歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

風の意味。少しは解りかけてきた…

2018-07-31 | その他
台風がやって来た。
雨と風が吹き荒れて駄々っ子のような泣き声が聞こえた。僕は約束を違えないのように東京の東の町へと向かった。子供の頃、台風がやって来る直前が好きだった。大人たちは、何処から手に入れたのか分からないが長い板を家の窓という窓に打ち付けていた。ロウソクを用意し停電に備えて今か今かと台風を待ち受けていた。恐怖はなかった。無事に通り過ぎること信じて疑う事がないかのようだった。ラジオから流れる音楽と臨時ニュースは静かな闇に溶け込んでいて大人たちの心配性を盛り上げていたけれど僕はワクワクした気持ちを抑えきれずにいた。そんな気持ちから60年。過ぎ去ったことなど思い出しもしなかった。

人は忘れてしまう。
過ぎ去ったことに執着し過ぎることもある。
でも、忘れてしまうのだ。
結局は楽しかったことも、辛かったことも、
全ては通り過ぎてしまったことなのだ。
始まりもなければ終わりもない。
なのに、忘れてしまいたくないことも忘れてしまうことが哀しいのだ。
あの日に帰りたいなどと言うのは余りにも都合が良すぎて身勝手過ぎる。
そんな人たちに囲まれて、僕は今日も生きている。そしてそんな人たちを暑苦しく眺めながらも程よく愛おしく思おう。

人を死に至らしめるのは気温だな。

2018-07-21 | 音楽
真夏に締め切った部屋で鍋の蓋を開けたままにしている状態見たいだ。
流れる汗の量が半端ではない。
汗は嫌いだ。
何よりも気持ちを萎えさせる。
いつも前向きでいる訳じゃない。
しかし、この暑さはさ尋常ではない。
地球は狂い始めているのだろう。
周期から言えば氷河期。そんな自然の流れに逆らい続けてきた人類へのしっぺ返し。全ては沸騰して脳髄までもがズルズルと耳や鼻や口から垂れ出してきそうだ。
クーラーフル回転を始め、外の空気は更に高くなる。悪い方へと転がり、止めどなく人を狂わせるのだろう。積年の恨みを晴らすかのごとく地球は襲いかかっている。身勝手な人類に反省など求めずに復讐しているのだろう。
いい加減に白旗を揚げ降参すると言えばいい。

夏は終わらない。

雨は降り続いていて僕は少し後悔し始めていた。

2018-07-13 | 旅行
時計は午後3時を少し回っていた。
チェクインには手頃な時間だ。
晩飯にありつく前に休めるからだ。
広いベッド、高い天井、程よく冷たいシーツ。
清潔なホテルの部屋を想像していた。
仙台駅から車で30分、市の北にそのホテルはあった。建物の外観と内装はヨーロッパの城見たいにゴテゴテして内装も妙にカッコつけたゴシックロマン風。気取りすぎ。
部屋に案内されていつもの非常口説明。ひたすらうっとしい。でも、彼らには仕事。仕方ない。笑顔で対応。説明を聞いている振りをして窓に目をやった。

どう見たってマヌケな宇宙船。
不時着した宇宙船。
何気なく案内係に尋ねる。
「図書館です。みなさんによく聞かれます。」
ずっと前にテレビで紹介されていたのを思い出した。明朝散歩がてらに行ってみようと決めた。

バスルームは広くシャワーブースがあった。
冷房が効き過ぎて寒かった。
案内係がいなくなるのを見計らい、そそくさとシャワーを浴びた。
まだ腹は空かなかった。
ベッドに横たわると瞼か重くなってきた。

ある雨の早朝に、車のエンジンをかけた。

2018-07-12 | 旅行

先週末、朝5時に起きてコーヒーを飲み、ヨーグルトを食べ、車に荷物を積み込んだ。
西日本では記録的な降水量のために20数名が死んでいるにも関わらず、僕は旅に出た。
目指すは、とりあえず仙台。
ワイパーの調子は、相変わらず悪い。ギシギシと音を立てるだけで、雨を拭わない。この車の唯一の欠点だ。
中原街道から首都高速に入り東北道を避け常磐道に入る。常磐道を走るのは二度目。見慣れぬ景色が気持ちをたかぶらせた。
途中二度ほど休憩を取ったが二時間半程で仙台市内に入った。ホテルにチェックインするには早すぎる。向かったのは瑞鳳殿。豪華絢爛たる霊屋。政宗らしいと言えばそうなんだけれど京文化に対抗しても余り意味ないんじゃないか?と、思ってしまう。素朴でありながらも強靭な魂が宿る人であるにも関わらず歌舞伎役者のような出立。目立っても仕方なかろうに…浅はかにもそう思う。
しかし、そぼ降る雨に打たれながらも健気に咲く参道の紫陽花は美しすぎる。

駐車場でないところに止めてしまった車が気になりそそくさと退散。仙台城址へと向かった。
出迎えてくれたのは唐獅子。あ・ん。どこか愛嬌のある立ち姿にしばし感動し、政宗銅像が霞んでしまった。はて、この唐獅子は誰が作ったんだろう?会ってみたいものだ。
そんな気持ちは湧き上がるものの雨足がひどくなってきた。そしてホテルに向かった。
ホテルへ向かう途中で、緑の多さに気がつき杜の都なんだとあっけらかんと感心してしまった。


何事も一点に集中しすぎると…悲しみがやって来る。

2018-07-04 | BOOK
アスファルトの上をカラスの影が走っていった。
カラスは他の人が思うほど僕は嫌いではない。
夏の日差しの中、黒装束を纏うのは厄介なことだなあと思うぐらいだ。

ルビンの壺が割れた。
そんな小説を読んだ。二世代も、若い女友達とのラインのやりとりを見て、この小説が話題になった。読書のきっかけなどと言うものはいろんなところに転がっている。

フェスブックのメッセージ機能のやり取りだけでで書かれていくこの小説は時間の経過を明確にしてあり、会話のテンポがゆったりしたりで、二人の駆け引き、その謎を含んだやりとりが面白かったり薄気味悪かったりする。ホラー小説のようでもあり、ありきたりの恋愛物語であったり、揺れている。まあ、読む人間を揺さぶる。
視点を変えればどちらも目糞鼻糞の差異。にも関わらず、男のプライドの在り方の浅はかさが強調されてしまう。作者が女だから致し方ないのだろう。だから、壺は割れてしまった。他力本願では生きていけない。誰でもがそうなのだ。
所詮、無頼の徒。

他人に頼らなければ生きていけない。そんなことは山ほどあるけれど、それは自らがリスクとして背負いながらでなければ頼りにしてはならない。

攻撃は最大の防御であるが故に、賽の目がどちらに出てしまおうが傷つくことは必須なのだ。

誰かの為に生きるのは簡単だ。
でも、傷つくことの覚悟が必要なのだ。

さてさて、今日も暑いのだろう。