ここ3,4年、名古屋大学理系数学問題は、ミニ東大化しつつあると指摘してまいりました。今年度、名古屋大学理系数学入試問題の3番は、1972年度の東京大学理系数学入試問題をリニューアルした問題でした。問題の設定が同じで、設問1がまったく同じであり、外接円の半径に関係する隣接3項間漸化式の成立を示すものでした。(2)以降は東大の問題とは趣向を変えた出題になっております。また、2番は有名な「悪魔のクチビル」の問題で、その面積を求めさせる問題でした。ここでも東大理系問題を意識しています。全般に思考力、計算力と結構ハードなレベルを求めていますので、医学部合格者の到達レベルは3題解ければOKでしょう。2完答+α(部分点)が合格最低ラインか?といったところです。他教科はまだみておりませんが、英語、化学の難化も噂されています。名古屋大学の一段の難関化が鮮明になった理系数学入試結果でした。容化した東大理系数学、難化した名古屋大学理系数学。総合して、初めて両大学の難易度が逆転した年として、今年2014年は記録されるのではないでしょうか。
では、そのようになった、背景を考えて見ます。
1.全般に難化しすぎた数学問題を嫌う生徒が増えたのか、このところ受験生の東大離れが激しくなってきた。
(週刊朝日などを読まれたし。)
2.名古屋大学関係者のノーベル賞受賞者(4名)を排出し、理系に強いイメージが世間的に通用し始めた。
(ノーベル賞効果から、名古屋大学の知名度が大幅にUPした。名古屋大学の歴代の学長は、昭和30年代の法学部長1名を除けば、全て理系学部から選ばれていることから分かるように、理系中心大学といえます。)
3.名古屋大学の地理的位置(東大と京大の間)より、優秀な若手、中堅の数理科学研究者が多数集まっている。
(作問能力の優れた先生方が多数存在する、大学院多元数理研究科の豊富な人材を見よ。)
4.2009年に就任された、現総長の濱口道成先生(医学部)の無類の数学好きも大きく影響しています。三重県ご出身で伊勢高校在学時代から、数学がお得意だった由。高校時代の数学の恩師が、名古屋大学主催の日本数学コンクールの現役の実行委員(出題委員)という縁もあり、理数科教育に格段の理解を頂いています。
以上の様々な要因により、名実ともに、名古屋大学理系数学の問題は、日本一の問題の仲間入りを果たした次第です。