「なにもそこまでして続けることはなかろう。」
そんな声が聞こえるたびに、僕は旅にでる。
風向きが変わらぬうちにクルマのエンジンをかけ、ゆきさきはとりあえず「神戸」とナビに入力する。
オヤジとオフクロ。
もう92歳と85歳。
老人ホームに居れたっきり。
日々連絡はしない。三つ上の兄が日々面倒を見る約束。
だからいたって気楽に過ごしている。
しかし、時々、苛まれる。
不精な付き合いに。
親と子供でも相性はあるのだ。
お互いに馬が合わないのではない。
ただ、べたついた関係がどうもうまくないのだ。
どんなふうに対応していいのかが・・・・。
おおよそ、甘えることが苦手なのだ。
しかし、甘えられやすいタイプなのだ。
何故か、割り切った関係でいれば何事もなく平穏に暮らして行けると信じてきた。
ガキの頃から・・・・ただ時には甘えてみたくなる。
そんな時にだけ会いに行くことにしている。
ちょうど気分が良くて、忍耐強くて、寛大な心で2~3時間一緒に居て苦痛に感じない。
そんなときにしか会わない様にしてきた。
それが双方ともによい気分で別れられる。
人はいずれ歳をとり、老いてのいく。
自分の意思とは遠くかけ離れたナニかによって動かされていくのだ。
別に神の力でもなく、時の流れは止められない。
とは言うモノの・・・・・
後悔ばかりするんだろうな・・・・
猫のように、死期がくれば、誰にも気づかれることなく姿を消してしまいたい。