演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

7月21日はノイズムの「ZAZA」

2013年07月23日 13時38分29秒 | 観劇の感想

知り合いが推薦している「Noizum」。
一度も観たことがないので観に行ってきました。
静岡芸術劇場で16時開演。
演目は「ZAZA」

  ZA-ZA~祈りと欲望の間に 第1部『A・N・D・A・N・T・E』 第2部『囚われの女王』 第3部『ZA-ZA』


【演出振付】金森 穣
【衣 裳】 堂本教子
【椅子&机】須長 檀
【出 演】 Noism1

井関佐和子(副芸術監督)、宮河愛一郎(からだワークショップ担当)、
藤井泉、中川賢、真下恵、青木枝美、藤澤拓也、宮原由紀夫、亀井彩加、
角田レオナルド仁、石原悠子(準メンバー)

よかったのは
・集団で動いたり止まったりするのがきれい
・止まっているシーンがきれい

いまいちだったのは
・冒頭や最後に流れるナレーションや説明の字幕が邪魔
・演出が単調
・さりげない照明がない

踊りは確かにうまいんだけど
京都の大駱駝鑑公演で観た様な
仮面の奇妙なエロチックさとか
池袋のサンシャインの下の公園で観た
勅使河原三郎の、ガラスを踏んで踊るソロとか
ああいう衝撃を受けるようなものを感じなかった。

演出については2時間しっかりと魅せる
山海塾は演出がうまかったんだと改めて感じた。

それでも、観ておいてよかった気がする。
見ている最中に「自分にはこのよさを認識する才能がないのかもしれないな」
と、思わせられたからだ。


今年の批評のスタイルは

2013年02月06日 23時18分21秒 | 観劇の感想

いいところを褒めるのが苦手です。
「役者は年をとるにつれて相手に対して優しくなり、逆にスタッフは年をとるにつれて厳しくなる」とどこかに書いてありましたが
スタッフに優先されるのは「感情」ではなくて「技術」なんで、これは当たり前だと思います。

ただ、「ほめてほめて」というのが最近の風潮なんで
「褒めて伸ばす」というのもありなんでしょうけど。

さて、困ったものです。
私はスタッフ出身なので、普通の役者出身の方のようなお芝居の見方をしません。
どうしてもスタッフの目で見るのです。

だから、役者ってのはうまくても下手でもそんなに問題にならないというか、きっちりできていればいいわけで
逆に目立たないからいいって場合もあるわけです。
そんななかで、目立つやつに「うまい」というのは簡単なんだけど、普段「色をつけないように努力している」立場としては
それが、正しい道だと思われても困るわけです。
プロになるのでなければいいのだけど、「うまい」といわれると錯覚する人も結構いるわけで、簡単にプロを目指したりします。
そういう人が、次の誰かにめぐり合ったときにその相手に合わせて変れないと、簡単に挫折してしまいます。

つまり、いま「うまい」とか「面白い」というのは(高校生としては、とか大学生としては)というカッコつきなんですね。
(もちろん例外もあって、高校生時代からずっと面白い人もいます)
ただ、そういう人は優秀な指導者や支えてくれる相手に早くからめぐり合っているのだと思います。

毎年こんなに卒業生がいるのに、衰退する一方の地方劇団の現状とかを考えるヒントは
このあたりにあるのかもしれません。

去年某高校を公の場で批評をすることになって
「観客動員」とか「制作」「メイク」「照明」について技術的な批評と説明をしたら
かなり戸惑っていたようすでした。

さて、困った。





夜にめぐりて

2013年01月20日 20時16分53秒 | 観劇の感想
上演した記憶がなかった作品ですが
DVDを観返したら、なかなかいい感じでした。
そうか、こんな作品だったのか。
って、作者が納得してどうするんだ。

どうでもいいようなセリフが
ずらずらと並んでいるってのも
一人芝居だとありなのかな?

