日本の映画が低迷期を迎えたのも知らないし復活し始めたのも知らない。
先日、信州へ行った時に小津安二郎の「無芸荘」に足を運んだ。
彼の映画のほとんどがこの場所で作られた。
現在の場所ではないけれど、確かに構想を練るにはいい環境だったような雰囲気だ。
相棒の「野田高悟」とふたり散歩を楽しみ、酒を酌み交わしながら、人間の哀しみと喜びをいかにリアルに伝えるかを
練り上げて行ったのだろう。
そんなことを書きたかったわけではない。
「るろうに剣心」てな、映画を見たんだ。
前作は見ずに、途中参加だ。
ただ、この映画の殺陣(たて)に関心があったんだ。
しかし、がっかりした。
映画としては最低の部類だろう。
映像、カット、音楽、配役、シナリオ・・・・もう全てがお粗末であった。
ストーリーついてはおおよそ現実味もなく、日本を乗っ取ろうとする悪人にそれを阻止する善人剣士。
どうしてそれが面白くないのかと言えば・・・・悪人の方に明快なポリシーがないからなのだ。
勧善懲悪の物語でいつだって悪人の論理が明快なのだ。
明治政府の転覆を狙っているわけだろうけれど、悪人としては魅力のない、なんだか可愛げのない悪人なのだ。
そんな悪人にだれも付いて行かないだろう・・・たとえ金が目当てだとしても、やけっぱちの人生しかなくて、もうどうでもいいんだなんて
思う人間だとしてもだ。
藤原達也。
なんだか頑張りすぎちゃってる。蜷川幸雄の演劇が好きじゃないからなのか・・・・しいて好きになれるとしたら
舞台セッティングと言うのかな、遠近感のあるステージ装置だけなんだけど。
まあ、なんだか藤原達也には三のセンスがあるにも関わらず、そのセンスに踏み込んでも笑えない。
これは不幸と呼ぶしかない。リアルじゃないんだね。やっぱり・・・「とても上手く演じてるでしょ!僕って・・・・」
何を演じても、そんな声がどこかから聞こえてくるんだ。
佐藤健はその点、とてもバカみたいに思とてもえるし、とても素直。
役柄にはまってる演技をしている。
映画は難しい。