スウェーデンを舞台にした小説「ミレニアム」の女主人公「リスペット・サランデル」。
究極のエゴイスト。そして、女。
まるで、僕のようだ。もう、誰も許してやんないぞ!
なんて、大袈裟に思い込んでいる。そんな訳に行かないのは分かっている。
でも、そんなそぶりでもしないと落ち着かないんだ。
誰もが意味もなく人の生活や意識に干渉し始める。
単に、興味本位。少し変わっているから・・・行動が服装が・・・・言動が・・・
放っておいて欲しい。
誰も信じないし、誰も頼ったりはしない。
自分の力を良く知っている。天才ハッカーにして天才記憶能力。人の行動のすべてを知る術を心得ている彼女。
けれど、女に対して完璧なほどに屈託のない男「ミカエル」。
そんな男に恋してしまって人間性に目覚める・・・・そんなところなんだろうけれど。
そんなつまらない小説であって欲しくない。そんな勝手な思いを巡らせながら読み進めている。
心配をするのは自分のことだけ・・・・。愛想なしの勝手し放題。自分のことは決して言わない。
人とのかかわりを遮断しても守るべきものを持っているからなのだろう。
守るべきものとはいったいなんなんだ?
自分自身でしかないんだ。
どんな世の中だって、大多数と呼ばれる人々が己が正常だと言う。
多数であることだけで・・・・自分の思いはみんなもそう思っている・・・と。
でも、ホントは何が正常で、何が異常かなんて分かるはずもないのだ。
「リスペット・サランデル」が、いまの世間で正常なような気がするんだ。
この小説を読んでいて・・・・。
人の気持ちなんて読む気などはない。
自分自身の気持ちに正直であれば・・・それが最高なのだ。
恋してる自分に気が付いて、しかし、ミカエルは彼女とSEXをしても友達でいたい・・・なんて、シャアシャアと悪びれもなく言う。
嫉妬心はゼロで盛り上がればどのオンナとも寝る。寝たことを悪いとは思わない。
SEXよりも人間どうしの信頼関係が大切だと言う。
そんな男から距離を置こうとする彼女の行動に共感する。
男は気が付かない。愛しているのは誰かを・・・・・
嫉妬心のない愛など無いからだ。
仮に仕事の絡みなしにこの関係を考えてみれば、いや、仕事だけじゃなくて普通の利害で測ってみればわかるだろう。
人間の良いところ、ほんの一部を好きなだけだし、その部分を利用しているだけなのだ。
自分自身が寛大寛容であり、素敵な人格を持っているんだ・・・・そんな自己満足を得るための利用。
哀しい奴だ。この男は。しかしオンナにとっては魅力の塊。
リスペットが痛い思いさせて分からせることができればいいと思う。
彼女は自分自身を満足させるために無暗に人を利用しない。
ミカエルにとっては思い通りにならない女に初めて出会ったのだ。
人は、そんな時に初めて何かを学ぶのだろう。