貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

生の苦しみをうつす喜びの一句?

2021-09-30 10:49:26 | 日記
令和3年9月30日(木)
 今年も元気で誕生日を迎えられた。
 家族や友人からお祝いのメッセージを
戴く。感謝と深謝、深謝!
櫓の声 
  波ヲうって氷ル 
     夜やなみだ
 岐阜での句の続き。
◎ この句を宗匠としての生活に失敗した
失意の作品として読むのは間違いであろう。
 むしろ、新しい孤独と貧乏との生活に
いよいよ飛び込んでいく、それまでの
古典読書ですませていた芭蕉が、
新しい苦行の生活にあって、それまでの
勉強による知識と滑稽、もじりの世界から、
人間存在の奥底にある生の苦しみを
写し取る喜びを宣言したものと読むのが、
また、芭蕉の新しい世界を驚きながら
認める読者の態度を自覚するのが、
本当の鑑賞であろう。