歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

横浜でヘミングウェイと飲んだ夢

2016-08-27 | 映画

探していた本が見つかったりすると嬉しいものだ。

基本的に本は本屋で買うものと決めてかかっていた。

退院以来、外出が面倒になったり、散歩がてら本屋をのぞいたり、

本屋の本棚で眩暈を覚えた。

しかし、この本が欲しかった。

矢作俊彦 作

「ライオンを夢見る」

 

仕方がないので、アマゾンで探したら一発で出てきた。

2004年初版の本。だからもう東京にはなかった。

だから、中古(古本)。

古本は嫌いではない。なんとなく謎めいている。

陰惨な過去に縛られた所有者が手放すにはいろんなドラマがあったりする。

そんなコトを想像すると楽しい。

潔癖であればすべて心が安らぐものではないのだ。

ページをめくる度にカビ臭さなどはなかった。

チャンドラー被れの小生意気な小説家(僕よりは3つ年上)

矢作俊彦の文体が好きだ。チャンドラーのマネっこばかりしていたんだろうし

「長いお別れ」なんか冒頭3ページは暗唱できたんじゃないか・・・

 

しかし、

 それは半分だけ正しかった。

ヘミングウェイがその半分を埋めていたのだ。

 

この本で彼が感じていたのはたぶん、

このノーベル賞作家の嘘で固めた履歴なんだろう。

人は誰しも英雄気取りが好きだし、持ち上げておいて、いいところまで来たら

突き落す。

そんな自堕落で悪趣味な遊びを繰り返している。

しかも、それが意図的ではなく、心から渇望しているんだ。

そして、それをマスコミが嗅ぎ付け、ちょっと演出して画面に流す。

 

大衆は愚かだ。

時々僕も猟銃の銃口を咥えてみたい。

どんな味がするのだろう?

 

 


嵐の夜には誰かの名前を呼んではいけない・・・・

2016-08-23 | 映画

なぜか台風が好きだ。

もちろん人命が失われたり家屋が流されたり

悲惨を招くことは分かっている。

でも、心がときめくのだ。

 

それは、破壊への願望ともいえるのかもしれない。

不幸は自分の身に降りかからぬ限り絶頂を招く。

蜜の味。

 

自然に逆らうなどもっての外なんだ。

でも、抗うのだろう。

何度でも何度でも・・壊されたって・・・また、同じものを作り上げる。

 

同じ場所で生まれ、同じ進路をたどって来る。

なのに、防ぎようがない。

過ぎ去ったあとに死人の数、その多さだけを競う。

哀しみは何処かえ置き去りにされたまま、

また来年も8月を迎える。

 

そして、また、誰かが呟く。

「もう、秋だ。」

秋の狡賢さや狡猾さを知らない

狭量な大人たちは今夜も酒盛りを始める。

 

「どんな嵐も去っていくのだ。」

そんなことを言い放っている。


どしてなんだろう・・・こんな人物が絶滅してしまったんだ

2016-08-21 | その他

すこぶる体調が悪い。

にも関わらず、活字渇望症になってしまったかのように本を買ってしまう。

暇つぶしに本屋へたちより、いつもより丁寧に書棚をなめるように本を探す。

特に探している本があるわけではなかったんだ。

城山三郎著

「粗にして野だが卑ではない」

石田禮助の生涯

 

第5代国鉄総裁78歳から7年間にわたって

当時の内閣総理大臣「池田はやと」懇願されて勤め上げた人物。

率直でお茶目で恐れを知らぬ財界人。

いいことを並べ立てればこんな言葉の羅列になってしまう。

 

大赤字を引き受けて旧国鉄を職員の意識改善を見事にやってしまったじいさん。

すべては老齢の所為にしたくはないけれど愛と勇気の人物。

さしずめ国鉄のアンパンマンと言ったところだ。

それは「愛と勇気」の人だからだ。

 

ビジネスで国際社会を堂々とした言動と行動で生き抜き三井物産の常務まで上り詰めたが

率直な物言いで退職し60歳を過ぎてからは公的人間を目指した。

定年過ぎてからの生き方としてはよく聞く生き方のパターンだ。

 

しかし、誰もやりたがらぬ仕事をこの歳で引き受けたところが

この爺様の凄いところなんだろう。

就任のあいさつはひとこと「嘘はつかない」

それがすべてなのだ。

 

その「粗」が底流にある人間はつらいけれど結局は気持ちよく死ねるのだ。

見事な生き様は素敵な死にざまのことを言うのだろう。

パブリック・マンを実践するには、ほんの少しの犠牲的精神が発揮できるかなんだ。

 

いまの政治家にこれほど痛快に国会で答弁する人がいるのだろうか。

金や地位や薄っぺらいプライドを守ろうとすればするほど

嘘が必要になってしまう。

 

そんなことはみんな分かっているんだ。

分かってはいるがそれができない。

それが人間だからだろう。

わが身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もある。

けれど、捨ててばかりいると・・・いつかモチベーションがなくなる。

被害者意識に囲われ人を恨むことばかり考えてしまう。

 

