徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

第31節 ドアを叩く男

2007-11-12 02:07:11 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス06~10
日本平でサンフレッチェ広島戦。このゲームで鉄人・伊東輝悦がJリーグ出場400試合を達成した。これだけでも行く価値は充分だ。お子さんを抱いて入場したテルはいつものポーカーフェイス(仏頂面ともいう…)ではなく、ずっと笑顔でセレモニーをこなしていたのが印象的だった。
しかしジョージがこの祝祭空間に水を差すようなレフリングを繰り返したのは非常に残念だった。いや、最初から確かに嫌~な感じはしていたのだが、案の定、悪い意味でまったく期待を裏切らない人である。もちろん彼も彼なりに誠実にレフリングしようとしているはずだ。しかし巡り合わせはあるのだろうが、悪い星の下に生まれた人だとしか思えない。
といっても先制されてもすぐさまイチの(今年何回目かの)目の醒めるようなレーザービームも観ることができたし、終わってみれば成熟度やポテンシャルの違いは証明できたのではないかという完勝。ホーム戦は24日の千葉戦を残すのみ。今年、最後で最後の大一番、最終節の鹿島戦は満員のホームで送り出すことができればいいっスね。

テル「1999年にステージ優勝をした時と比べても、当時感じていた『負ける気がしない』という雰囲気は今も感じている。エスパルスが確実に優勝を狙える場所に来ているということは言えると思う」(11月11日サンフレッチェ広島戦マッチデープログラムより)

テル「自分たちのスタイルというか、自分たちのやろうとするサッカーをやはりピッチ内で表現することが勝利への一番の近道だと思うんで、ホントそれぞれがプレーをできるように、今度の試合に向けてまた準備をしていきたいなと思います」(Sの極み 11月11日付け)

ノボリの引退ゲームに始まり、驚愕のシステムチェンジで幕を開けた2007年シーズンもいよいよ大詰めを迎えた。浦和の引き分けで(数字上の)優勝の可能性は完全になくなってしまったけれども、これで4位以上は確定。そして残りは浦和、千葉、鹿島と、さらに高みに挑める相手が残った。この3ゲームで、長いシーズンの醍醐味が味わえると思う。

ゲーム終了後、テルはひとり場内を回り、テレビカメラがその姿を追いかけ続けていた。まるで引退みたいな光景だったけれども、テルにはまだまだチームを支え続けていってもらいたいものだ。

テル「最初の頃は(アルディレス監督に)なかなか使ってもらえなくて、今自分で思えば不思議なぐらいに何度も、何で使ってくれないんだ!とドアを叩いて監督室へ行ったことがあったんですけど(笑)。トレーニングにしても身体のケアにしても、やるべきことをやっていれば良い事があるだろうと。プレーができれば、アルディレス監督も信頼して使ってくれるようになったし、そこで少し大人になれたのかなあと思いますけどね。あの時期があったから今があると思うし」(Jリーグ31「清水エスパルス」編 2006年12月放送より)

小さい頃から清水の天才児だったテルは、大人の階段登る♪……ではなく、アルディレスの待つ監督室のドアを叩いて大人への道を歩み始めたのである。「今思えば自分でも不思議なぐらい」と照れながら言うあたりがいかにもテルらしくて微笑ましいのだが、こういうプレーヤーがずっと同じクラブにいることは素晴らしいことだ。
枝村あたりも早く大人のドアを叩くぐらい成長してもらいたいものだ。あんまり喋らないテルのドアを叩くのもありかな。まああと2、3年、テルが500試合出場を達成するまで、その背中を見ているのも彼の成長のためには悪くはないと思う。

いや、何か、本当に、あまり自己表現をしない(ように見える)テルが自らドアを叩いたという話はとても心温まる(そして勇気づけられる)話だ。人間、そうでなくっちゃね。