明治ホールディングス第5回株主総会に質問書提出する
6月13日午前11時45分から総務グループ長(他2名)に、6月27日に開かれる株主総会に対しての質問書を提出しました。
以下、3つの質問項目を説明しました。それに基づき、①株主総会参加者に質問概略を配布していただきたい。②総会前に回答を求め、その内容によって当日総会で対応していきたい。を申し入れました。グループ長は、約款に沿って対応しますと聞き取れない小さな声で答えました。
1、経営施策、経営理念にかんする質問
2、牛乳・乳製品などの放射能汚染への対応に関する質問
3、社長が交代されることを契機に「負の遺産」である労働争議の全面解決を求める質問
2014年6月13日
明治ホールディングス株式会社
代表取締役社長 浅野 茂太郎 様
賛同株主46名の代表株主
株主 小関 守
株主 篠崎 力
第5回 明治ホールディングス株式会社株主総会に対する「事前質問書」
はじめに
明治ホールディングス株式会社(以下、単に明治HD)の第5回株主総会に対し、趣旨に賛同される株主の連名で質問書を提出します。今期株主総会の最大の問題は、経営統合から5年も経過しながら、いまだ「相乗効果」が発揮されずに業績が低迷していることです。その原因は、消費者の重大な関心事である放射能汚染問題への不誠実な対応や、多くの大企業では解決済みの労働争議を、今でも3件も未解決のまま抱えていることに象徴されるように、消費者が安心して受け入れることのできない、異常企業体質が業績低迷の背景にあると私たちは確信しています。
この異常体質を長期に放置してきた経営陣の責任は極めて重大です。これらの問題を踏まえ、今期株主総会に対し下記の質問を行います。当然のことながら、全項目への回答を求めると同時に、総会議場での発言が異常に規制されることのないように厳しく申し入れておきます。
尚、6月23日までに文書で回答されることを求めます。
記
1、経営施策、経営理念にかんする質問
(1) 統合効果と経営責任について
2009年に明治乳業と明治製菓が経営統合をしましたが、下記のとおり統合効果が発揮されていません。また、売上高が昨年度と比較して増加しているのも、製品の値上げ効果によるものとしか考えられません。回答を求めます。
1) 経営統合から5年も経過しているのに、その効果が発揮されない原因はどこにあるのですか。また、経営責任をどう感じているのですか、明らかにしていただきたい。
2) 売上高が1,1兆の水準で推移するなか、今年度の営業利益が前年より大きく伸びた
要因について明らかにしてください。
○また、統合時に掲げた「売上高、1,5兆円」の目標達成は大丈夫ですか。その見通しを明らかにしてください。
09年 統合前 2011年3月 2012年3月 2013年3月 2014年3月
売上高 1,125,474 1,114,095 1,109,275 1,126,520 1,148,076
営業利益 24,835 28,873 20,189 25,859 36,496
(2)中国工場操業について
明治HDは、「世界的な食品メーカーに飛躍したい」「売上を伸ばし、成長路線でカ
バーしたい」と宣言しました。その具体化の一つが中国市場への参入でした。
1)「明治乳業(蘇州)有限公司」の操業開始が報道されましたが、その後の経営状況の報告を求めます。
2) 広大な中国市場が企業戦略の柱の一つとされるなか、明治HDは「粉ミルクの撤退」を余儀なくされましたが、その原因と経営責任を明らかにしてください。
3) 国際的飛躍を掲げて5年が経過します。現時点で海外事業は、黒字なのか、赤字なのか。業績低迷ならば、その原因と責任を明らかにしてください。
2、牛乳・乳製品などの放射能汚染への対応に関する質問
経営基盤を揺るがす不祥事・不正行為が残念ながら後を絶たない状況であり、収益が伸び
悩んでいる最大の要因でもあります。特に、食材の放射能汚染問題は、子どもたちの健康と未来に関る長期的な課題であり、食品企業の社会的責任とモラルが厳しく問われています。
