AZZANOVA / FUNKHAUS STUDIO SESSIONS
フジロック予習特集第6弾、ジャザノヴァ。
ベルリン発、3人のDJと2人のプロデューサーが集まった天才集団ジャザノヴァ。自らの音源リリースはもちろん、プロデュース、DJ、リミックス、レーベル運営など、多岐にわたる活動を通し、長きに渡りクラブ・ジャズ/ニュー・ジャズ界を席巻してきました。メンバーは、ユルゲン・フォン・ノブラウシュ、アレキサンダー・バーク、クラアス・ブリーラー、ステファン・ライゼリンク、アクセル・ライネマー、ロスコ・クレッチマンの5人。前者3名がDJ、後者2人がプロデューサーです。ですが、よく分らない人達なんです…。
だって、今回来日するメンバーは総勢9人という大所帯の生バンドなんですが、先に挙げた5人のメンバーの名前を探しても、その中にはプロデューサー・チームの2人しか居ないんです。DJチームは何所行っちゃったの?別に分裂した訳ではないと思うんですけどね…。
昨年リリースされた最新作「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」(写真)は、これまで打ち込み主体だったジャザノヴァが、生バンドを結成してハイセンスなジャズ・ソウルを繰り広げたスタジオ・ライヴ録音でした。これはいよいよあのジャザノヴァが!と大変話題になりましたね。ですがこの作品にも、クレジットを探すかぎり、DJチームの3人はあまり関わってないんじゃないかと思われるんです。まあ、なんて言いますか、「バンドやろうぜ!」「いやいや、俺達DJだから…」みたいな感じでしょうか?(多分違うと思いますが…)。
同じグループなんですから、DJでも何らかの形でライヴに加われば良いのに?と思いますが、でもそうしないところが逆にクールですよね。バンド的な結束力よりもメンバーそれぞれのアイデアの集合体として存在するジャザノヴァというイメージ。こういったちょっと不思議な活動形態にも彼らならではの自由な感覚が感じられます。枠にとらわれずにサラッと動いている感じが格好良いですよね~。って言うかバンド的という意味ではジャザノヴァ・バンドと呼ばれる現在のバンドの方がその結束力を日に日に強めているのかもしれませんが。
さて、そのジャザノヴァ・バンド。まずはそのアルバム「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」です。これはやられましたね~! ジャザノヴァが生バンドで録音となれば、どれだけフューチャリスティックで先鋭的なジャズなんだろうと期待してしまいますが、これが思った以上に人肌のジャズ・ソウルなんです。もちろんビートにはクラブ的なバウンス感が感じられますし、既発曲がほとんどとは言え、洗練された楽曲の数々とそのアレンジは流石のセンスに溢れています。ですがそれ以上にもっと人間的なエモーショナルを感じさせられるんです。リード・シンガーに起用されたポール・ランドルフの歌声も良いですし。 彼はカール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラなんかでも歌っているので、おそらくクラブ・ジャズ寄りの人なんでしょうけど、洗練されたジャズ感以上に、もっとオーセンティックなソウル・フィーリングを持った人という印象。そんな彼の歌唱も含め、演奏者同士の感性の触れ合いが感じられるようなサウンドが素敵です。
それにしても、あのデビュー作からこうなるとは誰が予想したでしょう! 彼らが02年にリリースした1st作「IN BETWEEN」はこれぞクラブ・ジャズ!な傑作でした。ガリアーノや4ヒーロー辺りとの人脈もクールでしたし、DJ&プロデューサーが作った新しいジャズとして、あれほど先鋭的で創造性に富んだ作品は無かったのではないでしょうか? そしてそれから6年ぶりとなった2nd作「OF ALL THE THINGS」は、リオン・ウェア、ドゥウェレ、ベン・ウェストビーチ、ホセ・ジェイムス!などのシンガーを招き一気にソウル寄りになりました。もちろんポール・ランドルフもフィーチャーされています。そしてサウンド自体も生演奏を多用したバンド指向へ。ですがドラムは全てプログラミングでしたし、サウンド全体の醸すムードのようなものにジャザノヴァらしいセンスを感じさせられました。で、この2nd作のライヴ用に立ち上げられたのがジャザノヴァ名義の生バンドで、それがこの最新作、そしてフジロック出演に繋がっている訳です。
なのでこの最新作「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」は、前作「OF ALL THE THINGS」と表裏一体の作品という位置づけにもなるし、前作からさらに一歩踏み込んだ作品とも取れる訳です。そしてライヴこそが、ジャザノヴァの拘った生バンドの真の姿なのかもしれません。現在のジャザノヴァが目指す新しいジャズ。その姿がフジロックで拝めます!!
ちなみにジャザノヴァという名前の由来は、ジャズとノヴァの造語で、つまり“新しいジャズ”、だそうです。
では、映像をいくつか。
http://www.youtube.com/watch?v=c2AeFOOdML0
オフィシャル映像から「Let It Go」。踊れるベースラインやセンス抜群のアレンジはやはりクラブ系。格好良いです!!
http://www.youtube.com/watch?v=JkKiOBnH6kk
こちらのライヴを観ると、オレンジより深夜のレッド・マーキーの方が似合いそうな感じ。アルバムで感じた人肌の生感とはまるで違うライヴならではの鋭角的なグルーヴ感にジャザノヴァの本領を観た思い。やはり凄いです!!
