令和3年9月27日(月)
ぴいと啼
尻声悲し
夜ルの鹿
ピイーと尾を引いて夜の鹿が鳴く。
ピイーと尾を引いて夜の鹿が鳴く。
その声が何とも悲しげだ、
の意。
元禄七年(1694)の作。
「尻声」・・・長く伸ばした鳴き声。
伊賀上野から大坂に赴く途中、奈良で一泊
元禄七年(1694)の作。
「尻声」・・・長く伸ばした鳴き声。
伊賀上野から大坂に赴く途中、奈良で一泊
した九月八日の吟で、同行した支考は底本に、
「さる沢のほとりに宿を定ムルに・・・
月の三更なる比、かの池のほとりに吟行す。」
などと記す。
許六が『篇突』で、
許六が『篇突』で、
「びいとなく尻声の悲しさは、歌にも及び
がたくや侍らん」と評するように、
和歌で読み尽くされた感のある鹿の声を対象に、
「擬声語と日常語を駆使して和歌にも
及びがたい情趣と現実味の獲得に成功した、
雅と俗の見事な一体化といえる。