しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

ナガイモ ( 長芋 )……「零余子(むかご)」

2012-09-10 |  9月 の花たち

                           ↑ 2012/09/08 撮影

 〃

[ ヤマノイモ科ヤマノイモ属の蔓性多年草、 中国原産 ]

長芋は、染色体数が日本原産の自然薯と異なる別種であり、
病気や害虫に弱いので、山野で野生化することが難しく、
ほとんどが畑栽培されています。
高温を好むので、昼間の日照が強く夜間冷涼な気候に合い、
肥沃で耕土が深く、排水のよい畑が適しています。
日本へは、中世に渡来したのではないかとも言われています。
草丈は、蔓の長さで2m以上。
蔓性の茎となり、左巻きで成長します。
若茎・若葉は紫色を帯び、
茎は、4角あるいは多少角ばり、時にはねじれ、まばらに分枝します。
葉は長い柄を持ち、矢尻形の長卵形で先は尖り、
質は厚く長さ6~9cmで対生に付き、時には3輪生のこともあります。
葉腋に小さい球形・楕円で表面に少数の突起がある塊茎状の珠芽(しゅが)「むかご」を生じます。
雌雄異株。
花期は、8~9月。
葉腋に乳白色、花径2mmの小花を穂状につけ
雄花穂は立ち、雌花穂は下垂します。
塊根(芋)は、円柱状で約1mに達し、
黄灰色の皮を持ち、肉はふつう乳白色です。
秋にはむかごを採取して、繁殖に用いたり、食用とします。
植え付け時期は、3月中旬~5月頃で、
収穫は、11月頃茎葉が完全に枯れてから始め、2月頃まで順次行います。
塊根は、傷つけないように掘り起こし、
直射日光と風にあてないように土などをかけます。
保存には、光と乾燥を避ける事が大切です。
収穫した塊根は、繁殖に用いたり食用とします。
名は、塊根が、自然薯より長くなることから付いたそうです。

日本で食用にされている長芋(ながいも)・自然薯(じねんじょ)・ 大薯(だいしょ)の3つをまとめて
「山芋、ヤマノイモ」という場合と、

栽培されている長芋の仲間だけを「山芋」と呼び、
日本の山野に自生する自然の自然薯を「山の芋」と呼んでいる場合があるようです。
長い間に、各地に特有の形や大きさのイモが育ち、
通常は芋の形状その他によって数種類の品種群に分類されます。
長形種のナガイモ群、扁平種のイチョウイモ群、塊形種のツクネイモ群に大別されます。
すりおろしてとろろにしたり、刻んで和え物・酢の物・サラダなど、生食する方法が代表的です。
粘りを生かして和菓子の饅頭の皮・羊羹やはんぺん、練り物のつなぎなどにも使われています。
また、むかごも多くのデンプンと良質のタンパク質を含むほか、ミネラル分などを含んでいるので、
塩茹でにしたり、煎ったり、ご飯に炊き込んで零余子飯(むかごめし)などにします。
滋養強壮の食物をしては理想的と言えます。
長芋もむかごも
熱に弱い消化酵素であるジアスターゼやアミラーゼなどを多く含み、
そのほか食物繊維や亜鉛やカリウム、鉄などのミネラル成分、ビタミンB群・Cなどの栄養成分もバランス良く含まれ、
ぬめりの成分であるムチンは、蛋白分解酵素や粘膜修復作用があり、
最近では粘液成分の一つであるデオスコランに血糖値を下げる働きがあることがわかってきました。
ムチンは細胞を活性化させる働きがありますが、
熱に弱く、水溶性なので、注意して調理する必要があります。
手に触れると痒みを起こす成分(シュウ酸カルシウム)を含んでおり、
長芋を酢水に少し浸けてから調理すると痒み止め・アク止めにもなります。
また手の痒いときには酢又は塩などを手にこすり付け、水で流すと軽くなります。
晩秋に葉の落ちたナガイモまたはヤマノイモの根茎を乾燥し、 
生薬の山薬(さんやく)として、
滋養強壮・疲労回復などに用います。


<  2010 年  >
以前、小さめの長芋を植えたところ
毎年芽を出し、
伸びた蔓の葉の付け根にむかごを付けます。
写真を撮る時
蔓にちょつと触れたら
むかごが零れ落ちました。
記録的な暑さの中にも秋が来ているのですね。
塩茹でにして美味しくいただきました。

2010/09/04 撮影

コメント (2)
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