『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『ゼロ・ダーク・サーティ』を観た(短評)]

2013-02-17 23:59:13 | 物語の感想

☆・・・これは、非の打ちどころの無い傑作ですな。

 二時間四十分、真実に裏打ちされた硬質の物語を堪能した。

 女監督 キャスリン・ビグローの、デビュー当時から変わらない執拗さが、完璧な形で表出しました。

 凄い!

 ちなみに、私は、反原発運動などの、安売りの「真実」に食傷し、「事実」を重んじる者であるが、

 ここでは「真実」をいい意味で使っている。

 正直、ドキュメントでも恣意的な演出が可能なので、ドラマ仕立ての、アメリカにとって「忌むべきビンラディンを捜し求める」物語の、どこまでが「事実」かは分からないので、「真実」としている。

 ブラックアウトしている画面の中、コラージュしている「9・11テロ」の渦中にある人々の音声だけが聞こえる。

 日本人の多くも、あの大事件を知っている。

 脳裏に、あのヴィジュアルが甦る。

 人の心のスクリーンほど大きな画面はない。

 それで、この作品のただならぬスケールが分かり、

 それを捜査するCIAの情報局員たちの、微妙な「人間の感情」を読みとる細部の動きとで、異常なサスペンスがエンディングまで続く。

 正直、この作品のクールさは、キューブリック作品を遥かに凌駕している。

 キャスリン・ビグローって凄い!

 女って、凄い! と思った。

 主人公であるCIA分析官・マヤ(ジェシカ・チャステイン)は、ややギスギスしているが、可愛さの残る若さ。

 日本で、このようなキャスティングをしたら、それだけで作品がチャチクなっちゃうんだろうな・・・。

 マヤは、捕虜の拷問による情報収集にも、苦手さを隠しもしないで、でも、必要なこととし、ひたすらに、ビンラディンに迫っていく。

 自分の確信の捜査、動かない上層部にヒステリックさを隠さないところなどで、人間的な欠点も表わしつつ、

 自分の結論の正しさだけは、後になって分かるのみ。

 状況証拠と推理と自信で、透明の存在であるビンラディンを追う。

 追い求めたビンラディンとマヤの初対面は、そのまま映画のエンディングでもあり、ビンラディンはもはや死体でしかなかった。

 使命を終えて、帰国の途につくマヤの頬を伝う涙の意味には虚しさもあろう。

                                           (2013/02/18)

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