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大学入試日程、固まる 共通テストは第2日程も設定(朝日新聞EduAより)

2020-06-21 | 共通テスト


 新型コロナウイルスの影響で、変更も検討されていた大学入試の日程がようやく決まりました。11月の学校推薦型選抜(旧推薦入試)の出願と、来年1月の大学入学共通テスト(旧センター試験)の試験日は予定通りに。最も早い総合型選抜(旧AO入試)の出願は、予定された9月1日から2週間遅らせます。総合型選抜を除けば日程に変更はありませんが、「学習の遅れ」を理由にした、共通テストの第2日程(追試)の設定や、各大学の個別試験における出題範囲の配慮など、例年と異なる対応も示されました。

 2021年度入試をめぐっては、高校や大学などの各団体と文部科学省が17日に協議して合意し、19日に文科省が「大学入学者選抜実施要項」を発表しました。主な内容は以下になります。

<決まった内容の要旨>
(1)日程について
・総合型選抜の出願開始は9月15日(2週間後ろ倒し)
・学校推薦型選抜の出願開始は11月1日(予定通り)
・大学入学共通テスト(第1日程)は1月16、17日(予定通り)

(2)第2日程(追試)、その他について
・共通テストは1月30、31日を「第2日程」として設定。第1日程の追試を兼ねる。さらに第2日程の追試として、2月13、14日に「特例追試」を設定
・第2日程は47都道府県に会場を設定(これまでは東京と大阪のみ)
・第2日程の受験は、病気やけがなどの理由のほか「学習の遅れ」が理由でも認める
・第2日程の難易度は第1日程と同じとし、得点調整はしない
・各大学の個別試験についても追試の設定を求める
・個別試験では、主に高3で学習する科目で発展的な学習内容から出題しないよう出題範囲の削減や、選択問題を増やすことを大学に求める
・総合型・学校推薦型選抜の出願時、調査書に高3の評定が記載できなくても可とする

 日程については、新型コロナの影響で5月末まで授業がなかったり、不十分だったりした高校があり、予定通りだと一部の受験生が不利益をこうむるという指摘が出ていました。全国高校長協会(全高長)が全国の高校に日程の希望を調査した結果、約7割は「予定通りの実施を」と答え、約3割は「延期を希望」と回答しましたが、全高長は「一番厳しい状況の地域に配慮をするべきだ」として1カ月の後ろ倒しを求める方針を示していました。全高長のメンバーである私立高校の多くや大学側は混乱を避けるため、後ろ倒しには反対でした。

 こうした中、17日夕の協議は文科省が対応案を示したうえで非公開で開かれました。全高長は文科省案について、「1カ月後ろ倒しという要望もしたけれども難しいということであるならば(追試などで受験生に配慮した)この案はありがたい」と発言したといいます。

 総合型選抜は、AO入試だった昨年までは8月1日からの出願でしたが、今年度の予定では9月1日からと、もともと1カ月遅くしていました。背景の一つは、学生確保のため一部の大学が8月中に合格を発表するなど、AOの早期化が問題視されたためです。それを今回、さらに2週間、遅らせることになりました。ただ、合格発表は11月以降で変わりません。

 また、学校推薦型選抜は昨年と同じ11月からの出願で、新型コロナの影響があっても日程は変えないと決まりました。遅くすると、推薦型で不合格だった受験生が一般選抜に切り替えるのに時間が短すぎる、という理由からです。合格発表は12月以降と決められています。


今回の対応で注目されるのは、共通テストの第2日程(追試)の設定です。

 これまでのセンター試験でも追試はありましたが、時期は本試験の1週間後でした。来年は、第2日程として、新型コロナの潜伏期間をふまえて2週間後と決まりました。また、これまで追試の対象は病気などやむを得ない事情で受験できない人でしたが、今回の第2日程は、長期休校などによる「学習の遅れ」を理由に選ぶことも認めました。ただ、現役生が対象です。

 また、これまでは2カ所(東京と大阪)だった会場も、47都道府県に増やします。文科省によると、第1日程と第2日程の難易度が同じになるように問題を作り、もし平均点に差が生じる結果となっても得点調整はしません。

 では、受験生は第1日程と第2日程を自由に選べるのでしょうか? 例えば、「2週間の猶予がもらえるし、第1日程の内容が分かれば出題傾向も分かるから第2日程を受けるのが有利」という判断も考えられます。

 19日の閣議後会見で萩生田光一文科相は「選びたいということであれば、基本的には第2日程をあらかじめ選ぶということを現役の高校生には可能として参りたい」と語りました。

 17日の協議では「条件として、例えば高校の校長先生から、学習の遅れを何らかの形で証明してもらうというようなことが必要になるのではないか」という意見があったそうです。高校側から、4、5月に十分な授業ができなかったということを伝える手続きなどが想定されます。ただ、「出題傾向を見たいのでこっち(第2日程)を選びたいというようなケースは認められないのではないか」との意見もありました。

 第2日程はどのぐらいの人数が受けるのでしょうか。現時点ではもちろん分かりませんが、47都道府県での会場確保にも関わる点なので、文科省は早めに受験生の意向調査をする必要性を示しています。
緊急対応用の「特例追試」も 大学側には出題範囲などで配慮を要請

 主に高校3年生が学ぶ数学IIIと日本史、物理の教科書
さらに、病気などで第2日程も受けられなくなった受験生を対象に、新規に「特例追試」を第2日程の2週間後、つまり2月13、14日に設けます。文科省によると、協議では「追試の追試(特例追試)についても学習が遅れた人が選択できるようにしてほしい」との声があったものの、「共通テストそのものとは異なる緊急対応用のもので、学習の遅れに応じて選べるようにすることは望ましくない」という意見が出たそうです。19日の閣議後会見で、萩生田文科相は「学習の遅れを理由に『追試の追試』(特例追試)を受けるということは原則認めません」と語りました。

 また、受験生が感染した場合などを想定し、各大学の個別試験についても追試の設定など、受験機会の確保策を決めることを求めています。

 休校の影響で学習が遅れた生徒を想定し、文科省案では共通テストの科目指定で、大学側に配慮を要請しています。例えば、地歴・公民、理科の指定を2科目から1科目に減らしたり、「物理」から「物理基礎」にするといった科目の変更を認めたりする内容です。

 また、個別試験で、主に高3で習う科目(数学III、物理、化学、生物、地学、世界史B、日本史B、地理B、倫理、政治・経済)に選択問題を設けることや、「発展的な学習内容」から出題しないこと、などを強く求めるとしています。

上野創(EduA編集部ディレクター)

以上

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