女性セブン 6月23日
「隔週リレー対談 北杜夫のマンボウ・パジャマ対談10 ゲスト手塚治虫さん」
北杜夫 手塚さんの女性観はどうなんですか。
手塚 「ぼくは、女性は不可解なほうがいいと思っている。ぼくの『フースケ』って漫画、ごらんになった?」
北杜夫 ええ、拝見しました。
手塚 「あれに、ほら、女の子が月夜の晩にオオカミになる話があるでしょう?ぼくの女性観ってのは、結局、あれですよ。」
北杜夫 なるほど
手塚 「ふだんはかわいいが、結局、異性物であるとね。女性は生まれつき天使と悪魔をもっているとおもうのよ。
週刊漫画サンデー 7月9日
「近藤日出造・杉浦幸雄の歩く座談会503回・日本最初のエロチズム漫画映画完成す!」
近藤日出造 「そしておそらく、虫プロ作品『千夜一夜物語』においては、見るものに嫌悪の情をもようようなさせる描き方はしていないんだろう」
杉浦幸雄 「じつにその、芸術的で、いいムードがあって、男女重なって波打つ形の美しいこと」
手塚治虫 「たいしてエロじゃないでしょう。じつは、ヘビはぼくが描いたんですが、描いていて、どうもおもしろくないな、と思って・・・・とまってるエロと動いているエロがあるんですね。
小島功さんのエロは、とまってるエロじゃないかと思うんです。ぼくのほうは動くエロで、動くエロってのは、一枚一枚を見ると、ちっともエロじゃない。あのヘビの場面もそうなんですよ。自分で描いた一枚一枚、ちっともエロじゃない。だからどうも、おもしろくない。
週刊現代 7月10日
『千夜一夜物語』で大うけした手塚治虫の憂鬱」
『千夜一夜』の美術監督のやなせ・たかし氏も、「はじめ、ぼくのところに話のあったとき、うんとエロチックにいこうという方針でした。が、手塚マンガを公開すれば、来るなといっても子供も来ます。そのときひどすぎるとこまるので、ずいぶん手加減したのですよ。
先生のコメント
「いまやオトナが子供のマンガをふんだくって読むぐらいですから、こどもだってオトナのマンガを見てもいいわけだ。ところがオトナは自分たちの楽しんでいるエロを子供に知られるのが恥ずかしいあまり、文句をいう。身勝手ですよ」
「例えば、子供がフロ場で裸のパパを見て『エッチね』というのは、パパのペニスをさしていうのではなく、それをブラブラさせている滑稽なニュアンスをふくめたもので、おとなの想像とはずいぶん距離があるんだ。だから、千夜一夜が完成したとき、私は自分の小学生と幼稚園の子供に映画をみせたのだが、ああいうセックスの場面を見てエロを感じるのは経験者だからで、経験のない、子供はケロリとしてみているんですよ。要するにおとなが色メガネでみてカラ騒ぎしてるだけです」
この中で渋谷パンテオン営業部主任の小林拓蔵氏は
「事務所の電話は『手塚さんの映画だから子供がいきたいというのですが、どうでしょう』という問い合わせ電話が鳴りっぱなしで困るんです。そのたびに『やはり内容が内容ですからねえ』と、それとなく申しあげてはおりますが」
千夜一夜物語は、古川社長自身「ちょっと当たりすぎましたなぁ」と高笑いするくらいあたった。現在の配収予想は三億二千万円。
実際はこの年第三位の興行成績三億六百万円となり、劇場用アニメーションとして異例の大ヒットとなったのでありました。
手塚先生は大人の漫画映画という新しい境地の開拓に成功したわけです。しかし、株式会社虫プロダクションとしては、喜べませんでした。
契約条件を思い出してください。収益の比率七対三でした。そのため、虫プロは六千五百四十万円しかいただけなかったのでした。制作費は当初の予算を大幅に上回って七千四百五十万円かかっていました。当然赤字となりました。
虫プロの給料体系で残業代は七十時間で打ち切りと決まっていました。七十時間を越えると、残業代は付かなかったのです。多くのスタッフは徹夜で仕事をしました。一週間徹夜を続けると七十時間は、すぐに超えてしまいます。女性のスタッフでさえそうでした、
後の三週間分はただ働きです。ただし、残りの残業分は代休として一日八時間で計算され残りました。一月で30日分の代休が付いたわけです。新入社員でも初めに有給が12日間ありました、その後は毎年増えていきました。ですから何かあってもほとんど、有給で間に合っており、有給ですら使いきれない人がほとんどでした。
虫プロを辞めるとき、代休が清算されたという事実はありません。虫プロが倒産した時は、それど頃か、給料でさえでしたので、結果的には、ただ働きになったわけで、この分を制作費に入れていたら、制作費はもっと膨らんでいるのです、実際に言われている制作費は現実とはかけ離れていることを、もっと大勢の人に知って欲しいです。
