文科省調査
全国の公立高校の学習用端末について、本年度中に11県が生徒に1人1台を整備する予定であることが文科省の調査(10月現在の速報値)で分かった。また、約半数の25の自治体が1人1台の整備目標を掲げていた。政府の「GIGAスクール構想」で小・中学校に1人1台の情報端末の整備が前倒しで実施される中、高校でも環境の整備を急いでいる実態が浮かんだ。
本年度中に公立高校に端末整備を終えるのは秋田、群馬、富山、福井、岐阜、和歌山、山口、徳島、愛媛、佐賀、大分の11県。財源は、本年度の補正予算で計上された新型コロナウイルスの臨時交付金を利用する自治体が多いという。山梨県と広島県では来年度以降、保護者負担で整備する予定。
また、1人1台には届かなくても、38自治体は本年度新たに整備を進める。12月までに全ての自治体が関連経費の議会承認を得て、年度末までに34自治体が納品を予定している。
文科省は令和4年度までにICT環境整備に毎年1805億円の地方財政措置を講じている。高校の端末整備状況は今年3月現在で1台当たり4・1人。政府は昨年6月、高校でも生徒個人の端末利用も含めて1人1台の環境を実現する方針を示していた。
高校生への1人1台端末配備は国の「GIGAスクール構想」の対象から外れている。
同構想に先立ち、佐賀県は平成26年度から県立高校で1人1台体制の整備を進めた。当初は、保護者に費用負担を求めていたが、平成30年度からは貸与制に改めている。
岐阜 全県立高生にタブレット
岐阜県教委では、約4万2千台を導入。ワードやエクセル、パワーポイントなども使えるよう設定した。タブレット端末の配備は6月の補正予算で承認され、11月から配備を開始。3年生から順に行い、来年1月末までに全生徒に行き渡る予定だ。タブレット端末を使った授業は、教員や生徒、保護者から好評だという。
同県教委は前年度から高校のICT化を進めていた。普通教室には電子黒板やプロジェクターを設置。無線LANの環境も整えた。タブレット端末もグループワーク用に3クラスに5台の割合で用意していた。
全ての高校生へのタブレット端末配布について、同県教委の担当者は「前年度からの準備もあり、現場はスムーズに受け入れられたのでは」と言う。「グループワーク用に配備した端末と同型で、教員や生徒も使い方を知っている」。
新型コロナウイルス感染症による臨時休業の影響も大きいという。「これまであまりICTを活用してこなかった教員も使わざるを得ない状況になった。利便性を実感した教員も多い」と話した。
タブレット端末が配備された、県立高校の教頭は、「環境づくりが重要だ」と指摘する。「先進的な取り組みも、学校ごとにICT機器の配備状況や通信環境が異なると広まらない。岐阜県は全高校で同じ環境なので、周辺校と連携しながらICT機器を有効活用していきたい」と話した。
日本教育新聞より