「その1」からの続き。10月8日、渋谷クラブクアトロにて、ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットによる31年振りのデュオ・ライヴ。後半です。
前半の余韻さめやらぬ雰囲気のまましばし休憩タイム。そう言えばゲストにアナウンスされていたブラック・ボトム・ブラス・バンド(以下BBBB)はまだ出てきてないな~。なんて思っていたら、いきなり後方からブラスの音ががけたたましく響いてきました。そうです、BBBB得意のパレードが始まったのです。まさかここでやるとは思わなかったのでびっくりしました。そして“Call Him up, Call Him up!”とかけ声を発しながら私の目の前を通っていきます。曲は「Jesus on the Mainline」。セカンド・ラインのリズムにもう完全なニューオーリンズ・モード。そしてステージに上がった彼らが演奏したのが「ワッショイ★ブギ」。中盤にはジャクソン5の「I Want You Back」のメロディに乗せて「ワッショイ!ワッショイ!」のコール&レスポンス! お客さんも両手を挙げて盛り上がる。しかしそのコテコテな祭感は先程までのジェフ&エイモスとは明らかに質の違う熱気だったため、これ戻れるのかな~、と心配になりつつ私も「ワッショイ!ワッショイ!」
嵐のようなBBBBのステージが終わり、なんだかざわざわとした雰囲気の中、トムスキャビンの麻田さんが登場。今回の公演がソールド・アウトになった驚きと、リクエストの多いトム・ウェイツやヴァン・モリソンを呼ぶのがいかに難しいかを、歯に衣着せぬトークで楽しませてくれました。この麻田のお話が場内の空気をまたジェフ&エイモスに戻してくれた感はありますね。盛り上がった後での、いい意味でのクール・ダウン。そしていよいよジェフ&エイモスの再登場です。
「Heavenly Grass」という美しい曲から始まり、「Drop Down Mama」、「Lazybones」と続きます。スリーピー・ジョン・エステスのブルース「Drop Down Mama」でのジェフの歌唱の切れ味は流石でしたね。なんてったって63年のデビュー時から歌ってる曲ですからね。「Lazybones」はエイモスの低くコクのある歌声と、麗しいギター、そしてゆったりとした流れが最高でした。ちなみにこの時点での編成は前半のままで、まだBBBBは加わっていません。そして誰もが待ち望んだ「Sleepwalk」。エイモスの十八番、と言うよりこれぞエイモス!な代表曲。このギターは本当に素晴らしい! “星屑のギター”とはよく言ったもので、流麗極まりないフレーズの数々が輝いては消えていくよう。チョーキングの高低差と滑らかさは音だけ聴いているとまるでスライド・バーを使っているかの如くですし、復弦フレーズの音の揺らし方が絶妙すぎてため息が出てしまう。終わったあと、もの凄い拍手と声援に包まれました。少し照れながら笑みを浮かべるエイモス、隣のジェフも満足そうな表情でした。
そしてBBBBがステージに呼ばれ、いよいよジェフ&エイモスによる初めてのホーン・セクション入りステージという、特別なセッションが始まります。どんな感じになるのかと思いきや、始まったのはスウィンギー&ロッキンなジャンプ・ナンバーでした! 曲はアルバート・キングの「Let's Have A Natural Ball」ですよ! BBBBのホーンはほとんどビッグ・バンドのノリ。そしてジェフはこの日初めて立って歌う。踊りこそしませんがもうノリノリで歌いまくる。格好良い!! さらにこれまでトロトロのギターを弾いていたエイモスもここぞとばかりにパキパキな切れ味でソロを弾きまくる。この人、ロックン・ロールを弾かせても天下一品なんですよね。こういうノリのエイモスを観れたことにも大興奮!いや~、まさにこう来たか!って感じで参りました。
