若かりし頃は、同じ色柄のセーターを着たりする事は嫌ったし、とうてい肩を寄せ歩くなどもってのほかだった。
それは気恥ずかしさなのか、男たるもの・・のたぐいなのか。
卓球も過去の、栄光に輝いていた頃から少し年月が経った時頃から「見に来んでもええで」と言っていた。
負ける所など見せたくないし、プライドもある。 分かるので当分は行かなかった。
それがある頃から、何の抵抗も無くなったばかりか、映画でもなんでも出かける時は2人が都合いいようになった。
「行くね」とかまかけたら、「11時頃来い」とか言うようになって、むしろ喜んでいるように見えていた。
記事を書きながら今気付いた。 (え? それってもしかして更新ネタがないから、写真撮ってもらえると?)
嫌、でも紅葉でも映画でも何でも誘って来るものね、年とって来ると1人では恰好つかなくなるのかな。
そうかも、私も1人より2人の方が都合いいもの、夫がいる方が常にバッグにひそめているカメラ、向け安いもの。
「何時頃行けばいい?」「11時頃やなぁ」「うん、じゃぁその位に」
洗濯や掃除がすっかり終わったのが11時前、ダッシュで出かけた。 お昼ごろの予報に反して雨が降っていた。
行ったらちょうど試合をしていた。 夫のスポーツバッグを見つけてそこで観戦した。
出ている仲間の方たちとも話しながら、夫の今の卓球にかける姿勢や日々の様子が伺えた。
「けんつくさん、もう真ん中ですればいいのに、結局は細かに動くんや」
皆さん夫が手術してボルトが4本入り、現在はまた腰痛があることを知っていて、気遣ってくれているのが分かる。
私も日々の夫の様子で心配なだけに、試合に出て行く度に(勝って欲しくない)と内心は良からぬ事を思ったりする。
団体戦ならそうは行かないし、やるからには上位を目指すのが本心だろう。
健康な訳ではないのだから、もうここまで来たら無理せずにいて欲しい。 練習にもあまり一生懸命に行って欲しくないのである。
見送る度に「無理せんといてよ」と言うが、「自分が一番よう分かっている。 馬鹿じゃないんだから無理はせん」
そう言うが、やりだしたら練習と言えども手は抜かない筈。
日頃の卓球の日、行事ごとや私用と重なる時があるが、私は出来るだけ家の方を優先するように勧めている。
いけない妻だと思うが、夫の身体は家族のものなのだから。 人とは違うんだから・・もうここまでやって来たんだし。
しかし、出場者には結婚当初からやっている人も多い。 皆さん長く続けておられる、頭上がそれを表したり
やって無い時の歩き方に老いを見てしまうが、気は・・ハートは熱い。 純真だ。 微笑ましい位に。
夫の戦う姿を見ながら、やっぱりやりだすと玉を追っているものの、若い頃と違いついて行けないし、行かないのは、
自分の身体は自分が一番分かっていると言った言葉に値するのかと思えた。
高校卒業し就職する私を見送る時、「命の次に大事なもの」と言ってくれたラケット。
それほど愛する卓球、負けた姿よりは勝った所を見たい・・だが、充分に素晴らしい足跡を残してくれている。
夫はあがれなかったけれど、腰をすえて最後まで観戦した。
常に高見をめざす真面目な夫には”感謝状”を送りたい。 夫の精神はきっと子供たちに流れていると思うから。
長い事立っておれないので床に座って観戦していた私に、「これ敷いたら違うで」と自分のダウンを差し出した心にも感謝状。
10数人で楽しい反省会、飲みに行くので、1人で帰った。 雨でも気持ちは晴れ。
ただ、写真がうまく撮れなかったのが申し訳い今日の私。 来年はもっと上手にとってあげよう。