東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)、情報・システム研究機構 統計数理研究所(ISM)、筑波大学と日本電信電話コミュニケーション科学基礎研究所(NTT CS研)は、今後5年間をかけて、地上大型望遠鏡「すばる」で取得される25兆ピクセルにおよぶ膨大な画像データを、最新の機械学習と統計数理、さらに、大規模コンピューターシミュレーションを駆使して解析し、目には見えない宇宙のダークマター分布を3次元で明らかにすることになった。
この解析の過程において、大規模化する宇宙探査によるビッグデータと情報統計学を融合させた新領域「統計計算宇宙物理学」という学問の創出を行う一方、さらに、万人がオンデマンドで宇宙を探索できる次世代アプリケーション技術を開発する。
Kavli IPMUでは、ハワイ、マウナケア山頂のすばる望遠鏡に新しく搭載した超広視野カメラHyper Suprime-Camから得られる300夜分、25兆ピクセルのビッグデータを用いて、宇宙の運命を決めるといわれるアインシュタイン方程式の解を導き、宇宙の未来を予測する研究を進めている。
超高画質の観測データからは様々な情報が得られるが、画像に隠れたダークコンテンツを効率的に抽出することが必須とされている。
今まで、目視に頼ることが多かった同分野に、NTT CS研の画像処理技術を用い、さらに、ISMとNTT CS研の機械学習とベイズ統計の手法を利用することで、新天体発見や宇宙の未知の現象の探索に迫る。
また、分散ストレージとデータベース技術を保有する筑波大学との協働により、可視化した天体カタログデータベースを広く一般に公開する。
世界各国の天文ファンが100億光年先の宇宙をスマートフォンなどを用い、手のひらから、また、家庭のテレビでも楽しむことができる環境の構築を目指すことにしている。