参ったと言えばもう1曲、パーシー・メイフィールドの「Please Send Me Someone to Love」。これはホーンセクションが入ったおかげで「BETTER DAYS」の再現となりました。これはホントに素晴らしかったです! BBBBもいい仕事しましたよね。あのジャジー&ブルージーなホーン・フレーズ。その音圧を徐々に徐々に上げていく、そしてそれに煽られるようにジェフの歌唱はシャウト気味にどんどん熱くなっていく。そしてエイモスのギター・ソロがまた極上。ブルースでもない、ジャズでもない、エイモス・ギャレットそのものみたいなギター・ソロ。ラストはソウルに極まったようなジェフのファルセットが決まり、もう感涙ものでした。他には「Nobody Knows the Way I Feel This Morning 」とか「Never Say Naw」とか、これらも極上。ラストは「C.C. Rider」でノリノリに終了。
鳴り止まない拍手にアンコール。まずは中村まりがリード・ヴォーカルを務めての「Midnight at the Oasis」。マリア・マルダーの代表曲ですが、これもエイモスのギター・ソロが大名演として知られてる曲なんですよね。近年のエイモスの来日公演でも演っていましたが、今回はマリアの元旦那であるジェフが一緒というのが興味深いですよね~。ジェフが演奏する「Midnight at the Oasis」って、なかなか聴けないんじゃないんですか? で、やはりエイモスのギター・ソロにはひときわの拍手喝采でしたね。そしてBBBBを交えての「Walking to New Orleans」。もちろんファッツ・ドミノですが、実はこれもボビー・チャールズの作。今回のライヴは、今年亡くなられたボビーのトリビュートの意も込められているのかもしれませんね。そう言えば、ボビーの曲を演るまえ、どこかで(「Small Town Talk 」だったかな~?)でジェフが「ボビー・チャールズ…。」と呟きながら上を仰ぎ見て、手を振っていたのも印象的でしたね。
そして夢の共演もいよいよクライマックス。曲は「Just a Little While to Stay Here」。この曲はジェフの「BEAUTIFUL ISLE OF SOMEWHERE」というアルバムに弾き語りによるフォーキーなヴァージョンが収録されていますが、今夜はBBBBをフューチャーしたニューオーリンズ・ブラス・バンド仕様で、最後らしい華やかな雰囲気。しかもBBBBを先頭にバンドのメンバーがフロアに降りてくる。そう、ここでまたしてもパレードです。後半はパレードに始まりパレードに終わる。粋な演出ですよね~。エイモスも立ち上がって皆を送り出す。列の最後はベーシストの方で、手には白いビニール傘を掲げてる。良い感じですね~。しかもパレードをしながら皆が去ったあと、ステージを振り返るとジェフとエイモスの2人だけが残っているという。上手い構成ですね~。やられました。ジェフが「ワン・モアー!」と告げ、エイモスもアコギに持ち替えての2人だけによる「Fishing Blues」、感無量でしたね。 そしてあとでサインするよ!みたいな仕草を残して二人は去ってい行きました。
そして私も物販で購入したトート・バックにサインを頂きました。それにしても素晴らしいライヴでしたね。BBBBという個性的なブラス・バンドをフューチャーしつつ、それも含めて全体の流れが最終的にカチッとハマる。それもこれも、これまでありとあらゆるルーツ・ミュージックを吸収消化してきた2人の懐の広さ故でしょうね。立ちっぱなしの長丁場もまったく飽きることもなく、疲れも忘れて堪能しました。
セット・リストはこんな感じ?
