小島教育研究所

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先日、生物の研究授業を参観しました。その後の思わぬ展開について。

2013-02-14 | X君へのアドバイス
生物の研究授業を拝見しました。とても分かりやすく、かつ最新の研究成果の紹介と、申し分ないものでした。さすが、東大の博士課程を終えられたことが、授業の各所ににじみ出ているものでした。分野は「遺伝とDNA」ワトソンとクリックの二人の論文発表は1953年4月25日号のNature誌であった。(この日付を覚えておいてください。)
ワトソンとクリックはこの論文のお陰で、ノーベル賞を受賞した。
 はるか昔、大学の化学の先生が授業のサブテキストとして推薦されたポーリングの「一般化学」はとても参考になるものだった。現在では化学の一般的、標準的な教科書として定評があるという。このポーリング先生も実は、「DNAの構造」決定に努力を重ねていた。1953年2月には、正しくはないけれど、DNAの螺旋構造について言及した論文を発表している。結論から言えば、ポーリング先生の基本的な研究成果の上に、年若い
二人の発表があった。二人はイギリスのキュベンディッシュ研究所の所員であった。
「完全なパクリではないか?」と誰でも思うだろう。
 もっとも、ポーリング先生は量子化学の先駆者としてノーベル化学賞およびノーベル平和賞を受賞している。ことによると、本来彼はノーブル賞を3つ受賞していたかもしれない。
 彼の業績を知りたい方は、オレゴン州立大学のホームページをご覧下さい。
「ポーリング 化学」で検索すればすぐに見つかります。
ポーリング先生と、ワトソン、クリックの往復書簡も残っています。動かぬ証拠です。
量子化学の着想は、シュレージンガーのもとで研究したことが影響しているのでしょう。
 ポーリング先生の「一般化学」は一級のテキストです。日本語訳は岩波書店から出ています。ふと大学時代の先生の表現が思い出されました。「電子雲がぶらさがるのではなく、ぶらあがっていますね。」
 今は東大理Ⅲに合格し、医学部の5年生の教え子が、教養課程時代、「先生何か面白い本ないですか?」の質問をしてきた。そのとき、とっさに思い出したのが、数学ではなく、ポーリング先生の「一般化学」だった。それから2週間後、彼からお礼の電話が入った。「先生、とても面白く読ませていただきました。なんだか読んでいてわくわくする本でした。」「それは、よかった。で、上巻・下巻とも読んだのかい?」「はい」「さすがだな。」「有難うございます。」
「天才は、天才を知る」ということでしょう。
 なお、生物の授業担当者から、この間の事情を翌日教えていただきました。S先生、有難うございました。
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