
◉ 網笠百合 (あみがさゆり)・母栗 (ははくり)・春百合 (はるゆり)・初百合 (はつゆり)
やうやくに咲きし貝母はさびしき花 ・・・・・ 森田峠
白き蝶貝母の花にまぎれくる ・・・・・ 大場白水郎
貝母咲く地蔵の慈悲にうなづきつ・・・・・ 羽田岳水 [馬酔木]
3~4月頃、葉のわきに、淡い黄緑色の鐘状の6弁花を
下向きに付けます。
その花の外側に緑色の線が、内側に紫褐色の網目のような模様が入ります。
うつむきに咲く目立たない花ですが、
姿や色の地味な味わいが茶花とても人気が高く利用されます。
鉢植えや庭にも植えて親しまれてきました。
球根は薬用にされます。
[ ユリ科バイモ属の多年草、中国原産 ]
貝母咲き突然にきし別れかな ・・・・・ みなみ
貝母は一見頼りなさそうですが、
かなりの強い風にも
倒れずに立っています。
細い葉先が、隣の貝母や他のものに
蔓のように巻きつき、
手を繋ぐように
支えあっているからでしょうか。
バイモ (貝母)
日本には、中国から漢方薬として江戸時代に渡来しました。
日当たりのよい落葉樹の下のような環境が適します。
草丈は、40~60cm 。
鱗茎は白色の厚みのある鱗片2個が互いによって球形をしています。
茎は直立し、薄い青みを帯びた緑色です。
葉は、柄が無く、広線形で長さ10㎝内外、
茎の上部のものは先がかぎ型に曲がって反り返り、
茎上に3~4個ずつやや不規則に輪生します。
上部では、細い葉の先端を巻鬚状に伸ばします。
花期は、3~4月。
茎頂付近の葉腋に、
淡緑黄色で径3~4cmの鐘状の花を1個ずつ下向きに付けます。
外面に緑のすじがあり、内面に紫褐色の網目状斑紋があります。
花被片6枚は楕円形で少し鈍頭です。
雄しべは6個、花柱は細く、柱頭は3つに分かれています。
果実は、蒴果で短く広い6個の縦羽があります。
切花や庭植えにも適し、茶花にも用いられます。
乾燥した鱗茎は、生薬の貝母として
去痰・咳止め・鎮痛・止血などに用いられます。
名は、漢銘貝母の字音によります。古くは鱗茎が栗に似ているので母栗とも言われました。
別名 : アミガサユリ (網笠百合)
古名 : ははくり (母栗)