女優と連絡が取れれば
youtubeにでもアップするんですけど。

スクーターでえっちらおっちら

2012年11月25日 17時56分37秒 | 観劇の感想
女性から「観に来てね」と言われると
断れない、性格なので
第36回静岡県高校学校演劇研究会を、
浜北まで観にいってきました。

しかし、朝起きたら7時半
公演は10時45分から、ということは
自転車は無理。

では、スクーターで行くことにしましょう。
だが
エンジンどころか
トランクも開きません

なんじゃー

この間あがったバッテリーか
しかし
バッテリーをチェックしたら健全

キーの電池が寿命のようで
キーを交換。

はい、浜松には10時15分に到着
しかし、聞く人聞く人
なんか変なんですよね
みんな、違う場所を教えてくれているみたいで

そしてたどり着いた
浜松教育文化会館「はまゆう」
そして職員の方に教えてもらって
で、分かったのは
会場が「浜北文化会館」だったのだ。
なんてこった。
みんなが当惑しながら教えてくれるはずだ。

まあ、しかたがない。
10時45分には
遅れてしまったが
11時過ぎに到着。

最初は韮山高校の「コンクリートフーガ」
え、静岡女子高じゃなかったの?

途中からでしたが
「わからんちん」でやっちやいけない芝居のうち
「テーマが前面に出ている芝居」というやつですね。
セリフはきっちり聞こえましたけど
ストーリが途中からだったためよく分からん。
が、まあ、救いのない結末で終了。

ここで、昼休み。
駅前の蕎麦屋でたぬきそばを。
なんか味が薄い。
量は満足の630円。

二番目は吉原高校「かごめかごめ」
上の韮山高校と同じ。
原発問題でみんなが忘れているのは
CO2の問題だ。
もともと、原発ってそこからスタートしたはずなんだけど。
地球温暖化だって待ってくれないぞ。

結末に救いがあるだけいいか。

ここで、衝撃の事実が
終わってしまったとばかり思っていた
静岡女子は13時過ぎだと判明。
9時45分スタートだったのかと思ってました。

さらに、思いがけないアナウンスが
「写真・ビデオ撮影は、事前に許可を受けたかたのみとさせていただきます。撮影場所が指定されておりますので、ご協力ください。」

館内の張り紙には規制は「ビデオ」の場合だけだったけど。
「かごめかごめ」は練習で写真撮ったけど。
では、やめにしときましょう。
ただ、あの位置からじゃ
よほどの技術がなくちゃ
まともにビデオ撮れないと思うけどなあ。
距離がありすぎなんだよね。

肝心の静岡女子高
成井豊作「また逢おうと竜馬は言った」

終わった瞬間、後ろの席から
「疲れた。セリフが聞き取れない。
シーリングがひどくて表情が見えない」

そうなんです。
おっしゃるとおりです。
上演前の後ろから聞こえてくるの会話を聞いたところでは
演劇関係者のようです。

岡部のときもそうだったけど
セリフをほえてしまうんで聞き取れません。
これは、簡単に直りそうですけど。


会館の照明さんは
恐ろしく下手で
(浜松市は来年度の委託契約を見直したほうがいいと思う)
節電したら市から喜ばれるのか
という、さいてーの照明でした。
最初に観た2校の照明もひどかった。

こんな照明をやるホールは生徒のためになりません。
32あるシーリングで生きていたのは8灯程度。
ステージスポットとかがまったくないうえに
シーリングの当て方を間違えているので
まったく表情が見えません。


あと、ひとつだけ。
竜馬君、小技はやめよう。
受けるけど
一番大切なものが見えなくなる。

全体的には受けもよく
よかったのでは。

点が厳しくなるのは
観るのが二回目だから。

帰りは結構渋滞していて
間をすり抜けられる
スクーター(250cc)で正解でした。


追記:本番中の照明もよくなかったですが
客電の付け方にもセンスのなさを感じました。
会場自体が昼間公演するには向いていないのかもしれません。
客電をつける前に、後ろの扉が開くので
どっちらけって感じになるのです。

お芝居は、劇場に入った瞬間から始まって
劇場を出るまでがお芝居のはずなんですけどね。

牧良介さん

2012年10月21日 11時01分36秒 | 観劇の感想
大学生のころ、いなかっぺいさんの「消しゴムでかいた落書き」という詩集を原作とした「酔いどれの雪街」という舞台を見た。
主演がいなかっぺいさんで、演出が牧良介さんだった。
アパートに住む人たちの、話を描いたものだったが、ちょっと脚本的には古いかなあなどと生意気盛りの大学生のころは思ったものだが、今考えるとよくできたコメディだった。

