『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『王妃の紋章』を観た]

2008-04-20 14:04:47 | 物語の感想
☆MOVIXで、無料鑑賞券を貰えるポイント数は60ポイントである。

本日は、3人で映画に赴き、先ず、私以外の二人にチケットを買わせて、20ポイントをゲットし、私の持っていた40ポイントと合わせて、私はタダで観てきましたよ!

     そして、そんなセコイ真似をして観た作品は・・・、

        絢爛豪華なる古代中国物語『王妃の紋章』!!!^^v

いちお、私の名誉のために言っておくと、いつもは、上記の連れには映画をよく奢ってやっているのだ。

なんか、今日は、そんな、凝った買い方をしてみたかったのだ^^;

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面白かった!

多くの方が、正鵠を射た評論をしているので、ここで私は同じようなことは書かない。

この映画、一言でいうと、私にとっては「おっぱい祭り」だった^^v

特に、冒頭の、国王一人のための無数の女官が、目覚め、それぞれが整然と、されど、多人数なので衣擦れの音が一つの大きなムーブメントにも感じられるほどの、身支度を整えていくさまに、私はとても高揚を覚えた。

この物語では、延々と大物量の国王権力が描かれる。

それは、北朝鮮のマスゲームにも似て、見る者を驚嘆させる。

王宮で働く者の朝の風景、そんな本来人間臭い情景が、あたかも工場の生産ラインの如く、機械的に流れていく。

私は、「・・・凄いな」と呟き、昨年ナンバー1の作品と思った『アポカリプト』に近い映像の力を感じた。

私が、そこに埋没させられないのは、ひとえに、視線がオッパイに向いていたからかも知れない。

この王宮の女のほとんどが、寄せて上げるブラを装着している。

きらびやかな宮廷を歩きつつ、その胸は「ポルンッ! パルンッ!」と揺れている。

基本的に、私は中国が嫌いなので、中国や香港映画を率先しては見ない。

だから、チャン・イーモウ監督とか、チョウ・ユンファとか、コン・リーと言われてもよく分からない。

こういった中国の大作は、『さらば、わが愛/覇王別姫』以来観ていなかった(何年振りだろう。 at渋谷Bunkamura)^^;

だが、リー・マンという娘は、メチャ可愛かった。

この子、千秋に似ているが、それ以上に丸かった^^

顔も体も、鋭角的なところがなく、女らしい曲線の極(きわみ)を感じさせられた。

皇太子とイチャついているところなど、なんか桃のようにエロかった。

そこに王妃が飛び込んできたので、伏せながら恐怖にブルブル震えているシーンも良かったなあ。

どんなに若くても美しくても、権力の逆鱗の前には儚いのである。

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物語は簡単に言うと、中国の宮廷内の国王一家の愛想劇である。

中国人ならば誰もが知っている舞台劇から想を得ているそうだ。

確かに、シェイクスピア劇のような、配役に無駄のない展開である。

かように多くの予算を用い、やっていることは「ただの家族ゲンカ」か、という意見もあるようだが、

作中、国王が語っている言葉に「我々王族は、民の規範にならなくては」があり、その裏返しで、「王族といえども、民と同じ」というテーマが浮かび上がってくる。

それに則して考えると、王族の世俗的な振る舞いも理解できる。

 1・前后の息子である皇太子と体の関係を持ってしまった王妃

 2・そんな王妃の毒殺を謀る、無慈悲な国王

 3.母親と契り、女官と結ばれ、後悔しつつ、自分の無力さに諦観を抱く皇太子

 4・国王を慕い王妃を慕う、武に秀でたリーダーシップも兼ね備える第二王子

 5・天真爛漫に過ごしているような第三王子。しかし、その心は・・・

 6・宮廷の薬師。王に忠誠を尽くしているが、それとは別に無意識の不忠行為を・・・

 7・宮廷の薬師の娘で、毎日、王妃に毒を盛る女官。皇太子と恋仲

 8・謎の女

その8人がピースとなって、見事にかっちりと合わさるパズルの如く物語を形成する。

それゆえに、技巧を凝らした戯曲みたいな完成度に至れるか・・・。

   ◇   ◇

・・・が、なぜか、この作品では、幾つか不確定な要素を残しているのだ。

私は、それを、物語の、観客の想像力に対してのプレゼントの如きものと認識しようと努めた。

これまでの、子供の頃から見てきた多くの作品でも、明らかに説明されていない要素があったとき、私はそう思い続けていた。

しかし、最近、それは製作者側の不親切のようにも思えてきた。

この作品においては、そのクライマックス・・・、

国王の暗殺部隊が、国王追放に動き出した金色の軍勢によって討たれるのだが、そのリーダーが何故か第二王子なのである。

第二王子は、この作品中、最もまともな人物であるが、国王に反旗を翻すに足る思考の変遷が描かれていないのだ。

あれ? と、見ているこちらには違和感が起こり、その「解せなさ」は、喉に刺さった小骨のように、後の展開を楽しめなくなるのだ。

また、王妃は、前妃の子である皇太子と結ばれているのだが、次期国王は自分の息子である第二国王に送りたいと思っている。

それは、国王も、同感で、でも、そこにコミュニケーションが不足しているが故に悲劇となるのだが、

では、さて、王妃は皇太子を憎んでいたのか? と思うと、そうではなく、まあ、相反する感情が王妃の心にはあったのかと考えれば事足りるのだが、

この大作の中にあっては、そのこだわりは蛇足以外の何ものでもないような気がした。

また、それぞれが、それぞれの手ごまの集団や軍勢を放つのだが、それまで、その自分の軍事力の片鱗さえ、物語中にあらわにならなかったので、やったと思ったら、もっと強い集団にやられ、やったと思ったら、もっと強い軍勢にやられ、やったと思ったら、もっと強い軍団にやられ、の繰り返しを考えると、力の裏づけの希薄な「少年ジャンプ」のマンガ作品を見せられているような気になってきた。

そんなことも気にならなくなるほどの人海戦術でもあったが・・・。

   ◇   ◇

しかし、中国の出か香港の出かは分からないが、このチャン・イーモウという監督、ビジュアル的感性に世界的非凡さを感じる。

特に、渓谷の谷間にある館に、薬師一家を討とうと暗殺集団が侵入するくだり、

四方八方から綱が張られ、忍者の如き暗殺団が、その綱を滑っていく。

セピア色の画面の中、水墨画のように美しい絵だった。

日本人の映像作家も、多くの美しい絵を生んでいる。

しかし、それとは異なる環境で、それとは異なる映像を生み出せる、この監督は凄いものだと思った。

この人、北京オリンピックの開会式セレモニーの監督をすると言う。

きっと素晴らしいものになるだろう。

私は、開会式テレビ観覧のボイコットをするので、見ないだろうが・・・。

   ◇   ◇

・・・リー・マン演じる、皇太子と恋仲の女官には、衝撃の真実が告げられる。

半狂乱になって走り去る女官・・・。

可愛い娘には、相応の罰が与えられるのである。

                         (2008/04/20)