1) 増加が心配される放射能汚染による健康被害をどのように受け止めているのですか。
今年5月19日、福島県「県民健康管理調査」検討委員会は、事故発生当時18歳以下だ
った子どもを対象に実施している、甲状腺検査の結果を発表(今年3月末現在)しています。結果は、50人が甲状腺ガンと確定され、さらに「ガンの疑いがある」と診断された39
人を加えると、実に89人にもなる深刻な事態にあります。放射線汚染の広がりの実態から
みても、この健康被害は福島県内に止まるものでないことは十分に予測されます。
特に、牛乳・乳製品を含む食材からの低線量内部被爆への不安が、子育て中のお母さん方に広がっています。チェリノブイリ原発事故以後の事例でも明らかなように、「安全・安心」を提供すべき食品企業の責任は極めて重大ですが、経営陣の認識を明らかにしてください。
2) 消費者は、基準値に対し「それ以下なら安全」とは判断せずに具体的な汚染数値を知り、
特に子育て中の消費者は安心して商品が選べることを望んでいます。貴社は「基準値以下
の汚染なら健康被害はない」と判断しているのですか、明らかにしてください。
○ 基準値以下でも数値を公表し、消費者の選択権を保障することを改めて提案したいと考え
ますが、経営陣の判断を明確にしてください。
3)低線量内部被曝から子どもたちを守ることは長期に及ぶ課題ですが、原乳の汚染検査をクーラーステーションだけではなく酪農家単位でも行い、学校牛乳や粉ミルクなど乳児用製品の安全性を高めることについて、経営陣の考え方を明らかにしてください。
○ 学童・乳児向け製品の安全性をより高めるため、酪農家単位の汚染検査の復活をメーカーとして行政に提起することを提案します。経営陣の判断を明確にしてください。
3、社長が交代されることを契機に「負の遺産」である労働争議の全面解決を求める質問
(株)明治の異常な企業体質の一つに、1960年代から労働争議が続いていることがあり、現在でも3件が争われています。当然のことですが、健全な企業として飛躍するためには、差別・人権侵害が容認される企業体質の改善は、絶対に避けられない課題です。
今期株主総会を機に明治HD社長が、旧明治乳業の浅野茂太郎氏から旧明治製菓の松尾正彦氏に交代されます。これを絶好の機会として、旧明治乳業の時代から半世紀近くも続いている、労働争議の耐えない企業体質が、全面的に見直されるべきではないでしょうか。
1) 市川工場事件への東京高裁判決は、会社の労組活動への支配介入の事実を「笠原ファイル」などの秘密資料を引用して判断し、申立人らの「差別的な成績評定が組織的に行われていた」との立証にそう事実認定を行い、① 申立人らの集団性、② 集団間の「有意な格差」、③不当労働行為意思についても、「妥当すると見る余地はある」と判示したのです。
この事実認定を真摯に受け止めるならば、経営陣の判断によって長期に及ぶ労働争議の全
面解決への道筋は直ぐにでも開かれるのですが、いまこそ決断をすべきではないでしょうか。
2) 厳しい経営環境を率直に判断するなかで、「労働争議を抱えている場合ではない」との指摘があります。厳しい経営環境を脱却するためにも、不幸にして長期化している労働争議の解決に向け、その道筋を切り拓くべきだと私たちは考えています。
経営陣は29年にも及ぶこの長期労働争議の一方の当事者として、自然消滅などは絶対にあり得ない労働争議の終結を、どのように考えているのか、明らかにしてください。
3) 多く争われてきた大企業争議は、ほぼ全ての事件が話し合いによる和解解決で終結しており、明治乳業争議がこの種事件では最後に残された大型争議です。
異常な労働争議のさらなる長期化を避けるためには、今期株主総会を契機とした局面が絶好のタイミングだと私たちは確信します。経営陣の考えを明らかにしてください。
◎ 上記、「事前質問書」に賛同されている株主は、下記の方々であることを付記いたします。