第1部
01. My Tears Came Rolling Down
02. My Carolina Sunshine Girl
03. Gee Baby Ain't I Good to You
04. Hong Kong Blues
05. River's Invitation
06. Small Town Talk
07. La Juanda
08. Tennessee Blues
09. Trouble Soon Be Over
BLACK BOTM BRASS BAND
10. Jesus on the Mainline
11. ワッショイ★ブギ
第2部
12. Heavenly Grass
13. Drop Down Mama
14. Lazybones
15. Sleepwalk
16. Let's Have a Natural Ball
17. Nobody Knows the Way I Feel This Morning
18. Never Say Naw
19. Please Send Me Someone to Love
20. C.C. Rider
Encore
21. Midnight at the Oasis
22. Walking to New Orleans
23. Just a Little While to Stay Here
24. Fishing Blues
*曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
10.010.09 ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット@渋谷クラブクアトロ その1
10.02.20 ボビー・チャールズを偲ぶ
09.04.16 エイモス・ギャレット@渋谷クラブ・クアトロ
前半の余韻さめやらぬ雰囲気のまましばし休憩タイム。そう言えばゲストにアナウンスされていたブラック・ボトム・ブラス・バンド(以下BBBB)はまだ出てきてないな~。なんて思っていたら、いきなり後方からブラスの音ががけたたましく響いてきました。そうです、BBBB得意のパレードが始まったのです。まさかここでやるとは思わなかったのでびっくりしました。そして“Call Him up, Call Him up!”とかけ声を発しながら私の目の前を通っていきます。曲は「Jesus on the Mainline」。セカンド・ラインのリズムにもう完全なニューオーリンズ・モード。そしてステージに上がった彼らが演奏したのが「ワッショイ★ブギ」。中盤にはジャクソン5の「I Want You Back」のメロディに乗せて「ワッショイ!ワッショイ!」のコール&レスポンス! お客さんも両手を挙げて盛り上がる。しかしそのコテコテな祭感は先程までのジェフ&エイモスとは明らかに質の違う熱気だったため、これ戻れるのかな~、と心配になりつつ私も「ワッショイ!ワッショイ!」
嵐のようなBBBBのステージが終わり、なんだかざわざわとした雰囲気の中、トムスキャビンの麻田さんが登場。今回の公演がソールド・アウトになった驚きと、リクエストの多いトム・ウェイツやヴァン・モリソンを呼ぶのがいかに難しいかを、歯に衣着せぬトークで楽しませてくれました。この麻田のお話が場内の空気をまたジェフ&エイモスに戻してくれた感はありますね。盛り上がった後での、いい意味でのクール・ダウン。そしていよいよジェフ&エイモスの再登場です。
「Heavenly Grass」という美しい曲から始まり、「Drop Down Mama」、「Lazybones」と続きます。スリーピー・ジョン・エステスのブルース「Drop Down Mama」でのジェフの歌唱の切れ味は流石でしたね。なんてったって63年のデビュー時から歌ってる曲ですからね。「Lazybones」はエイモスの低くコクのある歌声と、麗しいギター、そしてゆったりとした流れが最高でした。ちなみにこの時点での編成は前半のままで、まだBBBBは加わっていません。そして誰もが待ち望んだ「Sleepwalk」。エイモスの十八番、と言うよりこれぞエイモス!な代表曲。このギターは本当に素晴らしい! “星屑のギター”とはよく言ったもので、流麗極まりないフレーズの数々が輝いては消えていくよう。チョーキングの高低差と滑らかさは音だけ聴いているとまるでスライド・バーを使っているかの如くですし、復弦フレーズの音の揺らし方が絶妙すぎてため息が出てしまう。終わったあと、もの凄い拍手と声援に包まれました。少し照れながら笑みを浮かべるエイモス、隣のジェフも満足そうな表情でした。
そしてBBBBがステージに呼ばれ、いよいよジェフ&エイモスによる初めてのホーン・セクション入りステージという、特別なセッションが始まります。どんな感じになるのかと思いきや、始まったのはスウィンギー&ロッキンなジャンプ・ナンバーでした! 曲はアルバート・キングの「Let's Have A Natural Ball」ですよ! BBBBのホーンはほとんどビッグ・バンドのノリ。そしてジェフはこの日初めて立って歌う。踊りこそしませんがもうノリノリで歌いまくる。格好良い!! さらにこれまでトロトロのギターを弾いていたエイモスもここぞとばかりにパキパキな切れ味でソロを弾きまくる。この人、ロックン・ロールを弾かせても天下一品なんですよね。こういうノリのエイモスを観れたことにも大興奮!いや~、まさにこう来たか!って感じで参りました。