「隔週リレー対談 北杜夫のマンボウ・パジャマ対談10 ゲスト手塚治虫さん」
北杜夫 手塚さんの女性観はどうなんですか。
手塚 「ぼくは、女性は不可解なほうがいいと思っている。ぼくの『フースケ』って漫画、ごらんになった?」
北杜夫 ええ、拝見しました。
手塚 「あれに、ほら、女の子が月夜の晩にオオカミになる話があるでしょう?ぼくの女性観ってのは、結局、あれですよ。」
北杜夫 なるほど
手塚 「ふだんはかわいいが、結局、異性物であるとね。女性は生まれつき天使と悪魔をもっているとおもうのよ。
週刊漫画サンデー 7月9日
「近藤日出造・杉浦幸雄の歩く座談会503回・日本最初のエロチズム漫画映画完成す!」
近藤日出造 「そしておそらく、虫プロ作品『千夜一夜物語』においては、見るものに嫌悪の情をもようようなさせる描き方はしていないんだろう」
杉浦幸雄 「じつにその、芸術的で、いいムードがあって、男女重なって波打つ形の美しいこと」
手塚治虫 「たいしてエロじゃないでしょう。じつは、ヘビはぼくが描いたんですが、描いていて、どうもおもしろくないな、と思って・・・・とまってるエロと動いているエロがあるんですね。
小島功さんのエロは、とまってるエロじゃないかと思うんです。ぼくのほうは動くエロで、動くエロってのは、一枚一枚を見ると、ちっともエロじゃない。あのヘビの場面もそうなんですよ。自分で描いた一枚一枚、ちっともエロじゃない。だからどうも、おもしろくない。
週刊現代 7月10日
『千夜一夜物語』で大うけした手塚治虫の憂鬱」
『千夜一夜』の美術監督のやなせ・たかし氏も、「はじめ、ぼくのところに話のあったとき、うんとエロチックにいこうという方針でした。が、手塚マンガを公開すれば、来るなといっても子供も来ます。そのときひどすぎるとこまるので、ずいぶん手加減したのですよ。
先生のコメント
「いまやオトナが子供のマンガをふんだくって読むぐらいですから、こどもだってオトナのマンガを見てもいいわけだ。ところがオトナは自分たちの楽しんでいるエロを子供に知られるのが恥ずかしいあまり、文句をいう。身勝手ですよ」
「例えば、子供がフロ場で裸のパパを見て『エッチね』というのは、パパのペニスをさしていうのではなく、それをブラブラさせている滑稽なニュアンスをふくめたもので、おとなの想像とはずいぶん距離があるんだ。だから、千夜一夜が完成したとき、私は自分の小学生と幼稚園の子供に映画をみせたのだが、ああいうセックスの場面を見てエロを感じるのは経験者だからで、経験のない、子供はケロリとしてみているんですよ。要するにおとなが色メガネでみてカラ騒ぎしてるだけです」
この中で渋谷パンテオン営業部主任の小林拓蔵氏は
「事務所の電話は『手塚さんの映画だから子供がいきたいというのですが、どうでしょう』という問い合わせ電話が鳴りっぱなしで困るんです。そのたびに『やはり内容が内容ですからねえ』と、それとなく申しあげてはおりますが」
千夜一夜物語は、古川社長自身「ちょっと当たりすぎましたなぁ」と高笑いするくらいあたった。現在の配収予想は三億二千万円。
実際はこの年第三位の興行成績三億六百万円となり、劇場用アニメーションとして異例の大ヒットとなったのでありました。
手塚先生は大人の漫画映画という新しい境地の開拓に成功したわけです。しかし、株式会社虫プロダクションとしては、喜べませんでした。
契約条件を思い出してください。収益の比率七対三でした。そのため、虫プロは六千五百四十万円しかいただけなかったのでした。制作費は当初の予算を大幅に上回って七千四百五十万円かかっていました。当然赤字となりました。
虫プロの給料体系で残業代は七十時間で打ち切りと決まっていました。七十時間を越えると、残業代は付かなかったのです。多くのスタッフは徹夜で仕事をしました。一週間徹夜を続けると七十時間は、すぐに超えてしまいます。女性のスタッフでさえそうでした、
後の三週間分はただ働きです。ただし、残りの残業分は代休として一日八時間で計算され残りました。一月で30日分の代休が付いたわけです。新入社員でも初めに有給が12日間ありました、その後は毎年増えていきました。ですから何かあってもほとんど、有給で間に合っており、有給ですら使いきれない人がほとんどでした。
虫プロを辞めるとき、代休が清算されたという事実はありません。虫プロが倒産した時は、それど頃か、給料でさえでしたので、結果的には、ただ働きになったわけで、この分を制作費に入れていたら、制作費はもっと膨らんでいるのです、実際に言われている制作費は現実とはかけ離れていることを、もっと大勢の人に知って欲しいです。