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

松尾ダム

2021-10-23 10:02:41 | 宮崎県
2021年10月16日 松尾ダム
 
松尾ダムは宮崎県児湯郡木城町中ノ又の一級河川小丸川中流部にある宮崎県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1935年(昭和10年)に内務省は河川総合開発の先駆となる『河水統制事業』を採択し全国で治水・利水を一貫した河川開発が実施されることとなりました。
宮崎県では1938年(昭和13年)に県電気建設部により小丸川の治水と発電を目的とした『小丸川河水統制事業』が採択され、4基のダムおよび発電所の建設が着手されました。
このうち浜口ダム(現川原ダム)と川原発電所、戸崎ダムと石河内第二発電所は1940年(昭和15年)に完成しますが直後に日本発送電に接収され、電気事業再編成により1951年(昭和26年)に九州電力が事業を継承しました。 
ついで当ダムおよび石河内第一発電所が1939年(昭和14年)に着工されますが戦況悪化により事業は中断、戦後国庫補助を受けて事業が再開され1951年(昭和26年)に完成しました。
松尾ダムは小丸川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、宮崎県企業局石河内第一発電(最大2万2200キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
小丸川河水統制事業は1956年(昭和31年)の渡川ダムおよび渡川発電所の竣工をもってすべて完了に至りますが、日本発送電の接収もあり石河内第一発電所は宮崎県企業局、第二発電所は九州電力と同水系の同名の第一発電所と第二発電所で事業者が異なる結果となりました。
 
下流の戸崎ダムから県道22号線を北上すると松尾ダムに到着します。
途中樹間からダムを垣間見れますが、写真撮影に耐えるものではありません。
下流面もダム手前のこれが精いっぱい、落葉すれば少しは視界がよくなるんでしょう。
 
ダムサイトからもフェンス越しの撮影となります。
クレストにはラジアルゲート10門を擁していますが見るすべはありません。
天端は渡川ダム綾南ダム岩瀬ダムなど宮崎県営ダムではおなじみ、コルゲートパイプを利用したチューブ状のシェルターで被覆されています。
 
堤頂部をズームアップ。
 
天端
高欄はダイダイゴケなどで茶色に変色、時代感に拍車がかかります。
 
上流面。
 
もう少し上流に行けばゲートを見ることができたのですが、訪問時は管理事務所の改修工事のため叶いませんでした。
 
こちらは石河内第一発電所への取水ゲート
これまた木に邪魔されます。
 
宮崎県営ダムは見学には厳しいダムが多いのですが、ここもその一つ。
もりみず旬間等で見学会など実施していただければいいのですが?
 
(追記)
松尾ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2814 松尾ダム(1708)
宮崎県児湯郡木城町中ノ又
小丸川水系小丸川
FNP
68メートル
165.5メートル
45202千㎥/33699千㎥
宮崎県県土整備部
1951年
◎治水協定が締結されたダム


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