しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

桜 ( さくら ) <季> 晩春

2010-04-01 |  春の草木 の 俳句

◉ 朝桜( あさざくら )・夕桜( ゆうざくら )・夜桜( よざくら )・桜月夜( さくらづきよ )・庭桜( にわざくら )・家桜( いえざくら )・若桜 ( わかざくら )・姥桜 ( うばざくら )・桜の園 ( さくらのその )・牡丹桜 ( ぼたんざくら )・里桜 ( さとざくら )・染井吉野 ( そめいよしの )・大島桜 ( おおしまざくら )・大山桜 ( おおやまざくら )・富士桜 ( ふじざくら )・豆桜 ( まめざくら )・楊貴妃桜 ( ようきひざくら )・犬桜 ( いぬざくら )・左近の桜 ( さこんのさくら )など

さまざまの事思い出す桜かな ・・・・・ 芭蕉 [笈の小文]
観音の大悲の桜咲きにけり ・・・・・ 正岡子規 [子規句集]
千年のさくら振り向くことなかれ ・・・・・ 黒田杏子 [花下草上]


古くから国花として親しまれ、
日本の春を象徴する花です。
「万葉集」では桜より梅の方が好まれて多く詠まれましたが、
「古近和歌集」の頃には桜の歌が最も多く収載され、
日本の代表的な花として定着したと考えられています。
美しく一斉に開花し、また散り急ぐ姿は、
日本人の心情に合ったともいえるのでしょう。
サクラは種類が多く、
野生種・栽培品種を合わせると300種以上に及びます。
俳句では、「桜」というと、通常種類を問いません。
サクラ亜属の樹木の中で花が美しく、
鑑賞されるものを一般に桜と呼びます。

  [ サクラは、バラ科サクラ属サクラ亜属の総称です。
   サクラ属は、サクラ・スモモ・モモ・ニワウメ・ウワミズザクラ・
   バクチノキの6亜属に分類されます。]

棲み古りてあふるる朝の桜かな ・・・・・ みなみ

歳を重ねて
桜に対する思いがいっそう深まりました。
桜の季節を迎えると、
出不精の私も
あちらの桜こちらの桜と出掛けて行きたくなります。
ちょうど見頃の花と出会えたときの喜びは
ひとしおです。


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初花 ( はつはな ) <季> 仲春

2010-04-01 |  春の草木 の 俳句

◉ 初桜 (はつざくら)

けふまでの日はけふ捨てて初桜 ・・・・・ 千代女
旅人の鼻まだ寒し初ざくら ・・・・・ 蕪村
初花の水にうつらふほどもなき ・・・・・ 日野草城

その春に初めて咲いた桜の花のことです。
その年の気候や地方などよっても異なり、
特定の桜の品種をさすものではありません。
待ち望んでいた花に会う喜びが込められています。

   [ バラ科サクラ属のサクラ亜属の樹木の中で一般に花が美しく、鑑賞されるもの ]

初桜たまはりて旅終らむと ・・・・・ みなみ

日ごとにふくらむ蕾を
眺めながら
心待ちにしていた
開花を迎えたときには、
とても幸せな気持ちになります。
また、思いがけず
初花に出会ったとき、
心からありがたいという気がいたしました。


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木蓮 ( もくれん ) <季> 仲春

2010-03-31 |  春の草木 の 俳句

◉ 木蘭 (もくれん)・紫木蓮 (しもくれん)・白木蓮 (はくもくれん)・はくれん・更紗木蓮 (さらさもくれん)・烏木蓮 (からすもくれん)

木蓮に日強くて風さだまれず ・・・・・ 飯田蛇笏 [椿花集]
木蓮に白磁の如き日あるのみ ・・・・・ 竹下しづの女  [颯(はやて)]
白木蓮の散るべく風にさからへる ・・・・・ 中村汀女 [汀女句集] 
戒名は真砂女でよろし紫木蓮 ・・・・・ 鈴木真砂女 [紫木蓮]
白れんに月深海のごとくあり ・・・・・ 矢島渚男 [
梟 ] 

