TOWER OF POWER / EAST BAY GREASE
フジロック予習特集第7弾、今年で結成45周年を迎える、米西海岸はオークランドが生んだレジェンダリー・ファンク・バンド、タワー・オブ・パワーです!!
もう日本に何度も来ている人達ですから、彼らが来日すると聴いてもさほど驚きはしませんが、それがフジロックとなれば話は別なのです。夏の野外フェス、しかも世界中のあらゆるジャンルの音楽が集まるフジロックという舞台で、あのタワー・オブ・パワーが観れるなんて!こんな素敵なことはありません!!
50年代末から60年代以降、ビートニクやヒッピー&フラワー、ドラッグ、サイケデリックなど、カウンターカルチャーの発信基地として独特な文化/音楽が花開いた米西海岸。そしてスライが種を蒔いたファンク。かの地の太陽を燦々と浴びて育まれたそれはベイエリア・ファンクと呼ばれ、70年代に隆盛を極めました。タワー・オブ・パワーはその代表格です。人種混合の大所帯など、かの地ならではのミクスチャーな感覚も横溢ながら、同時代のウェストコースト・ロックと並び、スカッとした気持ち良さはその後の西海岸サウンドをも決定付けたと言えるでしょう。また、ブラス隊を全面にフィーチャーしたそのサウンドはブラス・ファンクとも呼ばれました。
運命の日は1968年8月13日。エミリオ・カスティーヨ(テナー・サックス)のバンドに、ドクターことスティーヴン・クプカ(バリトン・サックス)が加入したこの日、タワー・オブ・パワーの歴史が始まったと言われています。デビューは1970年、フィルモアで知られるビル・グラハムのレーベル、「サンフランシスコ・レーベル」からリリースされたのが、上写真のデビュー・アルバム「EAST BAY GREASE」。いきなりブラス隊が号砲を上げる名曲「Knock Yourself Out」で幕を開けるこのアルバム。ホーン・リフとギター、ソウルフルなヴォーカル、ハジけるコーラス、バウンスしまくるリズム、それらが熱く、爽やかに駆け抜ける超強力ファンクネス。なんてったってリズム隊はデイヴィッド・ガリバルディ(ds)&フランシス“ロッコ”プレスティア(b)ですからね!
72年にメジャー・レーベル、ワーナーから「BUMP CITY」を発表。続いて73年に「TOWER OF POWER」、その翌年に「BACK TO OAKLAND」と名盤を連発し、黄金時代を築き上げました。代表曲「What Is Hip?」を始め、「You Got To Funkefize」、「Soul Vaccination」辺りのブラスをフューチャーし、ちょっぴりジャズ掛かったキレのあるファンクの格好良いこと!初めて「Oakland Stroke...」を聴いた時の、その明らかに16ビートを超えてそうな細かいリズムがグルーヴするファンクネスに、これいった何ビートなの?って興奮したのを今でも覚えています。やっぱガリバルディ&ロッコのリズムは凄い! 特にこの曲でのロッコのベース・ラインは神がかってますよね~。
さらに、タワー・オブ・パワーの本領は以外とファンクよりもソウルであったりするからまた面白い。デビュー当時のヴォーカリスト、ルーファス・ミラーやリック・スティーヴンス、そしてレニー・ウィリアムスなど、歴代シンガー達の素晴らしさは言わずもがなですが、「You're Still A Young Man」や「So Very Hard To Go」、「Just When We Start Makin' It」といったスロー・ナンバーにおける、その楽曲の良さとアレンジの妙は、このバンドの最たる魅力となっています。また各々の力量をフィーチャーした長尺ファンク曲がある一方で、歌物としてポップな完成度を誇っているのもこのバンドならでは。「This Time It's Real」のようなエヴァーグリーンな魅力きらめく名曲も忘れ難いです。
その長い活動歴の中ではもちろん不遇の時代もありました。大所帯ゆえにメンバーチェンジも頻繁でしたし。Wikiでタワー・オブ・パワーのページを調べると、その旧メンバー欄にズラッと並んだあまりに多くのミュージシャン達の名前にその歴史の深さを感じさせられます。08年にサンフランシスコのフィルモアで行なわれた結成40周年ライヴには、歴代の元メンバー達も駆けつけ、ステージには総勢32人もの現&元ミュージシャンが登場したとか。
これだけ歴史の長いバンドになると、現在はもうオリジナル・メンバーのほとんどが居ないし…、みたいなのが当たり前だったりするのですが、リーダーにして創立メンバーのエミリオ・カスティーヨや、その盟友スティーヴン・“ドッグ”・クプカはもちろん、鉄壁のリズム隊デイヴィッド・ガリバルディ&フランシス“ロッコ”プレスティアも中心メンバーとして現在のタワー・オブ・パワーを支えています。これって凄いことですよね!ただ残念ながらフランシス“ロッコ”プレスティアは今回の来日が叶わなくなってしまって、これは本当に残念。でも代役はナッシング・バット・ザ・ファンク等で知られるレイモンド・マッキンリーですから、大丈夫でしょう! その他のメンバーも多くが00年代のタワー・オブ・パワーを彩ってきた10年選手達です。シンガーのラリー・ブラッグスも瑞々しくしなやかなブラック・フィーリングを持った素晴らしいソウル・マン! 名曲の数々と共に、西海岸の華やか且つ熱~いファンクネスでオレンジを染め上げてくれることでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/fd/51f9d3c8c57768a8198207d2e9b2b8ea.jpg)
