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Camera Obscura - Look to the East, Look to the West (アルバムレビュー/感想)

2024-05-08 21:14:11 | 音楽レビュー/感想 2024
洋楽レビュー/感想 2024



チルくてドリーミーで牧歌的でオシャで味わい深い
インディーポップ/ドリームポップ作品。






◆Camera Obscura - Look to the East, Look to the West
前作から約11年振り、
キーボーディストのCarey Landerが亡くなってから9年の時が経った
スコットランドのグラスゴー出身の男女混合5人組バンド
「Camera Obscura」の新作なんですが、
昔は日本で言う所の渋谷系要素のある
インディーポップ/ギタポって感じだったものの、
途中フレンチポップ要素入れたりと装飾が増して
良くも悪くもインディー要素が少し薄れたりもしましたが、
前作「Desire Lines」で原点回帰したような所があったので、
11年振りとなる今作はどういう方向性なのか
期待と不安が入り混じりった状態で聞いたのですが、
前作「Desire Lines」に通じるものはありながら、
そこから更に余分な装飾が取り除いてセンス良く瀟洒に洗練されていて、
「Camera Obscura」の魅力をしっかり残しつつも、
同郷の「ベルセバ」こと「Belle and Sebastian」に通じる牧歌的な感じや
「She&Him」や「Beach House」に通じる要素があって、
ほのかな南国風味があってフワフワ&ホワホワしていて
まるで食後のまどろみの一時を音楽にしたようで、
チルくてドリーミーで牧歌的でオシャで味わい深くて実に素晴らしい!

前述のように「Carey Lander」が亡くなった事もあり
思うようにアルバム制作は進まなかったようですが、
それでも最後まで妥協することなく最善を尽くした感や、
良い意味で肩肘を張らず&着飾ることなく
音楽に対して誠実に取り組んでいる感があり、
再結成バンドや長期の活動休止後のバンドの復活作の多くは、
後ろしか見ていないというか
あまり進化や成長が感じられないのに対して、
昔のような勢いや眩さや甘酸っぱさやキラキラさは薄れているとはいえ、
今作は懐かしさもあるけど確かな進化…
…ちゃんと前を見て歩いている感というか
前向きなエネルギーが感じられ、
幻想的なオルガンやスライドギターや
レトロなエフェクターなんかが聞かれるのもあり、
「Beach House」に通じる様なドリーミーな幻想美が増していますが、
音楽自体は明白で実直で日常感や現実感ありますし、
瑞々しくて甘酸っぱい果実から
成熟して味わい深い果実になったというか、
年を重ねた事で円熟味と深みが増して
インディーバンドらしいDIY感ある演奏や楽器の使い方なんかは、
ますます進化が感じられるくらいで、
更にセンス良く的確に使いつつ遊び心も忘れていないですし、
ギター筆頭に各楽器の演奏(エフェクターの使い方含む)が
凄く「通好み」というか
フックとセンス満載で聞き応えがあって味わい深いですし、
詩的でいて良い意味で捻くれたセンスのある歌詞も健在ですし、
亡き友である「Carey Lander」に捧げられた曲もあったりで、
聞いているといろんな意味で感動や深みがありますし、
懐かしさもあるけど心地良くて温かくてエモくて実に愛おしい…


シンプルそうに見えて聞けば聞くほど良くなっていくような
奥行きや深みのある作品ですし、
今の暑過ぎる事も無く寒過ぎる事も無い時期や、
昼下がりにのんびり聞くには持ってこいな音楽ですし、
ここ数年の4ADの作品やこの系統の作品では
最上級に心地良くて味わい深くて愛おしい作品に仕上がっていると思う。
力作で良作!








◆おまけ
個人的に「Camera Obscura」で一番好きな曲である
「Lloyd, I'm Ready To Be Heartbroken」をおまけで貼り。

サビの「ねぇロイド、失恋する準備は出来ているのよ」
「私はその瞬間は自分の鼻以外を見る事が出来ないから」という歌詞筆頭に、
歌詞は良い意味で捻くれていて甘酸っぱいと同時に
痛くて切なくて青春が爆発していてエモいし、
パイプオルガンから始まる所から演奏もアレンジも曲も最高だしで、
何回聞いてもドラマティックでロマンティックでエモいし、
痛くて切なくてガーリーで甘酸っぱい素敵な曲だと思う。


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