探していた本が見つかったりすると嬉しいものだ。
基本的に本は本屋で買うものと決めてかかっていた。
退院以来、外出が面倒になったり、散歩がてら本屋をのぞいたり、
本屋の本棚で眩暈を覚えた。
しかし、この本が欲しかった。
矢作俊彦 作
「ライオンを夢見る」
仕方がないので、アマゾンで探したら一発で出てきた。
2004年初版の本。だからもう東京にはなかった。
だから、中古(古本)。
古本は嫌いではない。なんとなく謎めいている。
陰惨な過去に縛られた所有者が手放すにはいろんなドラマがあったりする。
そんなコトを想像すると楽しい。
潔癖であればすべて心が安らぐものではないのだ。
ページをめくる度にカビ臭さなどはなかった。
チャンドラー被れの小生意気な小説家(僕よりは3つ年上)
矢作俊彦の文体が好きだ。チャンドラーのマネっこばかりしていたんだろうし
「長いお別れ」なんか冒頭3ページは暗唱できたんじゃないか・・・
しかし、
それは半分だけ正しかった。
ヘミングウェイがその半分を埋めていたのだ。
この本で彼が感じていたのはたぶん、
このノーベル賞作家の嘘で固めた履歴なんだろう。
人は誰しも英雄気取りが好きだし、持ち上げておいて、いいところまで来たら
突き落す。
そんな自堕落で悪趣味な遊びを繰り返している。
しかも、それが意図的ではなく、心から渇望しているんだ。
そして、それをマスコミが嗅ぎ付け、ちょっと演出して画面に流す。
大衆は愚かだ。
時々僕も猟銃の銃口を咥えてみたい。
どんな味がするのだろう?