TOWER OF POWER / TOWER OF POWER
「BACK TO OAKLAND」と並ぶ大傑作。「What Is Hip?」や「So Very Hard To Go」等の代表曲も収録。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/29/d63b5e336bffef35773e693de1bb5e65.jpg)
TOWER OF POWER / GREAT AMERICAN SOUL BOOK
今のところ最新スタジオ作となる09年リリースのカヴァー作品。サム・クック、ジョス・ストーン、トム・ジョーンズなどのゲスト・シンガーも話題に。
最後に映像も少々。
http://www.youtube.com/watch?v=VUFxj59Fa9o
73年のライヴ映像からファンキーな「What Is Hip?」。
http://www.youtube.com/watch?v=y1rz6qAn_eQ
73年の「ソウルトレイン」から名曲「So Very Hard To Go」。メンバー紹介やインタビューを経て、演奏は3:00あたりから。
http://www.youtube.com/watch?v=vG6WMzcZvRk
2010年、LUGANO ESTIVAL JAZZでの1時間30に渡るフルライヴ映像。メンバーも今とほとんど変わっていないです。
さて、偉そうなことを書いてる割には私もタワー・オブ・パワーを生で観るのは今回が初めてです。エミリオ・カスティーヨやクプカももちろんですが、デイヴィッド・ガリバルディを生で観れるのが楽しみ!! ベイエリア・ファンク、いや世界中のファンク界における最高のドラマーの一人ですからね。ホント楽しみです!!
あと、タワー・オブ・パワーと言えば、タワー・オブ・パワー・ホーンズとも呼ばれたブラス・セクションの課外活動も忘れてはならない訳で、次回はほんのさわり程度ですが、その辺りを掘ってみたいと思います。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
12.07.17 フジロック予習:ジャザノヴァ
12.07.15 フジロック予習:バセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ
12.06.18 フジロック予習:ゲイリー・クラーク・ジュニア
12.06.13 フジロック予習:エディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ
12.05.30 フジロック予習:ロン・セクスミス
12.05.22 フジロック予習:マムフォード&サンズ
フジロック予習特集第7弾、今年で結成45周年を迎える、米西海岸はオークランドが生んだレジェンダリー・ファンク・バンド、タワー・オブ・パワーです!!
もう日本に何度も来ている人達ですから、彼らが来日すると聴いてもさほど驚きはしませんが、それがフジロックとなれば話は別なのです。夏の野外フェス、しかも世界中のあらゆるジャンルの音楽が集まるフジロックという舞台で、あのタワー・オブ・パワーが観れるなんて!こんな素敵なことはありません!!
50年代末から60年代以降、ビートニクやヒッピー&フラワー、ドラッグ、サイケデリックなど、カウンターカルチャーの発信基地として独特な文化/音楽が花開いた米西海岸。そしてスライが種を蒔いたファンク。かの地の太陽を燦々と浴びて育まれたそれはベイエリア・ファンクと呼ばれ、70年代に隆盛を極めました。タワー・オブ・パワーはその代表格です。人種混合の大所帯など、かの地ならではのミクスチャーな感覚も横溢ながら、同時代のウェストコースト・ロックと並び、スカッとした気持ち良さはその後の西海岸サウンドをも決定付けたと言えるでしょう。また、ブラス隊を全面にフィーチャーしたそのサウンドはブラス・ファンクとも呼ばれました。
運命の日は1968年8月13日。エミリオ・カスティーヨ(テナー・サックス)のバンドに、ドクターことスティーヴン・クプカ(バリトン・サックス)が加入したこの日、タワー・オブ・パワーの歴史が始まったと言われています。デビューは1970年、フィルモアで知られるビル・グラハムのレーベル、「サンフランシスコ・レーベル」からリリースされたのが、上写真のデビュー・アルバム「EAST BAY GREASE」。いきなりブラス隊が号砲を上げる名曲「Knock Yourself Out」で幕を開けるこのアルバム。ホーン・リフとギター、ソウルフルなヴォーカル、ハジけるコーラス、バウンスしまくるリズム、それらが熱く、爽やかに駆け抜ける超強力ファンクネス。なんてったってリズム隊はデイヴィッド・ガリバルディ(ds)&フランシス“ロッコ”プレスティア(b)ですからね!