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
12.07.15 フジロック予習:バセク・クヤーテ&ンゴーニ・バ
12.06.18 フジロック予習:ゲイリー・クラーク・ジュニア
12.06.13 フジロック予習:エディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ
12.05.30 フジロック予習:ロン・セクスミス
12.05.22 フジロック予習:マムフォード&サンズ
フジロック予習特集第6弾、ジャザノヴァ。
ベルリン発、3人のDJと2人のプロデューサーが集まった天才集団ジャザノヴァ。自らの音源リリースはもちろん、プロデュース、DJ、リミックス、レーベル運営など、多岐にわたる活動を通し、長きに渡りクラブ・ジャズ/ニュー・ジャズ界を席巻してきました。メンバーは、ユルゲン・フォン・ノブラウシュ、アレキサンダー・バーク、クラアス・ブリーラー、ステファン・ライゼリンク、アクセル・ライネマー、ロスコ・クレッチマンの5人。前者3名がDJ、後者2人がプロデューサーです。ですが、よく分らない人達なんです…。
だって、今回来日するメンバーは総勢9人という大所帯の生バンドなんですが、先に挙げた5人のメンバーの名前を探しても、その中にはプロデューサー・チームの2人しか居ないんです。DJチームは何所行っちゃったの?別に分裂した訳ではないと思うんですけどね…。
昨年リリースされた最新作「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」(写真)は、これまで打ち込み主体だったジャザノヴァが、生バンドを結成してハイセンスなジャズ・ソウルを繰り広げたスタジオ・ライヴ録音でした。これはいよいよあのジャザノヴァが!と大変話題になりましたね。ですがこの作品にも、クレジットを探すかぎり、DJチームの3人はあまり関わってないんじゃないかと思われるんです。まあ、なんて言いますか、「バンドやろうぜ!」「いやいや、俺達DJだから…」みたいな感じでしょうか?(多分違うと思いますが…)。
同じグループなんですから、DJでも何らかの形でライヴに加われば良いのに?と思いますが、でもそうしないところが逆にクールですよね。バンド的な結束力よりもメンバーそれぞれのアイデアの集合体として存在するジャザノヴァというイメージ。こういったちょっと不思議な活動形態にも彼らならではの自由な感覚が感じられます。枠にとらわれずにサラッと動いている感じが格好良いですよね~。って言うかバンド的という意味ではジャザノヴァ・バンドと呼ばれる現在のバンドの方がその結束力を日に日に強めているのかもしれませんが。
さて、そのジャザノヴァ・バンド。まずはそのアルバム「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」です。これはやられましたね~! ジャザノヴァが生バンドで録音となれば、どれだけフューチャリスティックで先鋭的なジャズなんだろうと期待してしまいますが、これが思った以上に人肌のジャズ・ソウルなんです。もちろんビートにはクラブ的なバウンス感が感じられますし、既発曲がほとんどとは言え、洗練された楽曲の数々とそのアレンジは流石のセンスに溢れています。ですがそれ以上にもっと人間的なエモーショナルを感じさせられるんです。リード・シンガーに起用されたポール・ランドルフの歌声も良いですし。 彼はカール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラなんかでも歌っているので、おそらくクラブ・ジャズ寄りの人なんでしょうけど、洗練されたジャズ感以上に、もっとオーセンティックなソウル・フィーリングを持った人という印象。そんな彼の歌唱も含め、演奏者同士の感性の触れ合いが感じられるようなサウンドが素敵です。
それにしても、あのデビュー作からこうなるとは誰が予想したでしょう! 彼らが02年にリリースした1st作「IN BETWEEN」はこれぞクラブ・ジャズ!な傑作でした。ガリアーノや4ヒーロー辺りとの人脈もクールでしたし、DJ&プロデューサーが作った新しいジャズとして、あれほど先鋭的で創造性に富んだ作品は無かったのではないでしょうか? そしてそれから6年ぶりとなった2nd作「OF ALL THE THINGS」は、リオン・ウェア、ドゥウェレ、ベン・ウェストビーチ、ホセ・ジェイムス!などのシンガーを招き一気にソウル寄りになりました。もちろんポール・ランドルフもフィーチャーされています。そしてサウンド自体も生演奏を多用したバンド指向へ。ですがドラムは全てプログラミングでしたし、サウンド全体の醸すムードのようなものにジャザノヴァらしいセンスを感じさせられました。で、この2nd作のライヴ用に立ち上げられたのがジャザノヴァ名義の生バンドで、それがこの最新作、そしてフジロック出演に繋がっている訳です。
なのでこの最新作「FUNKHAUS STUDIO SESSIONS」は、前作「OF ALL THE THINGS」と表裏一体の作品という位置づけにもなるし、前作からさらに一歩踏み込んだ作品とも取れる訳です。そしてライヴこそが、ジャザノヴァの拘った生バンドの真の姿なのかもしれません。現在のジャザノヴァが目指す新しいジャズ。その姿がフジロックで拝めます!!
ちなみにジャザノヴァという名前の由来は、ジャズとノヴァの造語で、つまり“新しいジャズ”、だそうです。
では、映像をいくつか。
http://www.youtube.com/watch?v=c2AeFOOdML0
オフィシャル映像から「Let It Go」。踊れるベースラインやセンス抜群のアレンジはやはりクラブ系。格好良いです!!
http://www.youtube.com/watch?v=JkKiOBnH6kk
こちらのライヴを観ると、オレンジより深夜のレッド・マーキーの方が似合いそうな感じ。アルバムで感じた人肌の生感とはまるで違うライヴならではの鋭角的なグルーヴ感にジャザノヴァの本領を観た思い。やはり凄いです!!
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