その牧良介さんと再会したのは、大谷だった。
山本寛斎さんのファッションショーの手伝いの時だったのだろうか。

劇団「雪の会」の水道屋さんの個展を大谷の採石場跡でやった時だったことは確かだ。

この話は過去2回書いているが、高木恭三さんのことを書いていたら、また思い出してしまった。

高校時代に観た心に残る舞台

2012年03月17日 16時42分02秒 | 観劇の感想

高校生のころは東京演劇アンサンブルの舞台が好きだった。
ただ、政治色の強いものはあまり出来がよくなかったように思う。
よかった順番に上げると
1「奇跡の人」
2「ガリレオガリレイの生涯」
3「第三帝国の恐怖と貧困」
一年に一本の割合だからこんなものだろう。
ちょうど、このころチェーホフの「かもめ」も上演していたのだそうだが
静岡には来なかった。
知り合いの先生は金沢まで追っかけて観てきたそうだ。
たぶん、一番いい出来だったのだろう。
この後の数字は、何本観たのかなと
記憶をたどっているだけなんで、順番は関係なしです。

民芸は記憶しているので3本かな?
4「三人姉妹」
5「にんじん」
6「るつぼ」
三人姉妹はチケットが高かった記憶が。
「るつぼ」は舞台装置を作るのをそばで見学させてもらっていたし
「にんじん」はばらしを見学させてもらった記憶が。
「るつぼ」のときには、米倉 斉加年さんが舞台装置のたたきをやっていたところへ
会場の後ろから滝沢修がセリフを朗々と喋りながら登場。

青年座
7「写楽考」
西田敏行の初主演作品で、面白かったけど西田敏行の下手さが目立った舞台だった。
それくらい周りがうまかった。

三十人会
8「ほらんばか」「リンゴの秋」(2本立て)
なんとなく大好き。
説明できないけど好き。

俳優座
9「ハムレット」
10「母」
もっと観ているような気もするのだが。
「ハムレット」は装置が斬新だった。

四季
11「お気に召すまま」
もう一本ぐらい見ているような気もするが。

東京キッドブラザース
12「八犬伝」
ばらしを手伝って、疲れ果て翌日起きられなかった。
状況劇場を観そこなった。

状況劇場
13「二都物語」
14「海の牙」
最高に面白かった。
一番状況劇場の油が載っていたころだろう。
そのあと浪人時代とか社会人になってから「唐版・風の又三郎」とかいろいろ観ているはずなんだけど
記憶が・・・・。

早稲田小劇場
15題名を覚えていません。
アラバールの作品をアレンジしたものでした。
白石さんは出ていたのかな?
岩波ホールの「バッコスの信女」のほうが記憶に残っています。
ただ、高校生の時に観たのではないよなあ。

文化座
16「春香伝」
エキストラで出演。
ラストシーンで「マンセーマンセー」と踊るだけでした。
舞台装置が途中で壊れてきているのを、スタッフが必死で支えているのを
袖から観ていました。


17「タルチェフ」
スマートな舞台で面白かったです。
オルガンの使い方がよかった記憶が。

文学座
18「花岡青洲の妻」
もっと、観たはずですが記憶にありません。

テアトルエコー
19「11匹の猫」
20「珍訳聖書」
11匹の猫は面白かったけど
珍訳聖書はいまいちでしたね。
期待して損したってやつです

黒テント
21「百連発」「シュールリアリズム宣言」(2本立て)
うーん、いまいちでした。

ほかにもいろいろ観ているはずですが記憶があいまい。
ちゃんと、記録しておけばよかったかな。

個人的な記録でした。




冬物語

2011年08月01日 23時22分18秒 | 観劇の感想

「子供のためのシェイクスピアカンパニー」はネットで見つけてずっと見たいと思っていた。
http://koche.a.la9.jp/

昨年は、個人的な所用で観劇できなかったのだが、今年やっと観ることが出来た。
オープニングはBARBATUQUES風のパーッカションから。
まあ、もちろん役者さんがやる程度ということで。
お隣のかたは、このパーカッションが理解できないようで
「何であんな拍手が入るのか分からない」とおっしゃってました。
「劇中の音楽を自分たちでやっているのです」と芝居を観ている最中には言えません。
観ている最中に言って欲しくもなかったなあ。

