貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

「無常迅速」三句!けしき見えたり!

2021-09-18 11:37:10 | 日記
令和3年9月18日(土)
 元禄五年の句。
頓て死ぬ 
  けしきは見えず 
       蟬の声
で、芭蕉は見事に詠むようになる。
 この句、間もなく死んでしまうのに、
そんな様子は全く見えず、蟬が鳴きしき
っている、
の意。
 「頓て」・・・もうすぐに。
 真蹟句切に「無常迅速」の前書きあり。
 これは、芭蕉が好んだ語の一つ。
 『卯辰集』に、同じ前書きで、中七
「けしきも見へず」。
 底本は
「下闇(したやみ)や 
      地虫ながらも 
            蟬の声 
             嵐雪」
「客ぶりや 
      居処かゆる 
            蟬の声 
             探志」
 に続けて、過去・現在・未来を表象する
蟬三句の構成で、生あるものの運命
といったことも感得させる。
 大雨と洪水は、芭蕉の時代にもあったようで、
自然の驚異を、穏やかな物語に変えている句
もある。
 つづく。