参ったと言えばもう1曲、パーシー・メイフィールドの「Please Send Me Someone to Love」。これはホーンセクションが入ったおかげで「BETTER DAYS」の再現となりました。これはホントに素晴らしかったです! BBBBもいい仕事しましたよね。あのジャジー&ブルージーなホーン・フレーズ。その音圧を徐々に徐々に上げていく、そしてそれに煽られるようにジェフの歌唱はシャウト気味にどんどん熱くなっていく。そしてエイモスのギター・ソロがまた極上。ブルースでもない、ジャズでもない、エイモス・ギャレットそのものみたいなギター・ソロ。ラストはソウルに極まったようなジェフのファルセットが決まり、もう感涙ものでした。他には「Nobody Knows the Way I Feel This Morning 」とか「Never Say Naw」とか、これらも極上。ラストは「C.C. Rider」でノリノリに終了。
鳴り止まない拍手にアンコール。まずは中村まりがリード・ヴォーカルを務めての「Midnight at the Oasis」。マリア・マルダーの代表曲ですが、これもエイモスのギター・ソロが大名演として知られてる曲なんですよね。近年のエイモスの来日公演でも演っていましたが、今回はマリアの元旦那であるジェフが一緒というのが興味深いですよね~。ジェフが演奏する「Midnight at the Oasis」って、なかなか聴けないんじゃないんですか? で、やはりエイモスのギター・ソロにはひときわの拍手喝采でしたね。そしてBBBBを交えての「Walking to New Orleans」。もちろんファッツ・ドミノですが、実はこれもボビー・チャールズの作。今回のライヴは、今年亡くなられたボビーのトリビュートの意も込められているのかもしれませんね。そう言えば、ボビーの曲を演るまえ、どこかで(「Small Town Talk 」だったかな~?)でジェフが「ボビー・チャールズ…。」と呟きながら上を仰ぎ見て、手を振っていたのも印象的でしたね。
そして夢の共演もいよいよクライマックス。曲は「Just a Little While to Stay Here」。この曲はジェフの「BEAUTIFUL ISLE OF SOMEWHERE」というアルバムに弾き語りによるフォーキーなヴァージョンが収録されていますが、今夜はBBBBをフューチャーしたニューオーリンズ・ブラス・バンド仕様で、最後らしい華やかな雰囲気。しかもBBBBを先頭にバンドのメンバーがフロアに降りてくる。そう、ここでまたしてもパレードです。後半はパレードに始まりパレードに終わる。粋な演出ですよね~。エイモスも立ち上がって皆を送り出す。列の最後はベーシストの方で、手には白いビニール傘を掲げてる。良い感じですね~。しかもパレードをしながら皆が去ったあと、ステージを振り返るとジェフとエイモスの2人だけが残っているという。上手い構成ですね~。やられました。ジェフが「ワン・モアー!」と告げ、エイモスもアコギに持ち替えての2人だけによる「Fishing Blues」、感無量でしたね。 そしてあとでサインするよ!みたいな仕草を残して二人は去ってい行きました。
そして私も物販で購入したトート・バックにサインを頂きました。それにしても素晴らしいライヴでしたね。BBBBという個性的なブラス・バンドをフューチャーしつつ、それも含めて全体の流れが最終的にカチッとハマる。それもこれも、これまでありとあらゆるルーツ・ミュージックを吸収消化してきた2人の懐の広さ故でしょうね。立ちっぱなしの長丁場もまったく飽きることもなく、疲れも忘れて堪能しました。
セット・リストはこんな感じ?
第1部
01. My Tears Came Rolling Down
02. My Carolina Sunshine Girl
03. Gee Baby Ain't I Good to You
04. Hong Kong Blues
05. River's Invitation
06. Small Town Talk
07. La Juanda
08. Tennessee Blues
09. Trouble Soon Be Over
BLACK BOTM BRASS BAND
10. Jesus on the Mainline
11. ワッショイ★ブギ
第2部
12. Heavenly Grass
13. Drop Down Mama
14. Lazybones
15. Sleepwalk
16. Let's Have a Natural Ball
17. Nobody Knows the Way I Feel This Morning
18. Never Say Naw
19. Please Send Me Someone to Love
20. C.C. Rider
Encore
21. Midnight at the Oasis
22. Walking to New Orleans
23. Just a Little While to Stay Here
24. Fishing Blues
*曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。
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