平成元年にNECは表題の通り、98-NCを発売した。価格は83万円だったと記憶する。
デモ機などは店頭にあふれていたが、当のNECは真剣に売ろろうといった姿勢が全く見られない。
NEC関係者に問い合わせたところ、概ね次のような回答が得られた。
一枚の液晶画面の生産過程における歩留まりが非常に悪く、正常な1枚の液晶画面を得るために、ボツとなった製品があまりに多かった。おおよそ、100枚製造をすると製品として出荷できるのはたった1枚だったという。原価計算すると、1枚の正常な液晶画面の原価が120万円となり、売れば売るほど損失が大きくなってしまうのでした。
だから、一部販売店では、「売るな!」の通知がNECから来ていたようです。
詰まるところ、世界初にこだわったが故の先行発売だったようです。
その後、カラー液晶の量産化と歩留まり率の向上により、瞬く間にカラー液晶が急速に普及することとなった。
いま有機ELとかが注目を浴びていますが、次の世代の表示装置の研究も、抜かりなく行われています。
カーボン・ナノチューブを利用した表示装置の消費電力は、現行の約100分の1程度になる見込みです。