切って捨てる奴は捨てればいいのだ。

本当に大切な、本気になって力を貸してくれる奴を信じて行動すればいいだけなのだ。

すべてにOKサインを獲得しようなどと思うから率直さを失うのだ。

 

見極めるのすは難しい。

それは「感」でしかないからだ。

株の売買ではないのだからだ。

 

しかしこの爺様は合理的思考と感という二律を見事にコントロールしながら生き抜いたのだ。

その原動力となったのは、ただ「嘘をつかない」それだけなんだ。

 

基本的に伝記ものは好きではない。

良いことを盛りすぎるからだ。

そんな気分を撤回してしまった。

城山三郎という作家の人間的魅力に惹かれたことを加味したとしても

いまの僕を爽やかにしてくれたことは隠しようがない。

 


オリンピックが始まった。でも、猫は寝ている・・・・

2016-08-07 | 映画

リオ・オリンピック2016が始まった。

隣は一家こぞって朝早くからテレビに向かい声援を送っている。

田舎育ちか下町暮らしが長いのか、

窓を開きっぱなしで大声援を送っている。

おまけにベランダに出てきて携帯で友人に戦況を伝えている。

 

イラつくなよー。

身体に障るから、怒るなよー。

もう一人の面白くもない発想が売りの自分が叫んでいる。

 

年寄りの「キレル化」が話題になった時期があった。

その時からずぅ~と思っていた。

 

 

そうだ、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」って映画を観て考えがまとまったような気がしていた。

自分が感じたり、考えたコトを

そのままに、どうして言ってはいけないんだ。

もちろん感情のままに怒りをぶちまけたりするのは不作法だし思いやりに欠ける。

 

 

いつからなんだ・・・・こんな軟弱な時代になったのは。。。。。

差別用語なんて自主規制的なコトをマスコミが騒ぎ始めたときからなんだろうか?

僕にとってはどうでもいいんだけれどね・・・・

そうなんだ。

この「どうでもいい。」そんな意見が理解できないんだろう。

 

怒りは必要なんだと思ってる。

じっと我慢も必要。でも、怒りをぶつけなければ理解されないことの方が多い。

取りあえず怒りをぶつけられた方は

驚き、なんで?

すべてはそんなところから始めなくちゃならなくなってしまっているらしい。

相手が泣いたり笑ったり怒ったりしていることの理由を知りたがらなくなってしまったんだろうか?

 

ヴァーチャルにレスポンスはない。

攻撃もしなければ誹謗もしない。

ただただ褒めるだけなんだ。

すべてを肯定してくれる。

悪いことですら寛容なのだ。

 

そしてすべてを許し、最後に困ったことに陥った若者に投げかける言葉が

「自己責任」なのだから・・・なんてふざけた言葉を吐き捨てる

そんな大人が増えたことなんだ。


繰り返しの日々に耐えるのが修行ならば・・・目的が欲しかった。

2016-08-03 | 旅行

バカを言ってはいけない。

目的はない。

修行に目的があれば修行ではないからだ。

ひたすら自分を「無」にすること。

 

それが目的なんだろう。

不思議なことにルーティンを、限りなく繰り返していると「無」になれるときがあるんだ。

他の人のことはわからないけれど・・・・

大学時代に体育会系に所属していたクラブの春の合宿でその経験をしたような気がする。

当時は全く分からなかったし、感じもしなかったけれど

あの、浮遊感、達成感、充足感はそう何度も経験できない。

 

汗と砂と血と疲労が最高に達した時、一番しんどいことをする。

いや、させられたんだ。

でも、それは思いのほか簡単にできちゃったりするんだ。

完璧に優雅に感動を与えられるぐらいのパフォーマンスになったりする。

 

脳が思考停止状態に陥った時、身体の動きは美しく効率よく動くものなんだ。

 

人は意味を求めすぎる。

まるで価値ある人間なんだと言わんばっかりにね。

もともと、君に、そして僕に価値などありはしないんだよ。

ただ生きているだけなんだからね。

それで、十分なんだ。

 

ただ、自分で何かをしたくなったり、それが仕事だったり遊びだったりしても

ホント、満足したいと思ったら

それなりに覚悟しなくちゃならない。

血反吐を吐くほど身体をいじめ、脳みそが考えるのやめるくらいにね・・・・

 

そこまで行って、初めて見える世界があったりするんだ。

まあ、醒め切った、冷たい脳を持った人には大凡、無理だとは思うよ。

 

できれば10代で経験しておくと

30歳からとても楽な暮らしができると思うんだ。

 

僕の人生もほんの少しで終わってしまうけれど

なんだか怖くはないんだ。

ガキのころに感じた死ぬことへの恐怖とは全然違う思いが湧き上ってる。

とは言うものの別れは別れなんだから

寂しい気持ちで一杯なんだ。