古く中国から渡来し、
モクレンの名は中国名の木蘭あるいは木連から生まれたとされますが、
日本では木蓮と書くのがふつうで、花が蓮に似ていることからと言われています。
一般に木蓮といえば「紫木蓮」のことを指します。
特に紫色の濃いものを「烏木蓮」と言います。
紫木蓮は、濃い紅紫色で細長い大形の6弁花を半開状に上向きに咲かせます。
豪華な中に物静かさを感じさせますが、どこか締まらない感じも少しあります。
これに対して別種の白い花の木蓮を「白木蓮」と言い、
漢名では「玉蘭」と呼びます。
春、銀の毛に包まれた蕾が天に向かって少しつぼんだように開く花は、
花弁6枚と萼3枚がともに白く9弁のように見え、葉が開く前にいっせいに大輪の花を咲かせます。
雄大で香気があり、気品ある清らかさをたたえています。
江戸時代の貝原益軒の著書「大和本草」に
「紫を木蓮と云、花色あし、白を白木蓮と云、白花を好とす」とあります。

  [ モクレン科モクレン属の落葉:中国原産 ]

ままごとの母若かりき紫木蓮 ・・・・・ みなみ

幼い日の記憶の中の紫木蓮、
大きな花弁の一枚が、だらりと垂れていて、
鬼の舌のようだと思いました。

シモクレン(紫木蓮)
幹が立たず叢生し、
樹高は3~5mの低木です。
葉は卵形で互生します。
花期は、4~5月。 
小枝の先に、
外側が紫紅色、内側が淡紫色を帯びた大きな6弁花を
1個ずつ付けます。
花は花弁が全開せず上半分だけが開きます。
葉に先立って開花しますが、
花期が長いので終わりごろには葉も出てきます。

ハクモクレン(白木蓮)
幹が立ち太くなり、
樹高は、10~15mの高木です。
葉は倒卵形で先端は尖り、互生します。
花期は、3~4月。
小枝の先に大きな乳白色の6弁花を
1個ずつ付けます。
葉に先立って開花し、
芳香があり、
日が当たると開き暗くなると閉じます。

サラサドウダン(更紗木蓮)
白木蓮よりやや遅咲きですが、
白木蓮に似た樹形をしています。
シモクレンとハクモクレンの種間交雑種です。
樹高は、6~10m。
花弁の内側が白色、
外側の紅紫色には濃淡があり、
個体による変異が大きく、園芸品種も多数あります。
庭木によく利用されます。



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辛夷 ( こぶし ) <季> 仲春

2010-03-30 |  春の草木 の 俳句

◉ 木筆 (こぶし)・山木蘭 (やまもくれん)・やまあららぎ・こぶしはじかみ・幣辛夷 (しでこぶし)・田打桜 (たうちざくら)

雉子一羽起きてこぶしの夜明かな ・・・・・ 白雄 [白雄句集]
花籠に皆蕾なる辛夷かな ・・・・・ 正岡子規 [子規全集]
満月に目をみひらいて花こぶし ・・・・・ 飯田龍太 [百戸の谿]

春の訪れを告げる花といわれ
辛夷が咲く頃から田打ちの作業をはじめたので
「田打桜」と呼ぶ地方もあります。
また苞のふくらみを筆の穂に見立て、
木筆 (こぶし) とも書きます。
漢名の「辛夷」は本来木蓮のことです。
寒さに強く、
庭園や公園によく植えられていますが、
早春の山に咲いている辛夷は
遠目にも直ぐ判り美しく、
春の来た喜びを与えてくれます。

  [モクレン科モクレン属の落葉高木]

花辛夷つまづきながら生きてきて ・・・・・ みなみ

辛夷と白木蓮の見分け方は、
花に小さな葉が一枚ついているのが辛夷、
花に葉が付いていないのが白木蓮だそうです。
本当によく似ていますね。

コブシ (辛夷)
日本では、
北海道~九州の山野に自生します。
樹高は、5~18m。
樹皮は灰色で割れ目がなく、
葉は倒卵形または広倒卵形で
全縁が少し波打ち、先は短く尖ります。
葉の表面は緑色、裏面は帯白淡緑色、
表裏面とも無毛で互生します。
花期は、3~5月。
小枝の先端に、
葉に先立ってかすかな芳香のある、
花径7~10cmの白色で大型の花を1個付けます。
花弁は6枚のへら状倒卵形、長さ6㎝で、
がく片は小さく、
花の下に若葉を1枚付けます。
果期9~10月。
果実は集合果で、熟すと開裂し、
赤色の種子が白い糸をひいて垂れ下がります。
名は、蕾や果実の形が握りこぶしに似ているので
付いたそうです。
別名 : ヤマアララギ・コブシハジカミ

シデコブシ(幣辛夷)
本州中部に自生します。
樹高が低く、葉が狭く、
花は白色で幅の狭い花被片を12~18枚付けます。
がくと花弁の区別は、はっきりしません。
紅花辛夷は、幣辛夷の花が淡紅色になったものです。


2014/03/26 撮影








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