72年にメジャー・レーベル、ワーナーから「BUMP CITY」を発表。続いて73年に「TOWER OF POWER」、その翌年に「BACK TO OAKLAND」と名盤を連発し、黄金時代を築き上げました。代表曲「What Is Hip?」を始め、「You Got To Funkefize」、「Soul Vaccination」辺りのブラスをフューチャーし、ちょっぴりジャズ掛かったキレのあるファンクの格好良いこと!初めて「Oakland Stroke...」を聴いた時の、その明らかに16ビートを超えてそうな細かいリズムがグルーヴするファンクネスに、これいった何ビートなの?って興奮したのを今でも覚えています。やっぱガリバルディ&ロッコのリズムは凄い! 特にこの曲でのロッコのベース・ラインは神がかってますよね~。
さらに、タワー・オブ・パワーの本領は以外とファンクよりもソウルであったりするからまた面白い。デビュー当時のヴォーカリスト、ルーファス・ミラーやリック・スティーヴンス、そしてレニー・ウィリアムスなど、歴代シンガー達の素晴らしさは言わずもがなですが、「You're Still A Young Man」や「So Very Hard To Go」、「Just When We Start Makin' It」といったスロー・ナンバーにおける、その楽曲の良さとアレンジの妙は、このバンドの最たる魅力となっています。また各々の力量をフィーチャーした長尺ファンク曲がある一方で、歌物としてポップな完成度を誇っているのもこのバンドならでは。「This Time It's Real」のようなエヴァーグリーンな魅力きらめく名曲も忘れ難いです。
その長い活動歴の中ではもちろん不遇の時代もありました。大所帯ゆえにメンバーチェンジも頻繁でしたし。Wikiでタワー・オブ・パワーのページを調べると、その旧メンバー欄にズラッと並んだあまりに多くのミュージシャン達の名前にその歴史の深さを感じさせられます。08年にサンフランシスコのフィルモアで行なわれた結成40周年ライヴには、歴代の元メンバー達も駆けつけ、ステージには総勢32人もの現&元ミュージシャンが登場したとか。
これだけ歴史の長いバンドになると、現在はもうオリジナル・メンバーのほとんどが居ないし…、みたいなのが当たり前だったりするのですが、リーダーにして創立メンバーのエミリオ・カスティーヨや、その盟友スティーヴン・“ドッグ”・クプカはもちろん、鉄壁のリズム隊デイヴィッド・ガリバルディ&フランシス“ロッコ”プレスティアも中心メンバーとして現在のタワー・オブ・パワーを支えています。これって凄いことですよね!ただ残念ながらフランシス“ロッコ”プレスティアは今回の来日が叶わなくなってしまって、これは本当に残念。でも代役はナッシング・バット・ザ・ファンク等で知られるレイモンド・マッキンリーですから、大丈夫でしょう! その他のメンバーも多くが00年代のタワー・オブ・パワーを彩ってきた10年選手達です。シンガーのラリー・ブラッグスも瑞々しくしなやかなブラック・フィーリングを持った素晴らしいソウル・マン! 名曲の数々と共に、西海岸の華やか且つ熱~いファンクネスでオレンジを染め上げてくれることでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/fd/51f9d3c8c57768a8198207d2e9b2b8ea.jpg)
TOWER OF POWER / TOWER OF POWER
「BACK TO OAKLAND」と並ぶ大傑作。「What Is Hip?」や「So Very Hard To Go」等の代表曲も収録。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/29/d63b5e336bffef35773e693de1bb5e65.jpg)
TOWER OF POWER / GREAT AMERICAN SOUL BOOK
今のところ最新スタジオ作となる09年リリースのカヴァー作品。サム・クック、ジョス・ストーン、トム・ジョーンズなどのゲスト・シンガーも話題に。
最後に映像も少々。
http://www.youtube.com/watch?v=VUFxj59Fa9o
73年のライヴ映像からファンキーな「What Is Hip?」。
http://www.youtube.com/watch?v=y1rz6qAn_eQ
73年の「ソウルトレイン」から名曲「So Very Hard To Go」。メンバー紹介やインタビューを経て、演奏は3:00あたりから。
http://www.youtube.com/watch?v=vG6WMzcZvRk
2010年、LUGANO ESTIVAL JAZZでの1時間30に渡るフルライヴ映像。メンバーも今とほとんど変わっていないです。
さて、偉そうなことを書いてる割には私もタワー・オブ・パワーを生で観るのは今回が初めてです。エミリオ・カスティーヨやクプカももちろんですが、デイヴィッド・ガリバルディを生で観れるのが楽しみ!! ベイエリア・ファンク、いや世界中のファンク界における最高のドラマーの一人ですからね。ホント楽しみです!!
あと、タワー・オブ・パワーと言えば、タワー・オブ・パワー・ホーンズとも呼ばれたブラス・セクションの課外活動も忘れてはならない訳で、次回はほんのさわり程度ですが、その辺りを掘ってみたいと思います。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
12.07.17 フジロック予習:ジャザノヴァ
12.07.15 フジロック予習:バセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ
12.06.18 フジロック予習:ゲイリー・クラーク・ジュニア
12.06.13 フジロック予習:エディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ
12.05.30 フジロック予習:ロン・セクスミス
12.05.22 フジロック予習:マムフォード&サンズ