前に「説明する」「語る」「会話する(しゃべる)」は違う、と書きましたが、一番端的にこれを実感できるのは「落語」です。
落語はほとんどが会話で構成されています。
ただ、本筋に入る前に「枕」で時代背景を説明したりします。
それから、たとえば「芝浜」というような落語では次のように語りだします。
「魚屋といいましても、店を構えているのもあれば、天秤棒に魚を入れる器を下げまして、ほうぼう売って歩きます、棒手振りという魚屋もあります。その棒手振りの熊五郎。大変に酒が好きで、仕事に行かない日が続きます。借金だらけ。暮れへかかって、にっちもさっちもいかなくなった。」
これは地の文とも言いますが、ここが語りです。
それから、会話になります。
いかがですか、一度落語を聴いてください。
図書館だと無料でCDを貸してくれます。
枕についてはフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%BD%E8%AA%9E
本筋に入る前に演目に関わりのある小話が語られ、これを「枕」という。これの果たす役割は、小話で笑わせて、本題の前に聴衆をリラックスさせる、本題に関連する話題で聴衆の意識を物語の現場に引きつける、落ちへの伏線を張る、などが挙げられる。
古典落語の演題の中には、現在では廃れてしまった風習、言葉を扱うものがあり、それらに関する予備知識がないと、話全体や落ちが充分に楽しめないことがあり、枕がこの目的にあてられることも多い。