ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック予習:バセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ

2013-07-15 11:17:13 | フジロック
BASSEKOU KOUYATE & NGGONI BA / LAMA KO

フジロック予習第5弾、バセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ!!

あのファットボーイ・スリムが「心臓と腰を揺さぶる美味いシチュー! 」と舌を鳴らし、デーモン・アルバーンが「音楽がどうやって心と精神を高揚させられるかの素晴らしい見本だ!」と絶賛するなど、各方面からエールを送られるバセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ!! いよいよフジロックに登場です!

いやはや、何てったって “ンゴーニ・バ” ですからね。アフリカならではの語感にワクワクしちゃいますよね~。ちなみに「大きいンゴーニ」と言う意味だそうですが、この“ンゴーニ”、西アフリカに古くから伝わる弦楽器でして、上のジャケ写に写る小型の細長いギターのような形をしたものがそれ。いかにもアフリカン土着な原始的なイメージですよね。一見全て木製のように見えますが、表面には動物の皮が張ってありまして、バンジョーの祖先と呼ばれたりする楽器だったり。そのンゴーニの現在最高峰の演奏家として知られるのがバセク・クヤーテです。彼は伝統的なグリオの家系出身で、お父さんも有名なンゴーニ奏者だったそうです。


さて、そんなンゴーニを弾くために生まれてきたようなバセク・クヤーテ、彼が“ンゴーニ・バ” を率いた最新作が写真の「JAMA KO」。07年にリリースされた彼らのデビュー作「SEGU BLUE」(『BBCラジオ3アワード』のワールド・ミュージック部門でアルバム・オヴ・ザ・イヤーに輝くなど、当時のワールド・ミュージック界を席巻した傑作)は、アコースティックを基調にした暖かい作風でした。ですが今作はジャケ写に写るアンプやエフェクターが物語るように、エッジの効いたアーバンな作品に仕上がっています。アーバンと言ってもアフリカならではのいなたいアーバンですけどね。

メンバーにはバセクの他にンゴーニ奏者が3人もいます。しかもそれぞれが大きさの違うンゴーニを操るンゴーニ・アンサンブル。そしてバセクがこの小さな弦楽器とは思えないような複雑なフレーズを連発する。それはまるでコラのような複雑且つ美しいフレーズだったり、時にロックっぽかったり、ブルージーだったり。そんな変幻自在のンゴーニにパーカッションのリズムが絡み合い、アフリカならではの陶酔的なグルーヴが生み出されていく。脳内に纏わりつくような電化されたンゴーニの音色にやられます!!

ちなみに、元々歌の伴奏をするぐらいな素朴な楽器だったンゴーニでバンドを組み、華麗なソロを弾き倒すなんて言うのは、このバセク・クヤーテが最初だったそうです。しかもンゴーニにストラップを付けて、立って弾きだしたのもこの人が最初だとか。グリオという伝統的な血を受け継ぎながら、その伝統に縛られずにンゴーニの可能性をぐんぐん引き出していくパイオニア、それがバセク・クヤーテなのです!!

反復するリズムとンゴーニのサウンドを聴いてるだけでも充分面白いのですが、もちろんそれだけではない。アフリカの深さと、そこだけに納まり切らないエキゾティックな魅力も感じさせる多彩な楽曲は、歌物としてとても魅力的です。そしてそれを彩るヴォーカルがまた素晴らしい!この作品にはカッセ・マディ・ジャバテ、ズマナ・テレタ、ハリア・アルビなど、多彩なゲストシンガーが参加していますが、注目はバセクの奥方であり、バンドの正規シンガーでもあるアミ・サッコ。“マリのティナ・ターナー”と呼ばれているとかいないとか。いや~、良い声してますよ。アフリカと言うより、ジプシーやフラメンコを思わせるような情熱的で憂いのある歌声。これは生で聴きたいですね~。

あと、「ルーツな日記」的にはどうしてもここに触れずにはいられない。ブルース界の巨人、タジ・マハールの参加です。彼が参加したアフロ・ブルース「Poye 2」はやはり今作のハイライトですね!! 格好良い~!! ま、フジにタジは来ないですけどね…。


今や、フジロック名物とも言えるアフリカン・サウンド。今年の大本命はこのバセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ!! 見逃せません!!




では、最後に映像をいくつかご紹介。

http://www.youtube.com/watch?v=Ylxya8MXcX4
まずは野外フェスでのバセク・クヤーテ。フジでもこんな雰囲気になるのかな。


http://www.youtube.com/watch?v=OjUgmTuisnU
キューバの古老ミュージシャンにスポットを当てたブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブは大ヒットを記録しましたが、実はあれ、当初はマリとキューバのミュージシャンによる共演アルバムをキューバで録音するという企画だったそうです。ですが、マリ勢がパスポートを紛失してしまったとかで実現が叶わず、その結果として生まれたのがあのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブだったとか。で、そのマリ勢の中にはバセク・クヤーテも含まれていたのです。そしてあれから10数年の年月を経てようやく実現されたアフロ&キューバ・プロジェクトが、2010年にリリースされた「AFROCUBISM」というアルバム。もちろんバセク・クヤーテも参加。で、こちらはそのライヴ映像。5分40秒あたりからのコラ奏者トゥマニ・ジャバテとバセクとのソロの応酬にワクワクさせられます。


http://www.youtube.com/watch?v=rU1ZGD2cptw
こちらは2012年にデーモン・ アルバーンが主催した「アフリカ・エキスプレス」から、ポール・マッカートニーを中心にしたセッション。ドラムはトニー・アレン、マンドリンを弾いてるのはジョン・ポール・ジョーンズ、そしてポールの直ぐ後ろで小さなンゴーニを弾いてるのが、我らがバセク・クヤーテ! どこかにデーモンも居るはず。



http://www.youtube.com/watch?v=NsXuLIOBs2Q
最後はバセクとタジの共演を。