貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

菊と仏

2021-09-12 11:07:56 | 日記
令和3年9月12日(日)
菊の香や 
  ならには古き 
       仏達
 『芭蕉全句集』には、
菊の香や 
    な良には古き 
           仏達
 古き御仏たちがまします奈良の都には、
徴用の佳節とて菊の香が漂っている、
の意。
 元禄七年(1694)の作。
 特別な日を特別な地で迎える幸運。
 それを説明せず、ただ二つの事物を
並べることで、古雅なイメージの感合を
看取させている。
◎ 元禄七年(1694)、古都奈良に来て、
古い仏像を訪れ回った。
 折しも重陽、つまり陰暦9月9日で、
中国では、登高という丘を登る行楽
があり、日本では奈良の宮中で
観菊の宴が催される。
 家々には菊が飾られ、町が菊の香りに
満ちていた。
 奈良の町の古くからの習俗もゆかしい
し、巧みに彫られた古仏も素晴らしい。
 芭蕉は、菊のゆかしさ、香りの高さと、
奈良という古都との調和に、日本の季節
と花との関係、花と町との調和に、
文化の渡来してきた事実に、
かの国の文化や風習の素晴らしさを
賛嘆している。