しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

山吹 ( やまぶき ) <季> 晩春

2014-05-19 |  春の草木 の 俳句

◉ 面影草(おもかげぐさ) ・ かがみ草 ・ 八重山吹(やえやまぶき) ・ 濃山吹(こやまぶき) ・ 葉山吹(はやまぶき) ・ 白山吹(しろやまぶき)

ほろほろと山吹散るか滝の音 ・・・・・ 芭蕉 [笈の小文]
山吹や葉に花に葉に花に葉に ・・・・・ 太祇 [俳諧新選]
濃山吹俄かに天のくらき時 ・・・・・ 川端茅舎 [華厳]

山吹の花には、一重咲きと八重咲きのものがあります。
一重咲きの山吹は、
山地の谷川沿いなど湿った所に多く自生し、
晩春、緑色のしなやかな枝に鮮緑色の葉を付け、
濃い黄色の5弁花を咲かせ、山吹き色とも言われて親しまれて来ました。
端正で落ち着いた花は散りやすく、
しだれた枝が吹かれるままに揺れる様子には風情があります。
八重咲きの山吹は、
八重山吹と呼ばれ、優雅な趣が古くより好まれてきました。
『万葉集』に「山振(やまぶき)」・「山吹」、
『古今集』に「山吹」と詠まれ、
『源氏物語』巻28「野分」に「八重山吹」で、
『枕草子』にも「草の花は」の段に「八重款冬(やえやまぶき)」の名で載っています。
太田道灌の逸話で知られる、
「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞあやしき」(後拾遺和歌集)で、
実のないことと蓑のないことをかけて乙女が差し出した山吹は、八重山吹です。
また襲(かさね)の色目として、
「花山吹」(表は薄朽葉、裏は黄、あるいは中倍(なかべ)に白を入れる)・
「夕山吹」(上から下まで山吹色を重ね、単(ひとえ)を青くする。女房の襲)
にもなっています。
古くから観賞用として庭園などに広く植えられ、
茎の中の白い髄(ずい)を灯心に、また玩具などに用いました。
名は、しなやかな枝が風に吹かれ揺れやすいので「山振(やまふき)」となり、
転訛して「山吹」になったそうです。
「濃山吹」は八重咲きのもの。
「葉山吹」は葉がちのもの。
「白山吹」は全体が山吹に似ていますが別属の植物です。 

  [ バラ科ヤマブキ属の落葉低木 ]

山吹の伸び放題に揺れており ・・・・・ みなみ

ヤマブキ (山吹)
日本では、
山地の谷川沿いなど湿った所に多く自生します。
樹高は、1~2m。
地下茎を伸ばして増え、茎は直立して束生します。
新しい茎は緑色ですが、やがて褐色になります。
枝は細くジグザグに折れ、緑色です。
葉は、短い柄を持ち、長さ4cm~8cmの倒卵形~長卵形で先が尖り、
基部は切形または浅い心形、質は薄く、表面は鮮緑色で支脈が凹み、
縁には鋭い重鋸歯があり、互生して2列展開します。
花期は、4~5月。
短い新しい枝の先に径3~5cm、鮮黄色の5弁花を1個ずつ付けます。
両性花で、やや大きく丸い5枚の花弁を持ちます。
黄色い雄シベは多数、雌しべは5~8個付きます。
萼片は深く5裂し、長さ約4mmの楕円形です。
果実は痩果(そうか)で9月頃に暗褐色に熟します。
茎の中に白い髄(ずい)があり、昔は灯心として、
また玩具などに用います。
古くから観賞用として栽培され、庭木などに広く用いられます。
名は、しなやかな枝が風に吹かれて揺れやすいから「山振(やまふき)」に、
それが転訛して「山吹」となったそうです。

園芸品種に、
・ヤエヤマブキ (八重山吹)
 ヤマブキの八重咲きで園芸品種として育種されてきまた。
 樹高は1~2m、花期は4~5月。
 ヤマブキより咲き出すのがやや遅く、
 黄色の八重咲きで径3~5cm、  
 雄しべも雌しべも退化して結実しません。
 太田道潅の逸話に出てくる歌の山吹は八重山吹です。
 別名はヤマブリ(山振)
・キクザキヤマブキ (菊咲き山吹)
 花は八重咲きで、花弁が7~8枚、細く菊に似ています。
・シロバナヤマブキ (白花山吹)
 花が淡黄色を帯びた白色です。
・フイリヤマブキ (斑入り山吹)
 葉に斑が入ります。
・キスジヤマブキ (黄筋山吹)
 小枝に黄色い筋が入ります。 
 などがあります。

シロヤマブキ (白山吹)は、
全体が山吹に似ていますが、同科異属(バラ科シロヤマブキ属)です。
日本では本州の中国地方に分布し、
樹高は1~2m、花期は4~5月。
茎は茶色、
葉は、長さ5~10cmの卵形で先が尖り、基部は円形または心形、緑色で葉脈が目立ち、
縁には鋭い重鋸歯があり、対生します。
側枝の先端に径3~5cmの白い4弁の両性花を一つずつ付けます。
萼は4枚、
果実は痩果で、1花に4個ついて黒色に熟します。
観賞用に植物園や庭など広く植栽されています。



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