雪の中に、まだ残っている花の色を見つけると、
痛々しく思ってしまいます。
どうしてこんな時期まで咲かなきゃならんのか。
寒いだろうな、冷たいだろな、また来年帰ってこいよ。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ 井伏鱒二 『厄除け詩集』 勧酒(于武陵)
金ノサカヅキヒトイキニ
ホシテ返シテクレタマエ
花ガヒラケバアメニカゼ
ヒトハワカレテユクモノヲ 松下緑『「サヨナラ」ダケガ人生カ』より 勧酒(于武陵)
さよならだけが 人生ならば
また来る春は 何だろう
はるかなはるかな 地の果てに
咲いている 野の百合 何だろう
さよならだけが 人生ならば
めぐり会う日は 何だろう
やさしいやさしい 夕焼と
ふたりの愛は 何だろう
さよならだけが 人生ならば
建てた我が家 なんだろう
さみしいさみしい 平原に
ともす灯りは 何だろう
さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません 寺山修司 『幸福が遠すぎたら』
なんだか小難しくなってしまったな。
別に深い意味はこれっぽっちもありません。
井伏さんの後半2行だけならなんだか悲しい寂しいやるせない気持ちになっちゃいますが、
今この出会いこの時間を大切にしようと受け取れば、深度がかわってきます。
勘酒 (酒を勧む) 于武陵
勧君金屈巵 (君に勧む金屈巵<きんくつし>)
満酌不須辞 (満酌辞するを須<もち>いず)
花發多風雨 (花發<ひら>けば風雨多く)
人生足別離 (人生別離足る)
しかしね、ビールはジョッキ、チューハイはグラス、日本酒は枡。
合理的だけど味気ないか。