‪BARBATUQUES - Percussão Corporal - sp br‬‏ - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=atPmM1xzWek
‪Barbatuques‬‏ - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=XCzjk9PDHb4


そういえば、SPACの「野田版真夏の夜の夢」でも、役者がバックバンドをやっていた。

今回いちばん注目していたのは、あの面白くないシェイクスピアをどうやるのかだった。

名作といわれているから、みんな我慢してみているけれど、実はそんなに面白いものではないと
個人的には思っている。
過去に観たのでいちばん面白かったのは文学座の藤田弓子主演の「十二夜」だろうか。

個人的には好きな演出のスタイルだった。
役者はどちらかというと人形のような扱い方なのだろうか。
衣装が変われば、役が替わるのだ。

スピード感のある場面展開。
舞台装置の高さをうまく使った演技もいい。
子供にはそれだけで、面白かっただろう。

でも、難しいのだろうなあ。
逆に大人には。
「前半はつまらなかったけれど、後半は面白かった」
とお隣は言って会場を去っていった。
後半を面白く見せるための工夫が前半には一杯あったのだが。

なおも残念だったのは学生1000円という破格の料金なのに
観客のほとんどが大人で
観客席が半分も埋まっていなかったことだ。

お近くで上演されるならぜひ。
雰囲気に慣れるまでが、ちょこっとつらいかもしれませんが
今日本で上演されている中で最高級の舞台のひとつであることは
間違いないと思います。

もっとたくさんの高校生に観てもらいたかった。



演劇三昧

2011年06月06日 19時34分05秒 | 観劇の感想
日曜日は朝から川の草刈。
組長と来年の組長が参加します。
川の草刈が終わったのが10時過ぎ。
草を刈る前
刈ったあと

12時半から静岡芸術劇場でSPACの「真夏の夜の夢」を観る。
選挙ボランティアで知り合ったTさんのご親戚が出演されているというので
チケットをいただいたのだ。

出来は今までのSPACのなかではいいほうだった。
ただ、前半のいかにもSPAC調という部分はいただけない。
中盤からのテンポのよさを最初から維持してくれればよかったのに。
笑いは起きるものの、大爆笑にならないのも今後の課題だろう。

装置も面白かったし、照明もきれいだった。
まあ、5台もムービングライトを釣って1台しか使わなかったのは
なぜか?とか、客席にまぶしいライトは何の意味があるのか
とか疑問はたくさんあるのだけど。

一度家に帰って、18時半に舞台芸術公園へ。
野外劇場で庭劇団「ベニノ」の「エクスターズ」を観るはずなのだが
開演時間を間違えました。19時半からでした。
客入りです

この芝居、老婆6人と男3人がある施設で過ごす話なのだが
ほとんど台詞がなくて、歌ばかり唄っているのだ。
しかし、なんとなくシュールで面白い。
会場はだんだん笑いが大きくなって
最後の頃は大爆笑に次ぐ大爆笑だった。
カーテンコールも5回に及びこのカーテンコールも大爆笑でした。
こんな舞台装置です
これは開演前なんで、ピアノが養生されています。

それから、バラシの手伝いをして、10時過ぎから打ち上げに参加。
美術の手伝いに来たA君と2時近くまで飲みました。
今日もバラシの続きを朝9時から夕方5時まで。
とにかく、高さ10.8mという巨大な舞台装置なので壊すのも手間でした。
床のバラシ
友人のA君。
お菓子の差し入れ。

