日曜に息子からお土産に”酒まんじゅう”をもらった。
法善寺横町のお店が毎年企画しているごひいきのお客さまと新酒の時期河内長野市の
西條酒造さんで天野酒の酒蔵見学をし、その後場所を移し料理屋さんで懇親の宴を持つのである。
”酒まんじゅう”は天野酒を使い大阪駿河屋作成の2月限定で今年始められたお菓子だそうである。
お酒の香りほんのり、甘さ控えめの程よいこしあん、いくつでも食べられる上品な仕上がりである。
翌日孫が寝たので私だけのひっそりとした家で、ひとつを食べたら胸がいっぱいになった。
息子が辻調を卒業し、お店に就職が決まり勤める前のこの時期、招いていただいて始めて参加した。
その時に持って帰ったのが、お客さまに手土産の天野酒。
家を出るとき「三年は辛抱するように・・」と諭すように言ったら、「辞めさせて下さいと言う勇気がないから
10年はがんばるよ」と言って、始めて家を出て行った日の息子の言葉は忘れられない。
大将や女将さん、先輩方々にお世話になりながら育てていただき今に至っている。
愚痴や泣き言も言わず続けられているのは、器の大きい大将の人柄みなさんの愛情のお陰さまと。
帰宅はいつも夜中、帰る道すがら仕事とはいえ寒い冬などはどんなだろうかと思う。
入ってきた人が辞めていくので、未だに後輩が出来ないでいるほどた易くはないんだろうと思っている。
子供は社会の中で育てられると言うが、家を離れ所帯を持つまでは数えるほどしか帰っていない。
だから私たちは何もしてやっていない、息子の方が親離れし私たちに子離れさせてくれた。
そんな息子がいつしか所帯を持ち、子供ができその子も4月には2歳になる。
頂き物のお酒が多くなって人さまに差し上げることがあっても、これだけは居場所が変わらない。
当然なのだがお酒は当時、夫が嬉しそうに飲んだので今中味は水なのだから。
ラベルは少し劣化しているが私には、社会へ足を踏み出した息子が酒蔵見学でもらった始めての
記念のお酒の瓶、12年の足跡を刻んだ瓶・・有難いと思いながら眺めている。
大阪城の梅は咲き始めのようだが、近所の神社公園のたった一本の紅梅は満開だった。