明治ホールディングス株式会社が2021年度 第3四半期決算説明資料(対象期間:2021.4.1-12.31)を2月9日公表しました。21年度通期見込を見ると売上高は1兆90億円。
明治HD「2020ビジョン」はなんだったのか?
2009年4月に明治乳業と明治製菓が経営統合し明治ホールディングスとする親会社を設立し、明治乳業と明治製菓を100%出資の子会社としました。目的は、双方の「明治」銘柄によるシナジー(経営戦略で、複数の部門や企業が連携したり共同で運営したりすることで、相乗効果による利益を生むこと)を期待。発足当時、合わせた売上額は1兆2500億円でした。「2020ビジョン」で売上額1兆5000億円目標を設定しました。
バランス型社長交替では企業の発展はつくれない
明治HDの歴代社長は、初代明治製菓側(佐藤尚忠)、明治乳業側(浅野茂太郎)、製菓側(松尾忠彦)、乳業側(川村和夫)と双方の社長が交替で務めるバランス型の経営姿勢で推移しています。経営状態を直視し将来のビジョンを確かな方針を見通せる能力主義ではなく、ホールディングス体制は、図体だけ大きくしても矛盾が表面化する経営が取りざたされているように感じます。明治も、結実しない経営統合の弱点をさらけ出した格好ではないでしょうか。
事業再編しても尻つぼみ
株主総会でシナジー効果の推移を質されても、見守っている段階としてきました。しかし、効果を高めることのできない状況を踏まえてか2011年4月には、明治製菓の「菓子」部門を明治乳業に組み込む「事業再編」を打ち出し、企業名も明治乳業から「株式会社明治」とMeiji Seikaファルマとしました。「株式会社明治」の経営体制は、双方から取締役総勢40名を数えました(内、明治乳業から3分の2を占める)。頭デッカチの役員体制が機能しないで現在の苦境をつくり出しているのではないでしょうか。
繰り返される不祥事の数々
その責任は歴代の社長にありますが、取り分け川村和夫社長のこの間を見ると、資産の売却、製菓のヒット商品であった「明治のカール」をガラクタ商品として製造販売の停止、収支決算の改ざん、小林製薬爪水虫薬の薬害事件の販売元として謝罪会見すらナシ、採用面接において体重・ウエストなどのセクハラ設問で行政警告を受ける等など、不祥事が耐えない異常な体質を明治乳業時代から繰り返しています。
経営不振の根本的原因は人権侵害・差別にある
明治HDが中間決算を発表(2月9日)し年度末決算予想は売上額が1兆90億円としました。経営統合時から見ると相乗効果を発揮するどころかなんと「2410億円」も下落させています。夢見た目標は「夢のまた夢」で遠く及びません。
同時に、この4年間の株価の推移を見るとなんと40%も下落させ株主に甚大な損失を与えています。
なぜこのような経営になり下がってきているのでしょうか。(旧)明治乳業の「差別を是」とする労務政策が「株式会社明治」になった今も、旧態依然として差別が貫かれていることです。その現れの一つにジェンダー平等がない(女性取締役が一人もいない、明治HD社外取締役2名で生え抜きはいない)。と明治には、1960年代から人事部長を先頭に職制機構を総動員して「インフォーマル組織」を全国一斉に立ち上げ、労働組合各支部・地本役員選挙に直接介入して、要求を掲げる組合・労働者を「生産疎外者」「職場秩序破壊者」として「赤組」、インフォーマルに組織した労働者を「白組」と分断し、どちらに身を置くかで差別・排除の労務政策をとり、会社の意のままになる労働組合に変質させました。その結果、支配された組合との労使協調で新資格制度を導入し、「人事考課査定」を合法的・合理的装いで(評定権者の胸先三寸)運用した差別の仕組みを作り上げ、現在、都労委で係争中の差別額は、累積で年間100万円、10年間で見るならばなんと1000万円にもなる賃金格差です。
売上が伸び悩む原因は、『食の安全』求める全国の会の不買運動か!
この間、明治の「負の遺産」である長期にわたる「賃金差別の争議」に対し、労働委員会や裁判所から話し合い解決を求め促されても頑なに拒み続ける姿勢に対し、「株式会社明治に『食の安全』求める全国の会」が呼び掛ける明治の製品は買わない、飲み・食べない不買運動拡散が売り上げ減少に大きく影響しているものと考えます。
川村和夫社長は中山悠名誉顧問との関係を断ち切ること
歴代の社長の責任にもありますが、特に、川村和夫(労働組合中央執行委員長歴任)社長は、中山悠社長時代に「男秘書」を務めた経歴をもっていて、会社の幹部役員とだけ名乗る方から昨年6月株主総会前に手紙が届きました。内容の一つに、名誉顧問を務める中山悠元社長の計らいで社長に押し上げられた人物と評しています。
このような姿勢から経営不振を招き将来性を危惧する幹部がいることを川村社長は感じ取ることではないでしょうか。
経営不振の脱却は争議解決こそにある
会わせて、負の遺産である長期争議解決への道筋を明確に示している中央労働委員会の「付言」に寄り添って話合いに応じ、収束を諮ることが経営不振から脱却する最大なる道であることを世間は知っています。
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