◉ ちょうじぐさ・瑞香(ずいこう)・沈丁(じんちょう)・丁字(ちょうじ)
沈丁の香の石段に佇みぬ ・・・・・ 高浜虚子 [六百句]
ぬかあめにぬるゝ丁字の香なりけり ・・・・・ 久保田万太郎 [流寓抄]
沈丁の香の強ければ雨やらん ・・・・・ 松本たかし [松本たかし句集]
生垣や庭園などに植えられ、
厚く光沢のある葉の上に紫赤色の蕾を付け、
冬を越して翌年の早春に開花します。
紫赤色の蕾が咲くと内側は白色で、花弁に見えるのはがくです。
どこからともなく漂う馥郁とした香りに花の咲いたことに気づきます。
沈香や丁子に似た香りから丁子・沈丁ともよばれ、
高い香気は俳句に多く詠まれています。
漢名は瑞香、香りが沈香で、姿が丁字に似ています。
[ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木・中国原産]
小雨やみ沈丁の香のことのほか ・・・・・ みなみ
ジンチョウゲ ( 沈丁花 )
日本には、
室町時代の中期以降に渡来しました。
樹高は、60~100cm。
根元から枝分かれして葉が密に茂り樹形を球状に整えます。
葉は、長楕円形の革質で先端が尖り、
表面に光沢があります。
雌雄異株、日本にある木はほとんどが雄木なので種子はできにくく、
挿し木で増やします。
花期は、3~4月。
枝の先端に紫紅色の小さな花を球状にまとめて付け、
強い芳香を放ちます。
がく筒の先が4裂した花で、内面は白く、
雄しべが8個あります。
果実は、まれに付き、楕円形で、7月に赤く熟します。
庭木のほか、鉢植えにもされます。
移植が難しい木の代表的なものと言われます。。
園芸品種には、シロバナジンチョウゲ・ウスイロジンチョウゲ・
葉の縁が白いフクリンジンチョウゲ・
シロバナフクリンジンチョウゲなどがあります。
名は、花の香りが沈香、花姿が丁字に似ているので
付いたそうです。