やっぱり、お芝居は面白い。

2本目は「おっとっとっと 三度笠」

2010年06月27日 08時18分06秒 | 観劇の感想

小雨の降る中スクーターでいって来ました。
しかし、昨年も行っているはずなのに
うろ覚えなので、通り過ぎてしまい会場に着いたのがぎりぎり。

良くも悪くも予想通りというか
あ、こういう演出が本来なんだろうなと
思わせる舞台でした。

芸達者でないと、やっていられない。
芸を持っていないと、場が持たない。
初心者にはちょっとつらいか。
前回この会場で観た「江川太郎左衛門」の芝居は
きっちり作らなくてはならないから、作風にも演出も合わなかったようだ。

転換だけは何とかして欲しい。
2割は面白さが増すのに。

あと、素人とプロの混成チームなんで
プロはゆっくりしゃべっているようで
早い、ということがよく分かります。

お客さんはよく笑って
こういうのもありかなとは思います。
お客さんが2/3ぐらいだったのが残念。

あと、地元の中学生の演劇部が「ちゃっきり節」を踊っていた。
新民謡として認識されているからいいのかもしれないが
「静岡鉄道のCMソング」なんだよなあ、と妙なところで違和感が。
ま、可愛いからいいか。
バージョンもザピーナツの「ちゃきり、ちゃ、ちゃ、ちゃ」だし。

ちゃっきり節のウィキ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%A3%E3%81%8D%E3%82%8A%E7%AF%80


一本目は「楽屋」

2010年06月26日 08時41分00秒 | 観劇の感想

演劇ユニット『 ひ・ま・た・く 』

脚本:清水邦夫 作
『楽屋』
2010.06.18 午後19時の回を観劇。

演出のくぼしょうこからのメールが来たのが水曜日。
初めてあったのが1982年なんで知り合って28年ということになる。
今回で静岡を去って、関東に拠点を移すとのこと。

芝居のほうは、後半に若干息切れがしていたが(たぶん前半と後半とで練習量に差があるのだろう)
全体としてはうまくまとまっていて楽しめた。

最初と最後に画像を使っていたが、これは好みが分かれるところだ。
自分としては文字の意味だけが印象に残るのと
音楽と文字だけの時間が続くのは好みではない。

もうひとつは脚本の選定だが、今この脚本は観客にとって面白いのだろうか。
最近はチェーホフの脚本をほぼノーカットで上演されたものを観たことがない人がたくさんいるのではないだろうか。
実は、1970年代はチェーホフとシェイクスピアが異常にたくさん上演されていた。
民芸の「三人姉妹」と東京演劇アンサンブルの「かもめ」がヒットしたのが1973年だっただろうか。文庫でチェーホフがたくさん出てきたのもこの頃だった。
同じ頃シェイクスピアも小田島新訳が出始めて、俳優座の斬新な「ハムレット」を皮切りに多くの劇団がシェイクスピアを上演し始めた。
映画でも「マクベス」が製作されたのはこの頃だった。
つまり初演された1977年にはチェーホフの作品もシェイクスピアの作品もノーカット版での上演を見ている人がたくさんいたわけで(本もよく売れていた)こういう引用劇も二重に楽しめたわけだ。

初演のリストがWebにあったので引用してみる。

1977(昭52)年7月13日~16日
木冬社第2回公演
会場:渋谷ジァンジァン
演出:秋浜悟史
美術:大野泰
照明:日高勝彦
効果:深川定次
舞台監督:織田忠正
出演:松本典子(女優C)/安部玉絵(女優A)/中野礼子(女優B)/新野加代子(女優D)

ここで注目したいのは美術の大野泰さん。「ぼくらが非情の大河をくだる時―新宿薔薇戦争」「泣かないのか?泣かないのか一九七三年のために?―にぶき光の残酷ショー―」で高く評価された舞台美術家だ。
いずれの作品も雑誌に掲載された舞台写真でしか観ていないが、演出を助ける美術をいつも考えているらしい。今回の舞台を見ていて、鏡の位置が違うのかなって、当時の舞台写真を思い返しながら思った。自分が大野泰さんの美術とかかわっていた時期は、芝居の話は出なかったので、聞きそびれたのだ。

まとまりのない感想になってしまったが、細かいことをグダグダ書いても仕方がない、というか技術的な問題はほとんどなかったし、あとは好みの問題だから、書いても意味がないことだけだ。
美術については個人的な防備録。