新型コロナウイルス感染拡大に伴い、あらゆる分野で「自粛」が呼びかけられ、特に「特措法」による「緊急事態宣言」が発出されてから8割外出自粛により、裁判所、労働委員会の機関も「停止」の状態に陥っています。
争議団、支援共闘会議としても「うつらない、うつさない」という立場を堅持することを確認し、争議の自主的話し合いを基本に、株式会社明治・親会社明治HDに対する「本社前座り込み・第52次(4月17日)」行動を「中止」としました。行動の冒頭に、株式会社明治・松田克也社長と明治HD川村和夫社長へ「申入れ」を行ってきていますが、真摯な対応がないためにその都度社長自宅への「申入れ」として訪問しています。
この度は、先に述べましたような事態から座り込み申入れは無かった中で、4月18日付けで「郵送・申入れ」となりました。株式会社明治・松田克也社長への「申入書」を紹介します。尚、役員宅訪問は、松田社長をはじめ明治HD・川村和夫社長、同松尾正彦会長、 株式会社明治・中山悠名誉顧問、同浅野重太郎名誉顧問宅を訪問していますので、「郵送」としました。
2020年 4月18日
株式会社 明治
代表取締役 社長 松田 克也 殿
神奈川県労働組合連合会
議 長 角谷 和典
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小関 守
申 入 書
━━ 明治乳業時代の人権否定と差別は明白、貴社の解決責任に時効はあり得ません
松田社長、都労委残留事件の審査開始を待たずに全面解決を決断すべきときです━━
ご承知の通り、新型コロナウイルスの地球規模での感染拡大は極めて深刻であり、日本においても「緊急事態宣言」が発せられる事態となっています。また、貴社がスポンサー契約を締結している東京オリ・パラ競技大会も来年夏に延期されました。
私たち争議団も感染拡大に最大限留意し、予定している行動を可能な限り「自粛」しながら、貴社に対して争議解決を求める必要最小限の行動継続に留めています。
高裁での「和解勧告」は、粘り強い指揮の発揮もなく不調に終わりました。しかし貴社には、審理の到達点から判断しても争議を継続すべき道理は無くなっています。
私たちは貴社及び明治HDに対し、全国事件への中労委命令(17年1月)を契機に全面解決を求める「申入れ」を毎月行っていますが、その根拠は中労委命令の事実認定と「付言」にあります。中労委命令は、不当労働行為事件の判断要件である集団間格差の存在を「紛れもない事実」と断定し、不当労働行為意思についても「会社は非難を免れ得ない」と厳しく指摘したのです。そして重要なのは、この中労委命令「付言」の内容が、地裁判決及び高裁判決でも維持されていることです。私たちは、この道理ある全面解決への道筋を目指し「緊急事態宣言」の厳しい状況下ですが、6月の株主総会を視野に置きながら、貴社及び明治HDに決断を強く求めて奮闘しています。
オリ・パラ大会が延期になった今、企業戦略に照らし長期争議を抱えるリスク判断を
新型コロナウイルスの感染拡大は、労働委員会や司法の審査・審理にも深刻な影響を与えています。お伝えの通り私たちは、貴社及び明治HDが明治乳業時代からの差別や人権侵害など、歴史的事実として第三者機関で認定されたことを率直に認め、解決への姿勢を示さない限り第三者機関での闘いを継続せざるを得ないのです。従って、高裁不当判決の上告審と同時に都労委「残留事件」の審査も開始予定ですが、「緊急事態宣言」の影響で滞留している状況です。しかし、私たちが強く求めているのは審査・審理の開始よりも、中労委命令「付言」が示した「当事者双方の互譲による合意」への道筋です。松田社長、経営戦略上も重要なオリ・パラ商戦が来年夏に延期となった今の局面でこそ、6月株主総会を節目に古い企業体質の象徴である長期労働争議を全面解決し、国際市場への本格的な飛躍を目指すべきではないでしょうか。
以上